スキップしてメイン コンテンツに移動

☆☆ 5年後に日本にも強襲揚陸艦が生まれそう 海自の航空戦力拡大か




Japanese Advance Plans For Another Air-Capable Assault Ship

Tokyo advances plans for another large aviation-capable ship
Aug 19, 2014Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

防衛省は大型揚陸強襲艦を最低一隻建造し、海軍航空戦力を拡大する意向。この関連でベル・ボーイングV-22オスプレイの販売拡大が実現する可能性が高くなる。
  1. 同艦の就役は2019年3月と予定され、以前は2020年代とされていたものを前倒しする。防衛省は調査費を平成27年度予算に概算要求すると時事通信が伝えている。

  1. 想定される任務として日本の島しょ部の防衛増強の一環とすることがあり、中国と紛争の種となる尖閣諸島(釣魚台原文ママ)があり、リアンクール岩礁(原文ママ)でも北朝鮮、韓国と主権を巡り対立があるのを日本政府が考慮しているのだろう。

  1. 日本には小型のおおすみ型揚陸艦があるが、追加して大型艦を建造するのはオスプレイまたはヘリコプターあるいは両方を導入する可能性を示している。平成26年度からの5か年計画ではオスプレイ17機の導入を想定しているが、この揚陸強襲艦は原案に見られず、搭載機も想定に含まれていない。

  1. 問題の島しょ部には空港設備がなく、尖閣諸島は日本本土から遠く離れている。ヘリコプターは宮古島から飛行できるが、尖閣は200キロメートル先で、大量物資は海上輸送に頼り、上陸用にヘリコプターを使うことになる。海上自衛隊はエアクッション揚陸艇や水陸両用車両は平時のみ、あるいは低脅威環境でだけ使用可能としているが、敵前で垂直搬送する可能性を排除していないようだ。

  1. 今回の提案で示された建造日程を見ると防衛省が仕様を決定済みだとうかがわれる。根拠として艦の設計完了に一年しか想定していない。通常は大型艦は三年を必要とする。予算がつくことを前提に「防衛省は要求性能や規模を平成27年度から検討し、平成31年度からの就役を目指す」とする時事通信報道があり、おそらく防衛省内の説明内容を踏まえているのだろう。

  1. 昨年12月に採択された防衛大綱では平成30年まで三か年かけて大型強襲艦の建造の可否を決めることにしていた日本が計画を加速化していることを示すものだ。日本語表現のあいまいさから艦が一隻なのか複数か不明だが、海上自衛隊の戦闘艦艇は最低二隻を建造するのが常なので、すくなくとも一隻目について言及したものなのだろう。

  1. 防衛省の示すおおまかな性能要求では「多用途艦(あるいは複数艦)で指揮統制が可能で、大量輸送ならびに揚陸作戦の航空運用が可能」であることとしている。小野寺五典防衛相は7月8日に企画立案を加速化すると述べていた。そのため本構想はかなり確実なものと思われる。

  1. 小野寺大臣他関係者がUSSマキンアイランドをサンディエゴにて7月に視察しており、ワスプ級の船体で全通飛行甲板を持つ設計が日本が望む設計案とみられる。さらに短距離離陸垂直着陸型のロッキード・マーティンF-35Bの運用を想定しているだろう。

  1. 全通型甲板を持つ強襲揚陸艦は航空母艦ではないが、航空運用を重視した設計の可能性はある。ただし、日本特有の官僚主義が戦術航空戦力を前面に掲げさせない可能性もある。

  1. だが隠し通せない面もある。スキージャンプは同盟国が保有するF-35Bのためと説明がつくかもしれないが、揚陸強襲艦として設計される大型艦は輸送容量を最優先し、機関出力を大きく設定する必要はない。おおすみ級は22ノット設計で、米海軍の揚陸輸送での標準速度と同じだ。一方で日本の戦闘艦は30ノット以上を出す性能がある。

  1. そこで参考になるのがイタリア艦カヴール Cavour (27,500トン)で、軽空母に輸送能力を付与した設計になっている。戦車含む車両運搬能力、兵員居住区を備えて、速度は28ノットとしているのは上陸舟艇用のドックを有していないためだ。

  1. 時事通信報道による建造日程は実施可能とうかがえる。IHIマリーン・ユナイテッド(原文ママ)はこれまでひゅうが級ヘリコプター艦2隻を予定通り2007年と2009年に各就役させており、大型艦建造の間隔として2年間は十分と示している。いずも級ヘリコプター空母2隻が計画されており、一番艦は2015年に、二番艦はおそらく2017年に就役する。それぞれ建造期間は3年である。仮に今回の強襲艦の全体規模が同程度なら建造開始を2016年に設定することが可能で、2019年に完成するはずだ。

  1. ただし「強襲艦」より威圧感の少ない名称が選ばれ災害救難が強調されるだろうと朝日新聞は報じている。

  1. それはさておき、防衛省は英米海軍による強襲艦運用の実例を研究中であるが、両国ともに該当艦に災害援助任務は想定していない。むしろ揚陸輸送艦の主要任務は明確に戦力投射power projectionそのものである。■

コメント 元記事は英文だけに率直な言い方が目立ち、海上自衛隊は海軍、強襲艦の役割は戦力投射とはっきり言っていますね。しかし日本では国内向けに駆逐艦を護衛艦、揚陸艦を輸送艦と呼んでいる始末。強襲艦のどこが問題なのでしょうか。そろそろ日本語を政治的に捻じ曲げる慣行を見直していいのではないでしょうか。



コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...