いつもながらイスラエルの論理、行動様式には感心しますが、すでにF-35に愛称をつけただけでなく、段階的に同機を導入することで交渉力をつけ、一方で国産装備との親和性を確保すべく改装も検討し、いざという際を想定して機体整備実施でのルール除外で予め合意を得ておく、さらにもっと大変な事態を想定してB型の導入も検討している...すごい。F-35によるイラン攻撃が起こらないといいのですが、イランの先制攻撃を受けた後の報復としてF-35をステルス性をかなぐり捨てても怒れる翼として使用する想定のようなので、来年以降に同機が実際にイスラエルに導入されれば中東で抑止力として働くでしょうね。では日本の場合はどうでしょうか。今後の進展に期待しましょう。しかしF-35を55年間も運用するとは想像しにくいですね。
Eyeing Iran, Israel Readies for Stealth Strike Fighter
By Barbara Opall - Rome 4:11 p.m. EDT September 5, 2015
TEL AVIV — イラン他の仮想敵を念頭に、強固な防空体制の突破を狙うイスラエルはF-35アディールAdir (ヘブライ語で強者の意味)ステルス戦闘機の導入(2017年)に備え準備を進めている。
- 最初の2機がイスラエルに到着するとイスラエル空軍(IAF)のゴールデン・イーグル飛行隊(ネゲヴ砂漠のネヴァティム空軍基地)に編入される。
- 2017年までに初期作戦能力(IOC)を獲得する想定で作業が同時に進行している。イスラエルは米政府支援でスムーズな運用開始を期待している。
- 「同機が実現するステルス性その他高性能は明らかだ」とIAF関係者がDefense Newsに語っている。これはイランが供与を受けると言われるロシア製S300などを使った高度の防空体制を前提にした質問への答え。
- 「敵に攻撃を加える可能性は十分にあり、かつ実現可能だ」とE少佐は語る。少佐はアディールプ・ロジェクトを統括し、F-35操縦パイロットにも選抜された。
- 「これまでできなかったことが今後は実施可能となる」と同少佐は語ってくれた。なお、保安上の理由で本名は伏せた。
- 「域内の心理状態も変わるだろう。邪魔を受けずに敵を攻撃できる。戦争の仕方が大きく変わることは敵も承知だろう」
- 現地及び米国内取材で関係者から主契約企業ロッキード・マーティンがイスラエル国営ラファエルと共同でイスラエル製の空対地兵器類を同機に搭載する作業を進めていることが判明した。
- 同様にロッキードはイスラエルが提案する主翼への外部タンク搭載で機体内部タンクの18,000ポンドの燃料を追加する案を検討中。
- 「外部に追加燃料を搭載した際の功罪を検討中」とロッキード・マーティン関係者がDefense Newsに語っている。「航空優越を確保した後ならステルス性を心配しなくてよい。そこで燃料タンクを追加できる。探知される心配がなくなるからだ」
- イスラエルの国防筋業界筋からはステルス性を維持しつつF-35用コンフォーマルタンクが欲しいとの声が出ている。探知の危険が少ないままで飛行距離を二倍以上にできるのなら検討価値は十分ある。
- 「コンフォーマルタンク開発で肝心のステルス性が犠牲になるのは困る」と上記IAF関係者は述べた。
- イスラエルはすでにF-35開発事業の要求事項である機体の維持はロッキード・マーティンが運営する指定施設のみで行い自国では重整備の実施しか許さない条項の除外適用を勝ち取っている。
- 現地の関係者によればアディール向け補給支援センターが飛行隊司令部のあるネヴァティム空軍基地内に立ち上がろうとしており、IAFはロッキード・マーティンの自律型補給支援システム(ALIS)へ無制限のアクセスを許されることになるという。ALISは世界規模で同機の運営を支援するネットワークで運用国に機体耐用年数の55年間で一貫した機体維持の立案、実行を可能とする仕組みだ。
- 「ALISはうまくできており、自動化されており、ロッキード・マーティンの思惑通り非常に効率良く費用対効果が高いはずだが、1点不満な点は自国内に敵のミサイルが飛んでこない国向けにできたシステムであることだ」と上記IAF関係者は述べた。
- 「ミサイルが国内に落ちてきたら、イスラエルにくる航空機も船舶も減る。だからイスラエルは自国で補給を戦時でも維持する独自方法を模索している」のだという。
- ロッキード・マーティンでF-35国際ビジネス開発にあたるスティーブ・オーヴァー部長はイスラエルには「自国内で軽整備を実施する能力は十分ある」とし、有事の場合を言及している。だが機体重整備やエンジン整備は共同開発室が運営し、同社が設けた設備で行う必要があり、「これは他の運用国と同じ」と述べた。
- 別の取材でオーヴァー部長は重整備の実施は厳重な保安体制の下で行うとし、監視措置を必要条件としていると語った。「機体を分解すれば秘密が白日のもとにさらされます。そのため作業は指定施設でのみ行うのです」
- ロッキード幹部はイスラエル独自で機体支援機能をさらに高い次元に引き上げる能力があると同国を評価しており、ソフトウェア全体が影響を受けない限り黙認する方針だ。同社は凍結滑走路を考慮して読jにドラッグシュートを装着するノルウェーの例をあげた。
- 「イスラエルには独自策の実施能力がありますが、機体設計全般や性能自体に影響が出る改装は関係国が事前合意しない限り実施できません」(オーヴァー)
- その一方、IAFは第一陣パイロットを米空軍ルーク空軍基地(アリゾナ)ヘ送り訓練を来年中頃までに開始する整備要員も米空軍の補給支援基地があるエグリン空軍基地(フロリダ)他米国内施設で実施する。
- 米政府はイスラエル向けF-35輸出を計75機承認しているがイスラエル政府が契約したのは33機だけだ。
- 当地の国防筋によればイスラエルは次の17機の成約を複数年度方式で完了させる意向で、2020年までを視野に入れている。ここまでの50機はF-35A仕様の想定。
- その後、米国政府が追加安全保障支援を提供する前提で、イスラエルはF-35Bを25機追加する可能性がある。短距離離陸垂直着陸方式の同型はイスラエルにとっては敵ミサイルが国内基地を攻撃する可能性を考えると説得力のある選択だ。
- 「最初の50機はA型で問題はない」と上記IAF関係者は言う。「75機全部を調達するのならSTOVL型も検討対象だ。ただし利点と不利な点があるが、オプションはいつも維持しておきたい」■
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