ISISの勢力がここ数週間で急増しています。さらに米国を対象としたテロを計画している兆候があり、この数年間で最大の脅威となってきました。また、イラク、シリアという既存の国境区分けを否定していることでISISへの対応も地政学的に構築しなければならないようです。米国ではシリアも含めた現地への対応、しかもエスカレートしそうな規模での攻勢が必要との議論が出てきました。以下AFPが簡潔にまとめています
How can the US defeat IS jihadists?
Aug. 23, 2014 - 01:08PM |
By Agence France-Presse | Comments
WASHINGTON — バラク・オバマ大統領はイスラム国聖戦派を中東のみならず世界にとって「ガン」だとまで表現しているにもかかわらず、これまでは限定的な航空攻撃にとどまっている。
- 合衆国が真剣にイスラム国(IS)を打破するとしたら、外交、軍事でどんな手段が想定されるだろうか。
- オバマ大統領はイラク、シリアでの空爆を大幅に拡大し、西側諸国とアラブの同盟国に大義名分を共有させ現地軍の装備を強化して聖戦派に戦わせる必要があると専門家は見ている。
【軍事作戦はこうなる】
- イラク、シリア両国内のIS部隊に対し大規模航空攻撃が必要となり、地上戦はバグダッド中央政府、クルド人部隊、スンニ派部隊が展開するのがよいと司令官経験者たちは語る。
- ここ数週間で米軍が実施した空爆は数十回程度だが、IS壊滅には米軍の全力を投入する必要がある。おそらく数百機、数百回の空爆を連日実施することになる。
- 「空軍力を投入するのであれは集中豪雨のように投入しなければ意味がない、小雨ではだめだ」とデイブ・デプチュラ退役米空軍中将Dave Deptula, a retired US Air Force lieutenant general (アフガニスタンとイラクの航空作戦を統括、現ミッチェル航空宇宙研究所所長)は言う。
- 2001年のアフガニスタンで米軍機が空爆で、北部連盟が地上でそれぞれタリバンを追い出したのがこの構想の実際例、とデプチュラは言う。
- 航空攻撃を慎重に行うために特殊作戦部隊が必要だと主張するアナリストがいるが、デプチュラはハイテク機は地上部隊の援助無く目標を補足できるので地上部隊投入は不要と見る。
- 今回は強硬派でさえ地上部隊の大規模派兵を求めておらず、イラク・シリア両国の現地軍へ装備供与を拡大すべきと主張している。
- 安全保障補佐官補のベン・ローズDeputy National Security Advisor Ben Rhodes からは「当該国の住民にISILへ立ち向かわせることが長期戦略」との発言が出ており、イラク、クルド、スンニの各派の戦闘要員の活用を想定している。
【シリアでの軍事作戦なしでISを打倒できるか】
- その答えはノーだとマーティン・デンプシー統合参謀本部議長はじめ専門家、アナリストが言っている。
- シリアをISが聖域にするのは看過できないとデンプシー大将は言う。
- 米国が「正当防衛」の権利を行使しシリア国内のIS勢力を攻撃可能と主張する向きもある。根拠はシリア政府が国内数カ所で実効支配をすでに失っているためだ。
- ただし、その場合はシリア内戦に慎重な姿勢だった米政策を変更し、大量の武器をスンニ派(アサド政権とISに共に反抗中)に引き渡すことになる。
- この方向転換で米政府がシリアと和解に向かう可能性を見る向きがあるが、政府関係者はその選択肢はないと言っている。
【外交戦略で必要となるのは】
- 合衆国は今まで想定外と思われた同盟関係をヨーロッパ各国、サウジアラビア、イランと結ぶと見るアナリストは多い。イランにとってもIS聖戦派の打倒は目的になっている。
- 米国の決意の程を示すべく、オバマ大統領はIS打倒が目標だと公言する必要が出るだろう、というのはザルメイ・カリザッドZalmay Khalilzad 元在アフガニスタン、イラク大使である。
- 戦争にあきあきしているアメリカ国民に対しても今後の作戦の方向性とともになぜISが合衆国への直接の危険となるのかをオバマ大統領は示す必要がある。
- トルコに対してはシリア国境閉鎖によりIS部隊志願者の移動を阻止させ、また難民を抱えるヨルダンなど各国向け援助を増やす必要があるとアナリストは見る。
- 【スンニ派の役割】
- イラク国内のスンニ派は.シーア派優勢の中央政府から冷遇が8年間にわたっており、これがISを増長させた原因になっている。
- 米政府としてはハイダ・アル・アバディHaidar al-Abadiによる新政権がスンニ派も巻き込む挙国一致体制を期待しつつ国軍の改革も求めている。軍が実質上宗派構成になっているからだ。
- ただしイラク政府と西側がスンニ派各部族に対しIS過激派への戦闘に加わるよう説得できるかは不明だ。■
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