T-Xで米空軍は相当の高性能機を求めているようです。T-38の正常進化なのかもしれませんが、予算が厳しい中でそこまでの高等練習機が必要なのでしょうか。有事には軽戦闘機として投入可能な機体が本当は必要なのでは。その意味でスコーピオンには期待していたのですが、製造元もT-Xには新規設計機でないと太刀打ちできないとわかったようです。
Textron AirLand Considers Clean-Sheet T-X Offering
By Aaron Mehta 3:32 p.m. EDT September 21, 2015
WASHINGTON —テキストロン・エアランドが米空軍向けに次世代練習機案を提出する場合は完全新設計機とし既存のスコーピオンの改修案にはならないと同社幹部がDefense Newsに語った。
- 社長ビル・アンダーソンは先週の取材でスコーピオンはISR・攻撃兼用の機体であり、「T-X候補にできない」と軍の要求性能を念頭に語っており、同社としてT-X受注には「新設計機が必要」と述べた。
- これは一年前の方針からの変更だ。同社はスコーピオン改修で競合に勝てると考えていた。改修案では主翼を小型化しつつ強化し、空力特性も改良し、エンジン推力を増加させるとしていた。
- T-X事業で空軍はT-38後継機として350機を調達する。契約企業は2017年下半期に決める予定だ。
- T-Xの要求内容がどれだけ変わったかを見るには、同社の軍用事業開発担当副社長スティーブン・バークの発言に注目されたい。
- 「空軍は未知数の機体には全く興味を示しておりません。当社としては実際に飛行可能な機体を訓練用途の目標に合わせます」
- その後ノースロップ・グラマン主導のチームはホーク練習機を基にする案を中止し、完全新型機開発に切り替えた。一方、ジェネラルダイナミクスもアレニア・エアルマッキM-346練習機を原型とするT-100提案で主契約企業を断念した。
- 今度はテキストロンが新型機案に切り替わろうとしている。
- アンダーソンは「空軍の最新要求は高性能機を求めている。スコーピオンは多用途機だがISR・攻撃用途に特化しており、要求内容を検討してみたところ同機の改修では追いつかないことがわかった」としている。
- ただし同社が新型機設計に踏み切るとしてもスコーピオンで得た製造設計上の「教訓」が参考になるとアンダーソンは言う。ただし同社がこのまま競作に残るかは最終要求内容次第だという。
- 「教訓をもとに新型機をT-X候補として売り込むとしても、空軍が要求内容の最終版を固めて予算手当もつけてからの話でしょう。当社としてこのままT-X競合に残る決定をするのは今の段階では困難です
- 「事業に関心を払っているのは事実です。会合はすべて出席しており、進展を都度追っています。空軍からも情報開示の要望が多々あり、空軍とは率直な意見交換をしています」
- スコーピオンはもともとISR機として設計しているが、軽攻撃用途にも転用できる。同社によればスコーピオンの一時間当たり運行コストは3千ドルで、モジュラー化したペイロード運用を想定しているという。
- スコーピオン試作機の累計飛行時間は500時間を超え、テキストロンは二号機の製造を始めようと準備中だ。二号機にはパイロットや技術陣のフィードバックを反映した設計変更として着陸装置の重量軽減化や主翼形状を変更するとアンダーソンは言う。
- 「現行設計をさらに洗練させるものです。普通の人にはどこがちがうのかわからないでしょうね」
- 一方で同社は引き続きスコーピオン最初の導入先を模索している。アンダーソンは具体的な国名は話さないが、前向きな感触が得られたといっている。
- 購入に手を挙げる動きがないまま、スコーピオン開発をどこまで自社負担で続けるのか聞かれてアンダーソンは現在の状況に「非常に満足している」とだけ答えた。
- 「時間はかかりますよ。テキストロンは生産仕様の機体製造を真剣に考えており、事業に自信を持っていることのあかしです」■
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