2017年1月30日月曜日

★歴史に残らなかった機体⑤ 不幸なYB-49は早く生まれすぎた機体だがB-2として復活




The National Interest

A Bomber Way Ahead of Its Time (That Looks Just Like the B-2 Spirit): The YB-49 Flying Wing

January 28, 2017

第2次大戦が一歩ずつ近づく中で米国には多くの画期的な機体設計をする余裕があり、予算も十分にあった。戦闘機、戦術攻撃機、長距離爆撃機にそれぞれ割り当てられたが、後者から米航空誌上でも最も興味を引く失敗作が生まれた。ノースロップYB-49「全翼機」爆撃機である。
全翼機
  1. 航空工学では初期段階から「全翼機」設計の可能性に着目していた。胴体を最小化し、尾部を省くことで空力上の制約と決別し、抗力を減らせるからだ。ただし代償として機体の安定性が通常形式の機体より劣る。このことで操縦は難しくなり、とくにフライバイワイヤー技術が実用化していない当時には深刻だった。全翼機は機内に乗員、ペイロード、防御装備の確保も大変で、せっかくの空力特性も台無しになった。
  2. それでも技術者(ドイツとソ連)は大戦間になんとか全翼機を実用化しようと必死になり、輸送機、軍用機を想定していた。この結果、貴重なデータが入手できた。第二次大戦の終結が近づくとドイツはジェット戦闘機で全翼機の開発に成功したが大量生産できなかった。
XB-35からYB-49へ
  1. 第二次大戦の初期に米戦略思想家は米本土からドイツを空爆する必要に迫られる状況を想定した。英国が敗北する可能性があったためだ。米陸軍航空隊の要請によりコンヴェアはB-36を、ノースロップはXB-35をそれぞれ提案した。B-36は比較的通常の設計の機体で当時の大型爆撃機をさらに拡大した外観だったがそれなりに革新的な機構もあった。反面にXB-35は米航空史上初の全翼機でB-36より小さいものの性能面ではほぼ同等になるはずだった。
  2. だが1944年になるとXB-35はB-36よりも遅れが(両機種ともに技術問題が浮上していたが)目立ってくる。また大陸間爆撃機の必要性も消えた。空軍はB-36、XB-35ともに時代遅れとしつつ、後者をキャンセルし、前者を採用した。B-36の問題解決のほうが容易だと評価したためであった。しかし米空軍は全翼機構想への関心を捨てず、XB-35をジェット化する再設計を提案し、ノースロップが未完成のXB-35の機体にジェットエンジンを搭載した。
  3. ジェットエンジンで最高速度は時速493マイルになり、20%の高速化に成功した。実用高度も増えたことはソ連の迎撃機対策に有効と評価された。ただし大量の燃料を消費し、YB-49となった機体は中距離飛行の性能となり長距離用のB-36と差が広がった。速度面ではYB-49はB-36を上回ったもののボーイングの新型B-47ストラトジェット中距離爆撃機より劣った。
サボタージュがあったのか?
  1. YB-49には普通ではありえない不運がついてまわった。試作機の一機は1948年6月に乗員6名を乗せたまま飛行中に機体が分解し墜落している。もう一機はタキシー中に機首車輪が折れて損失している。この直後に空軍は1950年5月にYB-49をキャンセルした。残る試作機は偵察機型で1951年まで飛行し、1953年にスクラップされた。
  2. YB-49支持派は長年に渡り、空軍が意図的に同機開発を妨害し、B-36はじめその後に登場した爆撃機を優遇したのではないかと疑っている。同社を創設したジャック・ノースロップは空軍がYB-49をキャンセルしたのは同社をコンベアに合併させる案に本人が同意しなかったためと信じていた。さらに試作機が相次いで事故にあったのは単なる偶然ではなく、サボタージュの結果だとの黒い噂が業界に流れた。結局裏付けになる証拠はでてこなった。
B-2への影響
  1. ノースロップにとって全翼機の実現はその数十年待つことになった。B-2スピリットは画期的な新技術を採用しながらはるか前にあらわれた機体に著しく似ている。実は両機種は全く同じ翼幅なのだ。ノースロップは全翼機設計をB-2に採用したのは、低レーダー断面積効果が得られるためだった。またフライバイワイヤー技術でB-2の操縦はYB-49よりはるかに容易になっている。今わかっている情報からノースロップ・グラマンのB-21ステルス爆撃機も同様の機体形状と判明しており、西安H-20戦略爆撃機やツポレフのPAK DAも同様だ。
  2. YB-49は結局量産されなかったが、得られた知見が今日の戦略爆撃機の設計で国際的に主流と認められているのは実に興味深いことである。■
Robert Farley, a frequent contributor to TNI, is author of The Battleship Book. He serves as a Senior Lecturer at the Patterson School of Diplomacy and International Commerce at the University of Kentucky. His work includes military doctrine, national security, and maritime affairs. He blogs at Lawyers, Guns and Money and Information Dissemination and The Diplomat.
Image: Northrop YB-49 Flying wing. Wikimedia Commons/Public domain



0 件のコメント: