スキップしてメイン コンテンツに移動

★★注目されるアイアンドームの迎撃実績 ミサイル防衛でさらに一歩先を進むイスラエル



なぜかイスラエルに関する報道では軍事面の分析が見られない日本ですが、アイアンドームが目論見通りの成績をあげたことで今後は大いに注目されるのではないでしょうか。パスレスチ側が一層追い詰められると今回のようにロケットといっても手製のお粗末な兵器を高価なシステムで迎撃するという経済学的には不合理な非対称戦になりそうですね。



Iron Dome Blunts 90% Of Enemy Rockets

Overall, Iron Dome missile deflection proves effective through 50 days of conflict
Sep 1, 2014Alon Ben David | Aviation Week & Space Technology
Credit: Zeev Stein
ガザ回廊を巡るイスラエル対パレスチナ抗争でアイアンドーム防空システムの成功事例があきらかになっている。合計735回の対ロケット、迫撃砲迎撃で90%近い成功率をあげている。
  1. ガザから発射されたロケット・迫撃弾は50日間で合計4,594発で、この内アイアンドームの迎撃失敗は70発にとどまる。アイアンドームの配備地区でイスラエル市民に死傷者は発生していない。この運用実績は米国で同システムの有効性を巡り疑問が出ているのと好対照だ。

  1. 「前例のない大きな戦略的成果になった」とイスラエル国防相モシェ・ヤーロン Israeli Defense Minister Moshe Ya’alon がAviation Weekに語っている。「アイアンドームはハマスの中長距離攻撃をほぼ無効にした」とイスラエル空軍高官も付け加える。「迎撃735回で数十名のイスラエル市民の生命を未然に守れた」

  1. イスラエルはガザ侵攻の前に人口集中地区にアイアンドーム6個部隊を配備した。さらにメーカーのラファエル高度防衛システムズ Rafael Advanced Defense Systems が完成直後の3個隊を納品していたので合計9隊で数千のミサイルに対応できた。さらに戦闘期間中に第10番目の装備も納品されたが操作員不足で稼働できなかった。

  1. パレスチナ側ではハマスとPIJ(パレスチナイスラム聖戦軍)が9,000発ものロケット弾をかきあつめており、そのうち1,000発は122-mmロケットで有効射程距離は 45 km、200発はM75 8インチロケット弾( 75 km)だった。その他の大多数は短距離弾。またシリア製の302-mmロケットR160(100 km以上)も持っていた。
.
  1. ただしエジプトからガザに密輸された標準生産品は少数。エジプトではアブド-アル-ファタ・ア-シシ大統領Abd Al-Fatah A-Sisi,が権力を握った2013年7月以後にガザ密輸トンネルを多数破壊したので、パレスチナ戦闘員はロケット等を自らの手で製作することを迫られた。即席ロケット弾の精度は低く、軌道も不安定でアイアンドーム操作員も混乱させられた。

  1. ロケットは多数発射されているが、そのうち人口集中地区に脅威となったのは25%で、殆どの場合は飛来するロケットに照準を合わせた「タミール」迎撃ミサイルが一対一で発射された。ただし大都市部がロケットの標的となった場合には二発で対処させた。なお、タミールミサイルの価格は一発50千ドルである。

  1. アイアンドームは完全自動モードでも作動できるが、イスラエル空軍は手動とし、操作員が毎回数秒以内に迎撃判断を下すこととした。これが功を奏し、イスラエル国民の生活はほぼ正常どおりで推移した。ただし、操作員の一人の過誤でイスラエルへの国際航空路線が一日半使えなくなった事例が発生している。

  1. ハマスはベン・グリオン国際空港攻撃を狙っていた。7月22日にロケット一発が発射されたが、アイアンドーム操作員が探知し、迎撃しない選択をしたのは民間航空への影響を恐れての事だった。結局、このロケットは空港から1Km離れた地点に落下し、その後FAAは米系エアライン各社にイスラエル便の運航停止を命じた。

  1. これに対しイスラエルは欧米各国にロケット攻撃とアイアンドームによる迎撃で民間航空への影響は「無視できる範囲」と説明し、「イスラエル空軍の分析ではランダムに発射されたロケット弾が飛行中の航空機に命中する可能性は10億分の一」とイスラエル民間航空局(ICAA)のジオラ・ロム Giora Rom 局長が各国へ書簡を送付している。さらにベングリオン国際空への航空路をアイアンドームの稼働範囲から分離する調整も行っている。その結果、エアライン各社は36時間後にイスラエル便を再開した。ただし大韓航空は例外。

  1. アイアンドームの作動条件は民間航空の運航を前提としており、アイアンドームにより民間航空機が被弾する可能性はロケット弾の命中確率より低いという。

  1. パレスチナ側はイスラエル攻撃を続けたが、備蓄が低くなり標的をガザ近辺の農村に切り替えている。アイアンドームは配備されていないが、迎撃を試みている。

  1. アイアンドームの活躍でイスラエルの被害は最小限となったが、それでもアイアンドームは迎撃に失敗していると主張する向きがある。とくにマサチューセッツ工科大学の物理学者テッド・ポストルTed Postol は迎撃成功率は5%にすぎないとの研究結果を示している。

