スキップしてメイン コンテンツに移動

★南シナ海、中国の人工島建設問題>米軍は12カイリ以内の航行飛行をしていなかった



また上院軍事委員会のやり取りの紹介です。質問する側も答える側も真剣に言語で対応する姿勢には感服させられます。日本の国会議員の質を嘆く前に日本社会の言語空間がどれだけ貧しいかよく考えたほうがいいのではないでしょうか。さらに言えば、この問題は日本の国会ではまったくとりあげられていないのでしょうか。既成事実の積み上げという中国の作戦になにも打つ手がないというのもおかしな話ですね。

US Hasn’t Challenged Chinese ‘Islands’ Since 2012

By SYDNEY J. FREEDBERG JR.on September 17, 2015 at 2:20 PM

CSIS image中国が完成を急ぐフィアリークロス環礁の航空基地(CSIS image)
CAPITOL HILL: 米国防関係者は本日、中国が進める南シナ海の人工島建設について少なくともこの三年間は主権問題で異議を直接唱えていないとを認めた。米軍機が人工島上空を飛行しておらず艦船も12カイリ以内を航行したのは2012年が最後だという。
アシュ・カーター国防長官が今月になって威勢のよい発言をしたが実は空虚なことばではないのかとの疑義が生まれそうだ。長官は中国が主張する問題個所でも「国際法の許す限りで飛行、航行、作戦実施を続ける」と発言していた。習金平主席の訪米も今月に控え、発言の中身が注目されていた。
12カイリ問題は特に重要だ。中国は新たに造成した「島嶼」から領海を主張するはずだ。米側の主張は水没するサンゴ礁の上に人工構造物を造成しても法的な権利を周囲の水域あるいは空域に主張する根拠はないとする。中国側は南シナ海全体を自国領海だと主張しており、悪名高い「九段線」を根拠としているが、米側は相手にしていない。
ジョン・マケイン上院議員の中国に人工島の建造、運用を許してはならないという見解には党派を超えた支持が集まっており、今朝は同議員との応酬が大きな見せ場になった。
「わがほうは当該地を航行、飛行を毎日のように繰り返し実施しています」とデイビッド・シア国防次官補(アジア太平洋地区安全保障問題)は発言し、「航行の自由」を守るための作戦を4月から展開していると述べた。
「だが埋立地から12カイリ以内では運用していませんね」とマケイン議員は問いただした
「航行の自由作戦を実施しています...」とシアは口を開いたが、「埋立地点から12カイリ以内に入ったのか」とすかさずマケインが遮った。
「最近は埋立地から12カイリ以内には入っておりません」とシアは認めた。
では最後に入ったのはいつか、とマケインは問いただした。
やや間をおいてからシアは「12カイリ以内での航行の自由の作戦は2012年実施が最後だったと思います」と回答した。
「2012年ね、三年前ですな」とマケインは厳しい表情で口を開いた。
民主党の軍事委員会ジャック・リード議員の質問に対し太平洋軍司令官ハリー・ハリス大将は中国が主張する陸塊上空の「通過飛行も実施していない」と認めた。
中国の人工建造物は力の均衡にも影響を生じている。中国は浚渫により海軍艦艇を運用可能な港湾設備を建設中のほか、3,000メートル超の滑走路複数もけ整備中で、スペースシャトル除くいかなる機体も運用できるようになるとハリス大将は上院で語っている。
米国が各島嶼の12カイリ以内を航行・飛行して法的な主張に異議を唱えないと、中国は自国主権を堂々と主張して紛糾を抱える戦略海域を手中に入れるだろう。「12カイリ原則を守れば、事実上主権を認めることになり、中国の主張に暗に組することになる」とマケインは本日の審議を振り返ってコメントした。
だが米軍が接近すれば中国はこれを米側の挑戦状だと受け止めそうだ。さらにアヘン戦争以来176年にわたり国家的なトラウマに苦しむ中国が危険な反応に踏み切らない保証はない。主権が侵されたと考えれば過激な策に走るかもしれない。米側は中国とは軍同士のつながりを維持することで緊張が増大しないよう努めてきたが、それでも米側政策担当者には島嶼問題にエスカレーションなしでどう対応すべきか自信がなくなっている。当然のことながら該当地で堂々と挑戦的態度を示すためには注意深く行動しても危険な衝突は起こりうるし、死亡者も発生するだろう。
シアは中国が一方的に主権主張する該当地の航行・飛行は選択肢の一つにすぎないとし、実際には実施できない選択肢だという。「航行の自由作戦は広義の対策手段のひとつにすぎません。事態が進展していけば航行の自由作戦以外の選択肢も検討対象に入ります」
「太平洋軍は選択肢を用意しており、軍事含む広範な選択肢を長官に提示済みです。指示あれば実施できる体制にあります」とハリス大将は述べている。
なるほど、だがどの選択肢を取るべきと考えているのか、とダン・サリバン上院議員は問いただした。「貴官の職責から言って12カイリ以内の航行あるいは飛行をすべきと考えますか」
これに対しハリス大将は政策決定の権限は国防長官にあり最終的には大統領であると答えたうえで、個人の意見として「南シナ海で航行の自由は海上、上空の双方で行使すべきです。中国が主張する島嶼は島ではありません」と述べた。
「12カイリ以内でですか」とサリバンは尋ねた。
「場合によりけりです。もし....」
サリバンはそれを遮り、中国が建設中のフィアリクロス環礁上の滑走路写真を示した。「ここではどうでしょうか」
「ここは対象です」とハリス大将は答えた。
このままでは軍事脅威が生まれると同提督は発言した。中国が建設工事を進めれば「ミサイル発射、第5世代戦闘機運用、偵察監視活動の拠点になる」と議員を前に説明し、「中国は事実上の南シナ海の支配を戦闘時除き確立してしまう」と述べた。
ただし交戦になれば「これらは容易に攻撃できます」と語った。
「中国は非常に新しい装備を配置し運用能力が増大していますが、こちらは技術上の優位性をほぼ全域で確立しています」とハリス大将は述べた。「わが軍の能力からすれば中国に勝利することは十分可能と自信を持っています。ただしこの事態が発生しないよう祈りますが」
「とはいえ、技術優位性の維持は必要です。向こう側も進歩しているからです」とハリス大将は続けた。具体的には第五世代機のF-22やF-35の配備とともに既存の第四世代機F-15、F-16、F-18の性能改修も必要だ。既存機種を多数相当長く運用する必要があるためだという。
「質的にはわがほうが有利です。練度はこちらのほうが高く、装備の性能も高い。ただし量が有利になることもあります」
中国軍装備が近代化とともに増強されていくことから「中国の軍備増強のペースに対してわが方が予算強制削減を引き続き受けていることに憂慮せざるを得ません」とハリス大将は述べ、予算管理法による支出上限に触れた。「2020年代に入るときわめて現実の問題になりかねません」■



コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…