スキップしてメイン コンテンツに移動

速報>イランがマーシャル諸島貨物船を拿捕、ホルムズ海峡リスク高まる


イランは外交上のゲームをするつもりなのでしょうか。民間貨物船の拿捕というのは久しぶりです。これでホルムズ海峡リスクが一挙に高まりそうですが、米海軍がどう対応するかが鍵となるでしょう。しばらく目が離せません。集団安全保障の議論の中で、ホルムズ海峡がなぜ日本の安全保障に関係あるのかとトンチンカンな発言をしている政治家がいましたね。

  Iran Intercepted US-Flagged Ship

By Joe Gould, Staff writer2:11 p.m. EDT April 29, 2015
WASHINGTON — イランがマーシャル諸島共和国船籍の貨物船を拿捕したが、イラン海軍艦艇による米船籍民間船舶への妨害は以前にも発生していたとペンタゴンが認め、イランと米国の間で緊張が高まっている。
  1. 米海軍駆逐艦ファラガットおよび警備艇3隻は29日も引き続きマーシャル諸島船籍のマースク・チグリスMaersk Tigrisの監視を続けている。同船は前日に発砲を受け、船内に乗り込まれた後に拿捕された。同船はホルムズ海峡のララク島Larak Island沖に停泊したままになっている。
  2. ペンタゴン報道官スティーブン・ウォーレン大佐Col. Steven Warrenは米海軍艦艇が「すべてに監視の目を光らせている」と語り、「対応が必要な場合に行動できるよう近居場所に配置してある」という。
  3. ファラガットとともにサイクロン級の沿岸警備艦サンダーボルト、ファイヤーボルト、タイフーンの三隻(バーハーレン配備)が展開中。チグリスの救難信号が28日に発信された時点で、米艦艇は海上安全確保作戦に従事しており、状況を傍受していた。
The coastal patrol boat Firebolt.沿岸警備艇ファイヤーボル (Photo: William H. Clark/Navy)
  1. 米軍は各艦以外に、偵察監視機を上空に飛行させているほか、「保護が必要となった場合、ファラガットは任務実施の準備ができている」(ウォーレン大佐)
  2. チグリスは現在イラン領海内にあるが、米国の対応は不明だ。ウォーレン大佐によれば米政府はマーシャル諸島共和国政府と協議中で、米国は同国の防衛に条約上の責任を有している。責任範囲にマーシャル諸島船籍船舶も含むとウォーレン大佐は説明。
  3. しかるべき対応とは「大統領の決断になるのは明らかで、条約の内容を具体的に検討しておく必要があるが、行動が必要となった場合は米国が裁量を有するとの条項があると理解している」(ウォーレン大佐)
  4. 国防総省はイランと連絡をしておらず、イランの意図は不明とウォーレン大佐は述べた。
  5. 「イランの行動の背景理由は理解困難。航行の自由など国際的に認められた海洋法を尊重するように注意喚起するのは当然のことで、イランも署名国であり、その他の既存プロトコールの順守を求めていく」(ウォーレン大佐)
  6. マースク社から29日に声明文が発表され、チグリスは定期用船契約船舶でリックマースグループRickmers Groupからマースクが借り上げているとのこと。「なによりも船員の安全と健康が最大の懸念事項」とマースク広報ティモシー・シンプソンTimothy Simpsonが述べている。「リックマースと連絡を密にし情報を得る一方、状況の打開方法を探っています。またデンマーク政府外務省とも協議中です」
  7. ウォーレン大佐は4月24日にイラン革命防衛隊海軍Iranian Revolutionary Guard Corps Navy のパトロール艇4隻が米船籍コンテナー船マースク・ケンジントン Maersk Kensingtonに嫌がらせをしていた事実を認めた。イラン側舟艇は後方から接近し15分から20分にわたり追尾し、「ケンジントン乗員は敵対行為と解釈した」という。
  8. マースク社によれば事件発生地点はドバイ北北西30カイリで、イラン舟艇とケンジントンの間に無線交信はなかった。ケンジントンはアラブ首長国連邦ジェベル・アリからジャワハラル・ネール港(インド)へ向かっていた。
  9. 「イランはホルムズ海峡で二隻の民間船に嫌がらせをし、しかも4、5日の間に発生している。貨物船舶が同海峡を通過する際にはリスクを覚悟せざるを得ない状況になっている」(ウォーレン大佐)
  10. ただしウォーレン大佐はマースク・ケンジントンが海軍海上輸送司令部の傭船契約にあったのか、軍事貨物を搭載していたのか言及していない。チグリスについても同様で、ウォーレン大佐は事実を把握していないと述べるにとどまっている。■

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...