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核の軍拡は始まっている 遅れをとる米核戦力の近代化を目指すトランプ政権に注目



オバマ政権が核兵器を軽視した中で中ロは着々と装備の高性能化を進め、北朝鮮まで原始的とは言え核戦力を整備し始めました。8年間の遅れをトランプ政権はどう追いつこうとするのでしょうか。核兵器そのものは非常にお金がかかる代物ですが相手が腕を磨く以上、こちらはトレーニングしなくていいいという世界ではないのでしょうね。これが現実です。皆さんはどう思いますか。

‘Let It Be An Arms Race’: Our Nuclear Adversaries Have Already Started

By ADAM LOWTHER on January 04, 2017 at 8:00 AM
ドナルド・トランプ次期大統領は自身のツィッターで12月22日に「米国は大幅に核戦力を強化拡張すべきだ」と主張した。その後MSNBCテレビで「軍拡競争あってしかるべきだ」とまで発言したとの報道があった。
核弾頭が2万発を超える状況に戻るのは願い下げだが、この十年ほどで米国の相手国側は運搬手段を近代化し、弾頭も更新しており、ロシア、中国、北朝鮮の核兵力は様変わりしている。核の軍拡競争はもうはじまっていたのだ。
ロシア
戦略ロケット軍が新型大陸間弾道ミサイル数種を導入して冷戦時の旧式装備を置き換えようとしている。SS-18、SS-19Mod3はSS-27Topol-MおよびSS-29Yars-Mに交替する。新型ICBMはサイロに配置されるか道路または鉄道網で移動可能だ。移動式ICBMの所在を突き止めるのは非常に困難。2020年代に入るとロシアはRS-28Sarmatの配備を始めるだろう。同ミサイルは「国家破壊兵器」といわれるように再突入体を15個も搭載し、防御性能もありミサイル防空体制に対応できる。
ロシアは新型弾道ミサイル潜水艦を導入して冷戦時のデルタIV型二交替させつつある。新型のボーレイ級はロシア潜水艦で最も静粛度が高く、SS-NX-30ブラーヴァ潜水艦発射指揮弾道ミサイル(SLBM)を16発まで搭載する。一号艦が2009年に就役しており、2020年までに8隻の陣容となる予想がある。
Tu-95ベア-HとTu-160ブラックジャックの爆撃機部隊も近代化を受けているが、新型ステルス爆撃機の設計開発も進んでいる。空中発射式巡航ミサイル(ALCM)の新型Kh-102は核運用可能でロシア領空内から発射して米大陸に到達可能だ。米領空に侵入するまでレーダー探知は困難だろう。
米ロがそれぞれ相手方の迎撃手段を熟知しており、弾頭設計で大きな進展が見られる。確実に弾頭が想定どおりの威力で爆発するようにすることにロシアが特に力を入れている。公開情報は少ないがロシアがこの分野で進展しているのは確かだ。
中国
中国の核抑止力は弾道ミサイルが中心だ。DF-5(CSS-4)は液体燃料式で1980年代から配備されている。単独大型弾頭で米国を攻撃する狙いなのは命中精度が低いためだ。DF-41固体燃料式ICBMに交替しつつあり、新ミサイルは命中精度、発射準備時間双方で大幅改良されている。
またDF-31(CSS-9)固体燃料式ICBMが2006年から配備されており、中国に弾頭三個を米国に到達させる能力が改良型DF-31Aとして実現した。さらにDF-31Bは道路移動式だ。
中国も核の三本柱体制整備に向け海上抑止力に力を入れており、晋級弾道ミサイル潜水艦の配備が2010年に始まり、5隻になる予想だ。公開情報では騒音レベルは高く、容易に米海軍が追尾できる性能の低さだがそれでも中国には一歩前進だ。晋級が12発まで搭載するJL-2(CSS-NX-4)は飛翔距離は5千マイルといわれる。
2009年にはH-6K爆撃機を配備開始した。これはソ連時代のH-6を近代化した機体でCJ-10K巡航ミサイルを搭載でき、通常弾頭のみと見られるが、核弾頭型も登場するかもしれない。アジアでの覇権を狙う中国にとってH-6Kの航続距離2,200マイルで域内各地を十分攻撃できる。
北朝鮮
北朝鮮は核兵器製造能力を見せつけ弾道ミサイル開発も活発だがKN-08道路移動型ICBMに核弾頭運搬能力があるのか不明だ。今のところ北朝鮮が弾道ミサイル搭載用に核弾頭を搭載するまで技術を磨いているのかが公開情報で読み取れない。ただし金正恩が核兵器を重視する中で北朝鮮の科学者技術者は失敗が許されない立場なのは明らかだ。
まとめると米国の敵対勢力は着々と核兵力を拡充している。米国も遅れを取ってはならないのである。■
Dr. Adam B. Lowther is the Director of the School of Advanced Nuclear Deterrence Studies (SANDS) at Kirtland, AFB. His latest book is Defending the Arsenal: Why America’s Nuclear Modernization Still Matters. The views expressed in this article are Dr. Lowther’s alone and do not represent the official position of SANDS or the Air Force at large.


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