強襲艦のロシア売却取り消しに成功したフランスとまったく痛みのないロシア


結局ロシアが損をしなかったことになりそうですね。ロシアは制裁の意味がないことを政治的に宣伝しそうです。今やフランス艦となった二隻をこれからどうすのかが焦点ですが、一度ロシア仕様として建造してしまった艦ですから買い手は言いたい放題でしょうね。


Mistral Dispute With Russia Settled, France Eyes Exports

By Pierre Tran 11 a.m. EDT August 9, 2015
Mistral warship Sevastopol(Photo: Georges Gobet/AFP)


PARIS — ロシアはミストラル級ヘリコプター空母2隻の前金として893百万ユーロ(978百万ドル)を支払っているが、オランド大統領とプーチン大統領が正式に商談を破棄した結果、フランスは全額以上を払い戻すことになりそうだ。
フランス大統領府から8月5日にミストラス商談は破棄され、ロシアは前金分の払い戻しを受けるとの発表があった。ロシアが支払った400名の水兵訓練費用や装備品を撤去してロシアへ返送する費用もフランスが負担する。総支払額は12億ユーロになるとオランド大統領が8月6日に発言したとAFPが報道している。フランス政府は詳細を議会に説明し了承を受ける。総支払額は12億ユーロになるとオランド大統領が8月6日に発言したとAFPが報道している。フランス政府は詳細を議会に説明し了承を受ける。
今回の交渉が成立しないとフランスは窮地に追いやられるところだった。ロシアは払い戻しに違約分を加えるよう求めていた。国際仲裁手続をとっていれば 2年3年かかりフランスの支払総額は20億ユーロになっていただろうと関係者は語る。
ミストラル級への引き合いが高いため、ロシア向け商談が流れてもフランスにとっては関係がないとオランド大統領は発言している。「多くの国が各艦に関心を示しているので、買い手を見つけるのは難しくないし、フランスにとっては余分なコストも発生しないはず」
エジプトがサウジアラビアの支援をうけて二隻の購入に意欲を見ている。どエジプトは域内での海軍力整備に動いているとルモンド紙が伝えている。「エジプトがサウジアラビアとともにミストラル級2隻を引き受ける準備ができているとエジプト政府関係者が発言した旨ルモンドが伝えている。サウジアラビアはエジプトによる海軍兵力整備を期待しており、紅海から地中海に兵力投射を実施させようとしている。
エジプトが取得した場合、2隻あれば1,000名の兵員、装甲車両、ヘリコプターを搭載しイエメン、リビア他へアラブ連合部隊を展開できる。サウジアラビアとエジプトは密接な関係にあり、サウジ政府は40億ドルをエジプトに供与している
保守・極右政治家は商談取り消しを批判しているのは武器輸出国としてのフランスの信用が傷つくことだ。
オランド大統領はこれに対しロシアから支払い済み前金と訓練費用だけを返金しペナルティはないと主張。支払い面の詳細は9月に議会に伝えるという。
オランド発言はエジプトでスエズ運河拡張工事完成を祝う式典に参加した際のもの。フランスはエジプトにラファール戦闘機、DCNS製多用途フリゲート艦1隻、ゴーウィンド海防艦4隻を売却している。エジプトはさらに海防艦2隻を追加購入する交渉中だという。
カナダ、インド、シンガポールがエジプト以外に関心を示しているとフランス複数のウェブサイトが報告している。
「両艦合わせての当初の価格は12億ユーロほどだった。合意内容の価格はこれを下回り、ロシアは前金とほぼ同額を受取る」と国防相ジャン・イブ・ルドリアンが8月6日に語っている。フランスは785百万ユーロで示談を申し出たが、ロシアは1,163百万ユーロの支払いを求めてきたとロイターが伝えている。
今回の払い戻しにより国防産業がどんな悪影響を受けるのか危惧する向きがある。「財源はどこにあるのか。だれが払い戻すのか」と国会議員フランソワ・コムジェンティルが問う。国防省だけに負担を求めれば他の地装備調達が狂うというのが議員の論点だ。
国防省からは商談取り消しと払い戻し問題は政府最高レベルが関与すべき事柄であり、財政負担は広く政府が負担すべき、軍だけに求めるべきでないと言ってくるだろうと国防専門家は見ている。
ミストラルは多用途艦で、人道救難援助には軍民両用で使えるとジャック・ゴーティエ上院議員(国防・外交・軍事委員会副委員長)は説明。「医療用スペースも式発令所用にも大きく使える設計のためブラジルやインドネシアと言った地域内大国も関心を示している、と説明。
フランス海軍はミストラル級3隻を運用中であるが、厳しい予算の中、さらに2隻追加導入する予定はない。今回の2隻の維持費用は最低でも一ヶ月百万ユーロかかかるとDCNS会長エルヴェ・ジローは報道陣に語っているが、同社は論評を避けている。保守維持費用には両艦のエンジンを始動し防錆効果の実施もふくむと業界筋は説明している。
輸出交渉は難航しそうで買い手は値引きを期待するはずだ。ミストラル級二隻がロシアの技術仕様に合わせて建造されているためだと同筋は説明。
軍は通常は自軍の仕様で装備を調達する。ロシアは自国用装備をすべて艦内から撤去するが、艦自体は寒冷海域の運用を想定し、ヘリコプター甲板には暖房装置もついている。格納庫はカモフの攻撃ヘリ運用を想定し拡張されている。ここまで作りこんであるので、艦は非常に特定化されているといってよい。
そのためそのまま売却するのが困難で、実現してもフランスは損をすることになると専門家筋は見ている。
契約書で取消の場合はロシアは前金を受け取り、装着済みロシア製装備は返還することになっており、両艦はフランスが保有管理することになっている。フランス大統領府はこう発表している。
ロシア政府からはフランスが前金返還で本件は終了したとの発言がああった。「フランスからはすでに返金があり、装備品が返却されれば完全にフランスは艦のオーナーとして自由に両艦を処分できる」と声明が出ている。「ロシア政府としてはミストラル問題は完全に解決したと見ている」
フランスは西側同盟各国に加え東欧やバルト海諸国からも両艦の引き渡しを中止するよう圧力を受けていた。ウクライナ危機が申告になり、ロシアがクリミア半島を併合したため猜疑心が強まっていた。ただフランスはロシアと良好な関係を維持しようと画策し、国内にはミストラル級引き渡しを求める動きもあった。■

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