  1. 「ばかげだ主張です」と反論するのはイスラエルミサイル防衛機構 Missile Defense Organizationの前局長ウジ・ルービン Uzi Rubin だ。「もしそれが正しければ、4,000発ものロケットがイスラエルに発射されたのにアイアンドーム配備地区で死者がでていないのはおかしいでしょう。2006年のヒズボラ攻勢でもほぼ同数のロケットが発射されており、当時はアイアンドームがなく死者多数が出ています」

  1. 米議会もアイアンドームの効果を認め、225百万ドル追加支援を8月1日に承認している。この予算でアイアンドーム迎撃弾の追加調達ができ、これで米国による支出総額は13億ドルになった。

  1. ただしアイアンドームの効果が目立ちすぎて 負の影響も出そうだという。イスラエル国防関係者が言う。「これではイスラエルに被害が全然ない印象を与え、なぜイスラエルが戦闘に踏み切ったのか世界に説明できなくなる」■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。
Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★ロッキードが極超音速技術の完成に近づいている模様、SR-72との関連へ注目

Amid SR-72 Rumors, Skunk Works Ramps Up HypersonicsSR-72の噂と関連か、スカンクワークスの極超音速技術が加速中
Sep 27, 2017Guy Norris | Aerospace Daily & Defense Report http://aviationweek.com/technology/amid-sr-72-rumors-skunk-works-ramps-hypersonics
SR-72: Lockheed Martin FORT WORTH, Texas—ロッキード・マーティンが極超音速技術開発を加速化しており、初の実証機を目撃したとの報告もあり、スカンクワークスが進めるSR-72高速機開発との連関が注目される。 「詳細は言えませんが、スカンクワークスのあるカリフォーニア州パームデールで超高速飛行実現の動きを倍増しています」とロッキード・マーティンで航空力学執行副社長オーランド・カバルホOrlando CarvalhoがSAE 国際航空技術学会で語っている。「端的に申し上げれば米国は極超音速革命まであと一歩まで来ています」 Darpaと米空軍研究実験部門が共同で進める推進滑空兵器および極超音速空気取り入れ式兵器コンセプト研究に言及して、カバルホは「この十年で研究は大幅に進み、極超音速技術で状況が一変する意味があることが明らかになってきました。今後も研究テストを進め、極超音速飛行の実現にDarpaとのプロジェクト二件を活用します。国家安全保障ではスピードが肝心です」 SR-72への言及はなかったが、同社が極超音速機として退役済みの高速SR-71ブラックバードの後継機を提案中であることは広く知られており、カバルホの前向きな発言はロブ・ワイスRob Weiss(ロッキード・マーティンの高性能開発事業体執行副社長兼総支配人)の発言に重なる。6月にワイスはAviation Weekに選択的に有人操縦となるSR-72の前身となる飛行研究用機体(FRV)が予定通り進行中と暗に述べていた。 スカンクワークスはFRV開発を来年から始めるといわれ、初飛行予定は2020年だ。FRVはF-22ほどの機体サイズで推進力はフルスケールのコンバインドサイクルエンジン一基だ。しかし実証機に先立ち、ロッキードは各種技術の地上・飛行テスト…

★★真偽は?日本もUCAVを開発していた

日本にもブラック事業がある(あった)のでしょうか。映像公開したのは機密解除になったのか、事業がもっと先に進んでいるからでしょうか。各務原での目撃がないことから別の場所で秘密裏に開発されたのでしょうか。川崎重工関係者は口がさけても語れないと思いますが、事実なら日本もUAV-UCAVを開発していることがわかりますね。判断は読者の皆さんにおまかせします。This is the combat drone Japan has been building in secretこれが秘密裏に開発していた日本の戦闘無人機だ 川崎重工ブースのビデオでUCAV試作機の飛行状況を写していた (Photo by Harold Hutchison) By Harold HutchisonOct. 06, 05:10 AM http://www.wearethemighty.com/news/this-is-the-combat-drone-japan-has-been-building-in-secret
無人戦闘航空機、つまりUCAVはこれからの軍事航空のカギを握ると言われる。米国、ロシア、フランスが開発中と判明している。 だが本誌We Are The Mighty (以下WATM)はこのたび日本も秘密裏にUCAV開発を進めていたことを知った。 ワシントンで先ごろ開催された空軍関係のイベントでWATMは川崎重工業のブースでビデオ画像を見た。それは同社によるUCAV研究開発の様子で、画像内のUCAVはボーイングX-45やノースロップ・グラマンX-47に似ているようだった。 会場で詳しく聞こうとしたが、同社係員が日本政府の意向だとしてやんわりと断ってきた。翌日も別の係員はこの件は存じていないと答えてきた。 結局三番目に会った川崎重工の小林タクミ氏が「試験機で10年近く前のもの」とし、「防衛省予算による実験事業だった」と説明してくれた。同氏はさらにメールで「2008年ごろのプロジェクト」と述べている。 WATMが当時空軍の筆頭参謀次長として情報監視偵察分野を担当し現在は航空宇宙研究にあたるミッチェル研究所の所長をしているデイブ・デプチュラ退役空軍中将に日本がUCAV開発をしていた事実を知っているか聞いたところ、即座に「知らない」との答えが返ってきた。 このことから日本のUCAVは秘密のベールに隠されていたことがわか…