スキップしてメイン コンテンツに移動

2017年国防関連の見通しをアナリストはこう見る


現時点で各アナリストも新政権の国防政策の行方を見通せなくなっているのが現状のようです。とはいえ、そこはアナリスト、以下の知見を紹介しています。でもF-35、核兵器近代化(これはトランプがすでに支持しています)、海外展開の行方については言及されていません。

Aviation Week & Space Technology

Opinion: Nine Defense Predictions For 2017

Dec 23, 2016 Byron Callan | Aviation Week & Space Technology

2017年の防衛産業セクターを予想したいが水晶玉は透き通ってこない。そこで無理やり予言することとする。
➊ 米国防総省予算はオバマ政権時より好転するとはいえ、十分ではない。予算強硬派を自認するミック・マルヴェイニー下院議員(共、サウスカロライナ)をホワイトハウスの予算管理局長に抜擢したことからしてペンタゴン支出案は連邦予算で別格扱いで増加するだろう。今後四年間年率3ないし5パーセント成長すると業界では期待している。ただし当初はそこまで達しないだろう。予算強制削減条項を2011年予算管理法から削除することになるだろう。
➋トランプがツィッターで国防調達の優先順位を示したことから懸念が残っている。とはいえ、騒ぐわりにはたいしたことではないのかもしれない。エアフォースワンとF-35を巡るツィートに対して業界はコスト削減に協力すると反応しており、危険性を緩和することになろう。また業界も急速に学習し、本人の事業知識が増えれば調達関連のツィートは減るだろう。
➌大手防衛産業の合併、企業買収に可能性がある。アシュ・カーターが国防次官時代に設定した現在の省方針は2009年のもので大手企業の合併を極力回避させるものだったが、新政権でこれが変更になる可能性がある。株価が記録更新し、金利上昇が見られる中で株式への影響は減り配当が伸びるのは近年の実績を上回るだろう。最大手5社間の合併はすぐに生まれないだろうが、製品の品揃えを補完するロッキード・マーティンとシコルスキーのような合併はあり得るだろう。企業整理による大規模一時解雇を回避する効果が期待される。
➍議会内部に大幅国防予算削減の動きは依然として見られない。失業率が低いとはいうものの高給の働き口が少ない中で、基地閉鎖は地元経済への影響が大きいし、国防インフラを閉鎖すること含め人気のない選択肢だ。
➎イランと中国が主要な安全保障上の課題としてトランプ政権が認識するだろう。ロシアは脅威度を減じてくるだろう。イランが注目されるのはトランプが2015年の核開発合意に反対していることに加え同国の域内での行動そのものが原因だ。トランプは中国については貿易と為替政策でコメントしており、「一つの中国」原則そのものへも疑問を感じていることも摩擦要因で安全保障構想にも影響がでそうだ。
➏国防調達の大型案件はインフラ整備と財政刺激策の形で現れるだろう。現行の兵器開発は即効性があるものとして地元経済や雇用への貢献が期待されるがGDPへの貢献となると財政刺激策が勝る。
➐民生技術の導入は議会の支持もあり引き続き活発だろう。下院・上院の軍事委員会はそれぞれ民生技術応用を軍に求めているが、ペンタゴンの新体制がカーター長官ほどの熱意を示すか不明だ。連邦事業の契約行為での規制緩和で国防分野への新規参入が楽になるが、大きな影響は生まれないだろう。
➑為替レートが国防装備品の調達価格に影響を及ぼすので、米ドルが主要欧州通貨に対し引き続き高止まりになるか注目だ。
➒地政学的な突発事件でトランプ政権の国防政策の方向も変わるだろう。国防事業社委員会は昨年10月の報告書で新政権は発足後270日以内に大きな危機的状況に遭遇する事が多いと指摘している。トランプの国家安全保障協議会で経験不足なこと、トランプのツィート癖がこれに輪をかけるかもしれない。2001年にブッシュ政権の当初の国防構想は9.11テロ攻撃でひっくり返されている。
バイロン・キャランはキャピタル・アルファパートナーズの役員。本記事中の見解はAviation Week とは無関係。​

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