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★中国はのサイバー攻撃はこう展開する



戦争の形が全く変わっています。戦争を立案する部門は前の戦闘事例をもとに考えると言われますが、サイバー、レーザー等ゲームチェンジャー技術の出現で、もはや以前の経験は有効に活用できません。政治家もしかりですが、報道陣はもっと知識不足というか鈍感です。北朝鮮が日本上空でEMP攻撃をしかけたらどうなるのか想像するだけで怖くなります。前回、レーザー兵器に関する読者の関心が高いため、今回はサイバー含む中国の作戦構想の一部をお伝えします。

The National Interest

How China Plans to Win the Next Great Big War In Asia


March 9, 2017


中国のサイバー戦能力は人民解放軍(PLA)の改革と並行して進化しており、将来の東アジアでの武力対決を想定してサイバー戦の動向にも目を配っておくべきだ。
  1. 例えば台湾紛争の場合、PLAは台湾の指揮統制通信コンピュータ情報監視偵察機能(C4ISR)を妨害、破壊、欺瞞させようと最大限の努力を向けてくるはずだ。PLAの通常航空戦力、弾道ミサイル攻撃、艦艇による兵力放射はそのあとで実施され、全てが数時間で投入される。
  2. PLAが狙う中に米製超高周波(UHF)早期警戒レーダーがあり、台湾新竹市近くの楽山 Leshan Mountainに設置されている。2013年に稼働開始した同レーダーは5,000キロ先の航空機が探知できるといわれ、中国本土からのミサイル奇襲攻撃で六分間の余裕を生んでおり、PLA空襲部隊各波を追尾できる。
  3. 同レーダーには中国の信号情報収集基地を電子妨害する能力もある。さらに米宇宙軍団の防衛支援プログラム(DSP)と接続していると言われ、米早期警戒衛星につながる。また北朝鮮のミサイル発射にも相当の探知能力があると伝えられる。
PLAの考える「ネットワーク飽和戦」とは
  1. PLAの戦略支援軍 Strategic Support Forces(SSF)では統合ネットワーク電子戦 integrated network electronic warfare(INEW)の下で各種作戦を構想している。INEWとはサイバー戦、電子戦、宇宙空間での支配、運動エネルギー攻撃を統合運用し、敵C4ISRの「盲点」をつく構想で総括的視点が特徴だ。
  2. この構想はPLAで近年出現している「ネットワーク飽和戦」に関する論文にも反映されており、将来の戦争は「多方向からの機動戦攻撃」と想定し、地上、空、海、宇宙空間、サイバー空間が同時に展開するとする。
  3. 実際にどんな作戦になりどんな能力の投入を想定しているのかは機密事項扱いで見えないが、PLAが半ば公認した国家軍事大学発表の論文では多数の軍事力を同時に行使するとし、小規模の多用途作戦部隊、電子戦、宇宙迎撃部隊、サイバー部隊、長距離精密攻撃火力を運用するとしている。
宇宙配備情報装備を狙う
  1. サイバー作戦の鍵が宇宙配備情報装備で「情報優勢』の確保に必須とする。具体的にPLA論文作成者も宇宙での支配が各軍統合作戦を実施し、戦場での優位性を確保するために必須と考えている。逆に言えば、論文作成者は敵の宇宙装備を使用できなくさせることがサイバー作戦上不可欠で勝利にも必要と考えていることになる。
  2. 興味深いのは中国の著作で宇宙装備とは軌道上の衛星に加え、地上の打上げ施設、ミッション管理、追跡基地、遠隔操作施設も含めていることで、台湾の楽山レーダーもその一部だ。
  3. そうなると宇宙優勢を確立するためには攻撃・防衛両面で行動し、あらゆる目標を対象にする必要が生まれる。
  4. このためPLAは宇宙攻撃能力をきわめて重視しており、運動エネルギーとサイバーの両面を使用するべく、宇宙打ち上げ、宇宙追尾、遠隔操作の各施設を強化している他、軌道上の戦闘能力、戦略ミサイル軍、地上配備宇宙防衛部隊、宇宙空間の物資補給能力を備えた部隊の拡充を急いでいる。
サイバーの活用
  1. 平時のPLAサイバー部隊はSSF隷下で広範囲なサイバー偵察活動を展開しているようだ。外国政府機関や民間企業のコンピューターネットワークに侵入している。
  2. 中国はこういった活動はしていないと否定するが、ネットワークの弱点探知を目的に、軍事通信のパターンをつかみ、外国指導者の考え方を理解し、世界規模のネットワークに蓄積された貴重な技術情報を入手している。
  3. 中国のサイバー諜報活動の規模、ひろがり複雑さから国家が直接関与した活動であることを強く示しており、サイバー犯罪組織やハッカー集団では不可能な財務、人事、分析資料を自由に継続して長時間使っているのが特徴である
  4. 一方で中国が従来通りの人的諜報活動も重視していることに注意が必要だ。Defense News によれば中国は人的情報収集ネットワークを台湾にもち、 楽山レーダーの機能を妨害する情報収集にあたらせており、その他Anyu-4防空ネットワークのアップグレード、Po Sheng C4I能力更新、Shuan-Ji構想(電子戦)、Wan Chien共用スタンドオフ兵器、ミラージュ2000戦闘機といった戦略上重要な装備も対象にしている。
東アジアで次に来る軍事衝突
  1. 戦略的な利害対立と相互依存関係が一層複雑になり、サイバー、情報戦、認知可能な物理空間が将来の東アジア軍事衝突では従来通りの戦術を取にくくする課題だ。
  2. 例を上げれば、東シナ海あるいは南シナ海への作戦アクセスを確実にするべく、米軍は任務遂行に不可欠なC4ISRの各種システムに加え戦闘支援および補給の各システムに依存しているがその保安度、信頼度、機能性はサイバー攻撃に対して脆弱となっており、電磁パルス攻撃や高出力マイクロ波兵器も脅威になっている。
  3. 巧妙なサイバー攻撃が各システムに向けられた場合、米軍の作戦遂行能力に予想不可能な影響が連鎖的に現れるだろう。
  4. 軍事衝突がサイバー空間、情報空間に広がれば、中心となる事項も変動していくはずだ。戦略情報の価値や精度、信頼度が状況把握に必要であり、国家機能の遂行にサイバー空間が不可欠となり依存度も高まるはずだ。
  5. サイバーを活用した軍事衝突は並行して技術進化につながる。例えば次世代ロボット、人工知能、遠隔操作装備があり、将来の戦争の構図を塗り替えるだろう。サイバー空間、情報空間の両方が軍民問わず同時に攻撃の標的となり、兵器にもなる。これは米、ロシア、中国いずれも共通だ。■
Michael Raska is Assistant Professor at the Institute of Defence and Strategic Studies, a constituent unit of the S. Rajaratnam School of International Studies (RSIS), Nanyang Technological University, Singapore.
This first appeared in AsiaTimes here.


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