まもなくと言われ続けてきたLRS-B受注企業の選定も本当にまもなくのようです。ここにきて空軍から意図的に次期爆撃機の情報が開示されてきました。すべて真実であればLRS-Bの開発課程はこれまでと相当違うようで、しかも両案とも完成度が高いので選択はむずかしそうですね。一方で新型機の開発調達で相当の失敗が続いていますので、今回の案件が成功すれば、空軍も自信をつけるでしょうね。ゲイツ元長官の置き土産としても高く評価されるのではないでしょうか。
LRS-B Details Emerge: Major Testing, Risk Reduction Complete
By Aaron Mehta11:26 a.m. EDT September 2, 2015
WASHINGTON — 米空軍向け次期爆撃機で採用を狙う設計二案はすでに空軍が相当のテストを行っており、これまで理解されていたよりも完成度が高いことがわかった。ペンタゴンが契約の交付前にここまで行うのは異例だ。
各設計案にはかなり高度なステルス性能があり、B-2から相当の改善となっており、核兵器運用の認証は将来取得し、任意で有人操縦となる。
長距離打撃爆撃機(LRS-B)は空軍にとって三大調達案件の最上位とされ、これまで秘密のベールに覆われてきた。空軍は二案から選択を迫られる。ノースロップ・グラマン案とボーイング=ロッキード・マーティン共同案だ。契約交付はまもなくと見られ、9月中だろう。
9月1日に空軍は外部関係者を招いた会合を開催し、新情報を開示している。同会合について詳しい関係者2名から空軍が設計二案をかなりの範囲でテストずみであることがわかってきた。
そのうちひとつの筋から空軍関係者が両案とも「非常に完成度が高い」と述べ、風洞テストや生存性テストを実施し全角度から設計案の評価が進んでいると明らかにしたとのこと。ただし両案で実機飛行は行っていないと両方の筋が述べた。
要求性能は2013年5月に最終版とされたと同上筋は言う。そのあとで二社の設計チームは開発テストを開始し、空軍はリスク低減策に注力している。
二人目の筋は空軍のブリーフィング担当者が二社の設計案は大きく異なり、エンジン、電子戦装備、通信システムなどのサブシステムでも類似性はないと発言していたという。サブシステムの契約企業名は発注先が決まっても公表されないと二人目の筋は見ている。
「EMD(技術製造開発段階)以前でここまで完成度の高い事案はなかった」と一人目の筋は言う。「これまでと全く違う。すでに数年間をテストに使っている」
一人目の筋は空軍関係者からリスク軽減策が「アクセスパネルまで全てに対して」実施されたとの発言があったという。
「リスク軽減が実施されている。設計案は技術的に完成度が高い」と空軍関係者が発言している。また「航空機製造でここまで完成度が高い例は見たことがない」とも述べているという。
調達プロセス初期でここまでのテストを実施するのは異例で、その理由として事業が迅速戦力整備室Rapid Capabilities Office (RCO)の担当であるためであるという。同室は空軍調達部内でX-37B宇宙機など極秘事業を担当している。
その名称どおり、RCOは空軍の通常の調達手順と異なる形で業務を進める部署で技術調達で裁量を与えられている。同室に事業を任せる決定は2011年に当時のロバート・ゲイツ国防長官が下したもので、開発中止になった次世代爆撃機事業の問題点を分析した結果だ。
RCOが関与したことでこれまで空軍が長く主張してきた次期爆撃機には既存技術を流用するとの説明が微妙になる。一部観測筋は空軍が既存民生技術を使って機体価格を抑えると見ているが、RCOには一般人が聞いたこともない技術を自由に扱える権限がある。
「EMDで想定するより三年先を行っています」と一人目の筋は解説する。「EMDにもっていくために通常より高い技術の完成度を求め、その代償を提供することにしたのです。これがRCO方式ですね」
空軍の説明者からは発注先選定の時期、選定方法では詳細説明はなかった。ただし、同機開発の今後を示す情報を開示している。
- 契約は二部構成でEMD契約では実費プラス奨励金方式となり、低率初期生産段階の5ロット分は固定価格で奨励金はなしで21機を生産する。
- 契約交付とともに空軍は開発コストの詳細を共有する。運用コスト維持コストの試算はマイルストーンC後に出る。
- The bomber design will have a robust electronic attack element on board
- 爆撃機には強力な電子攻撃装備が搭載される。
- 核攻撃運用の認定は最初はないが、その後核攻撃用ソフトウェアとハードウェアを1号機用に製造する。認証手続には生産機材5機を同一仕様としソフトウェアが必要なので、十分な機数が製造されテスト業務に割り振る事が可能となってから始まる。
- 構想では任意有人操縦となっているが、初飛行は有人操縦で行い、初期生産機体に無人操縦装置を組み込むのか、後日追加するのかは不明。一人目の筋は無人操縦設定は「当面の優先課題」ではないという。
- 空軍はオープンアーキテクチャ方式の採用にこだわっており、将来の性能向上を安価に行う事を狙う
双方の筋は空軍関係者がB-2と比べ相当のステルス性があるとしており、B-2設計当時は入手不能だった生産素材画素の背景にあるという。
機体寸法については空軍説明者はあきらかに口にしたくなかったようだ。ただしUCLASSでは小さすぎ、B-2では大きすぎると明確に示している。
「発言と身のしぐさからB-2より小さいとわかる」と一人目の筋は言う。「機体の大きさはエンジン技術に左右されているようだ」
2番目の筋もこれに同意見だが、小型機だからといって航続距離が短くなるとは限らないという。ただし空軍がペイロードを航続距離のため犠牲にすれば。空軍の説明者はペイロード総重量の関係よりも同機が多様な兵器を搭載できる事のほうが重要だとしている。
三番目の筋は同上会合には参加していないが、同機に詳しく、設計案はB-2と比較すると「ペイロードは2割減、航続距離も2割減」だろうとする。同筋はどちらの企業が受注するにせよ、形状は全翼機形状でボーイング、ノースロップがそれぞれ作成したUCLASS設計案に類似しているとする。
総合すると各筋で一致するのは会合で参加者は米空軍は今回の爆撃機開発を予想をくつがえすほど巧妙に運営していることがわかったという。議会がすでに同機事業になみなみならぬ関心を示しているのでこの点は重要だ。
「空軍は実力を発揮してやろうと決意しており、実際にそれに成功していると見る」と二人目の筋は言う。「うまく運営されていると思う。コスト問題を深く意識し、むしろそれを真正面からとりあげようとしている」■
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