要は時間をかけた間にステルス対抗技術も進歩し、F-35のステルス性能で想定した範囲では不十分になっているということですね。配備とともに陳腐化してしまうとした史上最高の無駄な事業になります。F-35が罪深い機体にならないよう祈るしかありませんね。第六世代機の企画ではぜひF-35の失敗を繰り返さないようお願いしたいところです。
Proliferating Threats Open Door To F-35 Follow On
Senior Pentagon officials consider a future where the F-35’s crown jewels are compromised
開発中のF-35が敵防空網の前に無効となる事態が発生したらどうなるのか。ペンタゴンは検討を開始した。
- JSF費用は現在4,000億ドル事業と見積もられ、当初の二倍、工程が8年遅れているが、生産は2030年代にかけ続く見込みだ。
- 計画の狂いで導入予定の各国は旧型機を長く稼働させることになる。その間に敵の脅威内容は進化していく。
- 国防総省高官の懸念は高性能防空レーダーや対空兵器の拡散だと業界筋が明らかにしている。「時間がかかりすぎた。その間に敵の脅威が深刻になっている」が、高官レベルはあえて警告したくないようで、この話題に口を閉ざしているのが現状だ。
- まだ危機的状況が現実に存在しているわけではないと業界筋は語る。兵器体系の陳腐化は避けられないが、F-35で発生したらどうなるか、予想より早く陳腐化したらどうなるか。「気になる敵の防空能力の登場が見え始めています」とアル・シャファー国防次官補代理(研究開発)Al Shaffer, acting assistant secretary of defense for research and engineering がAviation Weekに昨年3月時点で語っている。VHFレーダーでステルス機を長距離探知できる技術を言及している。さらにVHFレーダーが目標データを指揮命令機能に転送するだろう。
- ボーイングF/A-18E/F支持派がステルスが効力を失う可能性を指摘し、F-35Cの空母運用を断念させスーパーホーネット採用にもっていこうとした。しかし当局はF/A-18E/F追加発注に向かわなかった。逆に次世代機で必要な性能の検討が始まっている。ボーイングはノースロップ・グラマン、ロッキードとならびF-35後継機の採用をめぐる競争に加わるとみられる。
- ロシアの「ステルス対抗」レーダーシステムがモスクワの航空ショー(2013年)に展示され、ステルスの有効性についてあらためて懸念が生まれたが、ロシアは防空体制の統合化でも進展している。また中国もステルス対抗と呼称するVHFのAESAレーダーを珠海航空ショーに出展していた。
- 「ステルスを無効にする技術があると信じられており、ステルスが有効ではないと信じる向きがある」と空軍参謀総長マーク・ウェルシュ大将が1月15日の記者会見で語っている。「事実はこうだ。ステルスとは各種要素の組み合わせである。単に低視認性だけではない。スピード、低視認性、データ収集、送信手段を帰ることであり、送信状態を秘匿することでもある。つまり敵の防空網を無効にすることだ」
- 敵の防空網の着実な進歩で今後登場する長距離打撃爆撃機(広範なステルス技術を搭載する)の開発でも影響が出ている。同様に次世代戦闘機となるF/A-XX(海軍)、F-X(空軍)で広帯域ステルス特性の搭載を検討されている。
- ステルスが無効になる可能性については初期段階の検討にすぎず、詳細検討はオバマ政権を引き継ぐ新政権に委ねられる。新大統領がF-35技術が陳腐化していると判断する可能性もあると業界筋はいう。もちろんF-35技術がまだ数十年間有効であると期待したいところだが。
- 現時点では研究は学術的かつ初期段階で、ペンタゴンがF-35に関心を失う兆候はない。むしろ2011年の開発仕切り直し以降は同機への支持は揺るいでいないし、今後5年間で同機の増産を企画しているところだ。
- ペンタゴンの調達トップ、フランク・ケンドールからスーパーホーネットの追加購入は必要がないとの発言が昨年のファンボロ航空ショーで出た。1月には ウェルシュ大将がF-35初期作戦能力獲得を年末までに実現する空軍の方針を支持した。「新型レーダーが開発されて機体探知が可能となっても、レーダーがそのまま誘導兵器に有効なデータを流して機体が撃墜されるわけではない。敵地に到達し、敵のミサイルが発射されるまでに敵の防空網が寸断されればステルス機の投入が成功したと言える」
- F-35後継機は既存技術を流用しつつ、最新技術を導入するはずと業界筋は示唆する。選択肢にはサイバー攻撃手段cyberoffenseによるレーダー破壊があるという。熱管理技術の向上により赤外線誘導兵器への防御が進み、電子対抗装置の高性能化で機体が安全になるという。選択肢は仮定だが、企画は慎重に作業中だと関係者は語る。
- F-35の強みは米同盟国中心にした世界規模の支持だが、逆に弱みになる。ステルス対抗技術によりステルス性が無効になればその影響も世界規模になる。
- サイバー攻撃でテラバイト規模の情報が盗まれたことでこの可能性が現実味を帯びている。各国としてはF-35の最重要性能たるステルス性が中国によると言われるサイバー不正侵入で実効性を減じているのか不安に感じている。悪名高きエドワード・スノーデンが暴露した秘密文書によるとF-35のエンジン、熱管理、レーダーに関する情報をハッカーがアクセスしている。開発部門は実害は発生していないというが、F-35は敵にとって大きな標的だ。
- そこでもし同機の実効性が危うくなっていたら投入した巨額予算が無駄になってしまうという疑問が生じている。ステルス特性だけでも大規模な支出がされている。
- 同様に戦闘機用としてこれまで最大の大きさのエンジンにも数十億ドル単位の支出がされている。プラット&ホイットニーF135(推力43,000 lb.)で、ノースロップ・グラマンAN/APG-81AESAレーダーでも同様だ。またF-35では新型波形を使う多機能データリンクMultifunction Datalinkでミッション中に機体間のデータ通信を行う。各技術は次期戦闘機にも応用されるはずだ、と業界筋は見ている。
- 各種の検討は非公式ながら2017年の政権交代まで続きそうだ。■
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