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米空軍がF-35やKC-Y調達を「先送りあるいは遅らせる」事態は来るのか。LRSBに別枠予算の確保は可能か


米空軍の構造そのものが見直しの時期に来ているのではないでしょうか。別にF-35だけを責めるつもりはありませんが、予算が伸びる前提の組織が肝心の予算が伸びなくなれば相当のしわよせが全般に行き渡るはずなのですが、F-35等大型案件に資金を取られ、にっちもさっちもいかなくなっている状態というとことなのでしょうか。今後が心配です。


Air Force May Be Forced To ‘Defer Or Delay’ F-35, KC-Y; New Fund For LRSB?

By Colin Clark on December 15, 2015 at 11:47 AM


WASHINGTON: 権威ある米議会調査部(CRS)から表題の課題を突き付ける報告書が刊行された。

以前にもとりあげられている課題である。米空軍はこの6年間予算不足に直面しながら、F-35、新型空中給油機がそれぞれピッチを上げる中でB-3(長距離打撃爆撃機)事業も始め、一方で無人機やC-130調達も続けている。
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報告書作成者のJ.J. ガーティエ Gertler は「4つの調達事業(F-35A, KC-46, C-130, 無人機)で2016年度の空軍航空機調達予算の99%を使い果たす」と指摘。そこに新規のT-X練習機、JSTARS再開発、戦闘捜索ヘリコプター、新型大統領専用機が加わると大変な事態になる。予算のツナミといってよい。だがガーチエはそこまでは言っていない。

「新規事業を調達予算に付け加えるのは予算が増えることを前提で昔からあるパターンで、既存の予算枠に収めながら将来の予算増を見越していると言ってよい」

(ここで読者はペンタゴン調達部門トップのフランク・ケンドールがF-35はもはや予算削減で聖域ではないと発言していることを想起するだろう)

予算管理法案の支出キャップが解除される可能性はあるのだろうか。CRS報告書では「仮にそうなっても事業削減などの予算措置の行使を妨げる効果はない」としている。

そうなるときわめて厳しい選択肢が視野に入る。以下ガーティエの出した結論だ。(本人は他の選択肢も可能だと慎重に言葉を選んでいる)

  • 空軍予算を引き上げる(機材近代化含む)
  • 機材近代化以外の空軍業務を縮小する
  • F-35Aの年間調達機数を減らす
  • R&D関連事業をさらに先送りする
  • KC-Y後継機種の給油機を先送りする
  • 長距離打撃爆撃機(LRSB)を空軍予算以外で調達する

以上いずれも空軍上層部には歓迎されないだろうが、最後の提案は別かもしれない。空軍外の予算を確保することは海軍が国家海洋配備抑止力整備基金として海軍本体予算とは別にしている例があり、議会がオハイオ級後継艦建造で設けた。

だが2017年度予算の編成はまもなくはじまり、CRSの仕事は各議員に判断基準となる事実と背景を伝えることだ。議会か空軍のいずれかが本当の資金パンクが発生する前に行動できるかが問われている。■

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