長距離防空ミサイルの導入は他国の航空作戦への牽制効果がねらいでしょう。メッセージに注目すべきです。記事が指摘するように台湾が苦しい立場になりますが、日本も当然注視していくべき事態ですね。ロシアは防衛装備以外にめぼしい輸出工業製品がなく、このS-400も各国にこれから売り込みにかかるのでしょう。
S-400 Strengthens China's Hand in the Skies
By Wendell Minnick1:20 p.m. EDT April 18, 2015
TAIPEI — 中国はロシアと新型S-400対空防衛システムの導入で合意し、中国の防空体制はいっそう強固になると専門家は見ている。
- 射程400キロメートルではじめて台湾上空の飛行物体の撃破ができる他、ニューデリー、カルカッタ、ソウルも射程範囲におさめる。黄海や南シナ海の防空識別圏でも防御が固められ北朝鮮内のいずれの地点にも発射できる。
- 日本と対立が深まる尖閣諸島近くまで防衛空域を伸ばすことも可能と指摘するのは ワシリー・カシン Vasiliy Kashin (モスクワの戦略技術分析センター Centre for Analysis of Strategies and TechnologiesCentre for Analysis of Strategies and Technologiesで中国専門家)
- 中国が配備ずみのS-300の有効射程は300キロだが、台湾の北西沿岸部上空までしか射程におさめず、インドや韓国の首都は対象外だとアレクサンダー・フアン Alexander Huang (台北にある戦略軍事演習研究協議会 Council on Strategic and Wargaming Studiesの会長)は指摘する。S-400で台湾の防空体制が試される。
- 「新装備で中国は航空抑止力を増強でき各国とも中国領空近くでの作戦に一層慎重になるだろう」(フアン)
- 国営防衛装備輸出公団ロソボロネキスポートのCEOアナトリ・イサイキン Anatoly Isaikin が売却を4月13日に発表した。報道陣へはS-400に国際市場から引き合い多数があり、中国が初の海外顧客になると述べた。詳細は未発表だが正式契約は2014年末に結ばれているとカシンは補足し、4ないし6大隊分で総額30億ドルだという。
- S-400はミサイル迎撃にも利用できる。ロソボロネキスポートはDefense Newsからの問い合わせに答えていない。
- S-400導入は中国の防空・ミサイル防衛体制で正常進化とマーク・ストークス Mark Stokes(Project 2049 研究所専務理事)は語る。「どの型式が輸出される型式、配備地点がどこになるかも興味のまと」という。
- 台湾を挟みS-400が配備されると台はも非対称的能力の拡充に走り中国の防空体制の弱点を攻撃できる装備をめざすとストークスは見る。
- 台湾の国防部 Ministry of National Defense (MND) は今回の発表を平然と受け止め、台湾軍は慎重に観察していると報道官羅志祥少将Luo Shou-heは語り、ロシアと中国が密接な軍事協力を進めているのは承知という。
- 「新型装備の脅威に対抗するべくROC(中華民国)軍は脅威評価を終えており、対抗策の戦術戦略を調整済み」で飛行訓練も通常通り継続するという。
- カシンによれば中国は長距離防空ミサイル生産の体制を徐々に整えているものの、ロシアと開きが相当ある。中国製装備が海外市場でロシアに競り勝つことがあるが「性能より中国が提供する支払い条件や技術移転が理由」という。
- 中国がS-400をリバースエンジニアリングするのは疑いもない。S-300でも前例がある。だがリバースエンジニアリングは非常に時間を食うとカシンは指摘し、ロシアはすでに次世代のS-500の開発に取り組んでいるという。このS-500の生産開始は2017年と見られ、中国にS-400の供給を開始するのとほぼ同時期になる。■
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