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2016年を展望する①ケンドール国防副長官 技術優位性の維持と調達業務の改善に立ちふさがる予算環境




DEFENSE NEWS Kendall: The Specter of Sequestration Will Haunt Us

By Frank Kendall1:15 p.m. EST December 13, 2015
635854503401739843-DFN-OUTLOOK-2016-Kendall.jpg(Photo: Staff illustration)
新年が間近に迫る中、小職の最大の関心事は米国の軍事技術上の優位性が衰退していること、とくにハイエンドの敵性国家の前に兵力投射を実施する能力が低下していることである。この懸念は次第に広く認識されつつあり、とくにアシュ・カーター国防長官やボブ・ワーク副長官の支持ならびに米議会からも同意を得ていることに心強くしている。ただし、現行の予算水準特に研究開発支出の現状を見ると、方向性は依然として誤っていると言わざるをえない。この点が現時点で現実かつ明白な問題であると断言できないものの、将来に禍根を残しかねない問題であるのは明らかだ。研究開発予算を他の支出項目と同様の比率で一律削減する傾向があるが、そもそもR&Dとは固定費であり、妥当なR&Dがないままでは将来の装備能力を自ら奪うことになりかねない。
短期的に予算環境は好転しており、16年度、17年度をずっと安定的に展望できるようになったことを評価したい。17年度予算規模は予定計画想定を大幅に下回っているため、きびしい選択と予算削減を迫られ、装備近代化にも影響が出そうだ。予算強制削減の不安はまだ残っており、来年に入ると18年度の予算編成で再度浮上しそうだ。この不確実性のため維持不能な水準の戦力構造を維持しがちになり、装備整備で均衡を欠くことになりかねず、装備近代化が犠牲になれば、将来の部隊編成で欠陥を生みかねない。
省内では調達業務の効率改善を続けており、Better Buying Power構想としてイノベーションと技術優位性の実現をBBP3.0で希求している。この5年間の努力が実を結んでいる証明は明白だ。主要契約案件における開発・初期生産段階の費用膨張傾向が大きく減少しており、この35年間で最低水準になった。これこそBetter Buying Powerの効果であり、省内の調達部局と民間産業界の懸命の努力の結果である。ただし民間企業が利益率の削減を受け入れて初めて実現したことに注意してもらいたい。国防調達業務報告書の最新版を見れば予算管理・納期管理が正しい方向に向かっているとわかるはずだ。サイクルタイムも下降方向に向かっている。2016年にBetter Buying Power 4.0はないが、やるべき事項は数々ある。データを見れば正しい方向に向かいつつ、改善の方向性も模索しているのは明らかだ。
現在の進捗状況は肯定的に受け止めている。効率や生産性が向上し、技術投資の結果を引き出すべく利用可能な資源を有効活用しており、革新的な軍事技術を把握開発してウェポンシステムへ反映させている。だが予算不足・投資不足を補う調達マジックは存在しない。予算強制削減の恐れを排除しなくてはならない。実行されれば必ず望ましくない結果しか生まないからだ。予算強制削減が国防支出に与える影響は理不尽で国防支出とは現実の脅威だけでなく将来の脅威も考慮して実現すべきものだ。脅威は増大しており、対応が追いついていないのが現状だ。
ケンドールは米国防副長官で調達、兵站、技術を担当している。

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