Editorial: JSF Program Has Some Explaining To Do
Aug 12, 2014 | Aviation Week & Space Technology
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英国航空ショー出展ができなかった失態を示したF-35だが、数多くの課題が未解決のままだ。この解決がないままでは史上最高価の兵器調達がもとの軌道に戻ったとは到底言えない。今回の飛行停止の原因はエンジン関係で、狭い技術問題としてではなく、他装備の開発でも参考となる教訓を得るべきだ。
- 現在F-35の飛行再開は限定つきで、JSF開発室とエンジンメーカーのプラット&ホイットニーには6月23日発生のファン関連の事故原因を詳しく説明する義務が残ったままだ。
- プラットはエンジン事故の公開聴聞会を取りやめ、7月以来事故関連の情報開示はほとんどない。この沈黙には失望させられるが理解できないこともない。事故調査がまだまだ進行中だ。とはいえ、納税者に対して原因と再発防止策を説明する義務がある。
- さらに、もっと大きな問題がある。中でもF135エンジンが技術生産準備段階engineering and manufacturing development (EMD)を核心的な問題解決のないままで完了している。本当に今回発生した事故は特殊事例だったといえるのか、開発初期段階で設計上の齟齬が表出することがあるが、通常はフライトテスト開始前に解決されるべきものだ。今回の事例でEMD段階で他にも未解決の問題があったのではとの懸念が生じている。
- プラットエンジンの不良問題から「だから言ったじゃないか」と代替エンジンを準備しておくべきだったという声が出ている。GEとロールスロイスは高性能ターボファンエンジンをF136としてJSF用の代替エンジンとするはずだった。ペンタゴンは第二エンジンを採用した場合の費用増大を恐れていたので真剣でなかったが、議会は第二エンジン開発予算を数年に渡り認めてきた。2011年になりオバマ政権がプラット支持派とともに葬り去った。後味の悪い政治劇であった。
- 今回の飛行停止を受けて上院歳出委員会からペンタゴンに代替エンジンの再検討を求める提言が出さた。だが時間を元に戻すには遅すぎるだろう。ペンタゴンの調達トップを務めるフランク・ケンドールは開発段階が終わろうとする中で代替エンジンの必要は減って来たと主張。なにごとにも対価があり、エンジンが複数になればそれだけ費用が増えるが、逆にひとつしかないとリスクも増える。ただし機体供用期間の半ばで商用エンジンの技術を応用したコスト削減が可能なら代替エンジンを検討すべきである。
- 一方でプラットは納税者の負担でエンジン開発をしているのだから情報開示をすべきだ。エンジン供給で独占状態でありながらエンジン価格については競争上降りになるので非開示だという同社主張は虚しく聞こえる。
- 良いニュースがここ数年聞こえてこないJSFだが、初期作戦能力獲得時期は各型で異なり、海兵隊のF-35Bが今年12月、空軍用F-35Aがその一年後、海軍のF-35Cが2019年2月とされている。しかしそもそも開発開始当時の2001年段階から機体単価が二倍になり、量産開始も7年遅れ2019年になろうとしている。今回のエンジン火災問題に加えソフトウェア開発の遅延や機体維持の費用問題が深刻な課題になっている。
- F-35開発室のクリストファー・ボグデン米空軍中将はJSF関連メーカー各社の実績に不快感を隠していない。現在の課題はJSFがこれ以上の遅延を発生させず、コストも肥大させないことだ。今回の不良の原因は解明した上で説明されるべきで、教訓は他の国防装備、宇宙システムの調達に活用できるはずだ。■
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