Pentagon Bomber Evolution Underway
aviationweek.com Sep 2, 2010今後配備すべき長距離爆撃のニーズ分析の最新版がぎりぎりのタイミングで提言としてまとまられ2012年会計年度予算案に反映されることになった。
- だ からといってこのニュースに期待を寄せる向きは第一線の爆撃機運用部門には皆無に近い。各軍の統合運用構想を取る政治上の動きでは地上軍が大きな影響力を 持っており、調達予算にも反映されがちだ。また共用打撃戦闘機の費用超過もあり、提言の内容は控えめなものになりそうだ。
- 提言に盛り込まれる可能性が高いのは長距離通常弾頭弾道ミサイルだが。開発日程・予算規模ともに不明だ。通常型迅速グローバル攻撃(CPGS)構想が海兵隊カートライト大将(統合参謀本部副議長)のお気に入り。
- 次 の二つの構想には指示はあるものの予算はほとんど期待できない。1)各軍共用の長距離巡航ミサイルでヴァージニア級潜水艦、B-52のどちらからも発射で きる 2)海軍の無人戦闘航空機(UCAV-N)構想で空母航空部隊の航続距離を拡大する この二つともに将来の空中、海上戦闘の定義に合致するもので中 国の西太平洋における軍拡に呼応するものになる。
- そ こで米空軍の将来型爆撃機はカートライト大将やゲイツ国防長官にも受け入れられる構想としてこの10年間研究しつくされてきた研究成果を元にすることにな る。ブリードラブ空軍中将は空軍参謀副総長(業務、立案、予算要求担当)として「爆撃機」という名称はもはやペンタゴンでは使われていないし、機体サイズ は相当小さくなるという。カートライトはUCAV-Nの空軍版を好ましいと考えているという筋もある。
- 空軍参謀総長シュワルツ大将とドンリー空軍長官は新型爆撃機の案件をまだ真剣に考えていない。四つ星将官で新型爆撃機構想を支持しているのは戦略軍司令官チルトン大将だけだ。
- こ うして軍上層部の支持がないまま、次世代爆撃機支持派は名称を「偵察・打撃」機に変更した。デプチュラ中将が退役前の記者会見で情報収集、監視偵察任務 (ISR)および攻撃任務は今や別々に取り扱えないとの自説を改めて披露している。敵地奥深くまで侵入できる偵察機が武装できないとすれば確かに理屈が合 わない。
- 新型ISR機材と攻撃機を一緒にする研究には技術開発の裏付けがあり加速しており、作戦上の要求事項と予算の現実から言っても自然なことだ。
- 技 術の面では近年開発が進んでいる極度低視認(ELO)技術に広帯域、全方位でのシグネチャー削減として-40から-50デシベルレベルが可能となったこと がある。この関連でボーイングの実証機Bird of Preyではレーダー断面積を極限まで小さくしており、実質的に視認しか探知方法が無いレベルに達しており、-70デシベルまで理論的に可能だと言われ る。これは蚊のサイズだ。
- ELO 機は全翼機あるいはブレンデッドウィングとなり、尾翼はなく、エンジンを一体化した亜音速飛行を想定する。コンピュータ技術の進歩で複雑な気流解析が可能 となり、空力特性の改善と空気取入口と排気口の改善も視野に入ってきた。この結果、B-2より小型の機体で空中給油なしで5,000海里の飛行が可能とな る。ノースロップ・グラマンはUCAV-Nでも無給油で5,000海里飛行は可能だという。爆撃機支持派も新型ISR・打撃機の有人飛行は絶対条件ではな いと認めている。核攻撃任務の場合には搭乗員による操縦が必要条件となる。その反面、無人モードでは人的要員による制約を超えた運用が可能となり、危険な 捜索救難活動を敵地で行う必要もなくなる。
- ノースロップ・グラマンの発達型無人ISR・打撃機で構想されている無人機能には脅威探知・回避、電子対抗措置、協調防御がある。搭載するセンサーで地形画像の照合、目標認識の他情報を他機にも伝えることができる。
- 爆撃機支持派は100kwクラスのレーザー兵器の開発状況に関心を示しており、これで接近するミサイルを破壊できると考える。ELOと組み合わせて、これで機体は今後登場する敵の防御体制にも生き残ることができる。
- 生存性の高く、大ペイロードで大きく多彩な兵装を搭載出来る機体には長所がある。未確認目標も攻撃対象にできるし、航続距離の長さが敵の防衛戦略に有効だ。
- こ の構想の最大の難関は価格。一機おそらく5億ドル台の調達コストになり、JSFなら4ないし5機に相当するが、一機で5倍の兵装と5倍の航続距離を実現す る。同機を合計100機調達する際の総費用はトライデントミサイル原潜の一挙更新と同じ規模になるだろう。ただ、爆撃機隊の運用は原潜以上の運用期間に加 えて柔軟性を実現することになる。
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