スキップしてメイン コンテンツに移動

★★F-22によるシリア機迎撃の内情---ステルス機特性は発揮したものの....



なるほどステルス機の特性が発揮されたようですが、今後あえて存在を見せて事故を回避するのであればF-22を投入する意味はあるんでしょうか。微妙です。シリア上空の状況は日本にとって関心が低い事案のようですが、危機管理の意味からも目が離せません。


Exclusive: U.S. pilots provide first account of tense Syrian jet encounter

Jim Michaels, USA TODAY3:20 p.m. EDT August 26, 2016

AP F-22 RAPTOR I GUM(Photo: Airman First Class Courtney Witt, AP)
A MILITARY BASE IN SOUTHWEST ASIA — シリア戦闘機編隊を同国北部で先週迎撃した米空軍戦闘機パイロット二名によるとF-22はシリア機に気づかれることなく2,000フィートまで近て尾行したという
  1. シリア機がクルド人部隊に随行する米軍事顧問の付近に爆弾投下したことで緊迫度があがっていた。ペンタゴンはシリアに対し米軍は防衛行動を取る権限を与えられていると警告していた。シリアによる爆弾投下はなくなり、米軍も連続警戒態勢を解いていた。
  2. 「相手機は三回ループしましたが、毎回追尾していました」と38歳の米空軍少佐はUSA Todayに状況を初めて明かしてくれた。「こちらの存在はわかっていなかったようです」 保安上の理由で米軍パイロット二名の氏名は秘す。
  3. 「相手の行動は止まった」とチャールズ・コーカラン准将(第380派遣航空団司令)は語った、「こちらの狙い通りだ」 同航空団はイラク、シリアへの空爆を非公表拠点から行っている。
  4. 今回の事態はシリア国内での対イスラム国戦の複雑な状況を物語っており、誤爆による戦局拡大の危険を示している。
  5. 「誤解が大きな心配だ」とジェフリー・ハリガン中将(中東地区米航空作戦司令官)も認める。「双方で発生しかねない」
  6. 連合軍パイロットはシリア機、ロシア機から距離を取るのが通例だが、空域は混雑度を増している。
  7. 米主導の連合軍はシリア政府・ロシア側とは交戦せず、ペンタゴンはロシアと情報交換で空中事故を回避する合意を取り付けたものの双方は協力的ではない。
  8. 「わが方人員には注意を最高レベルで求めている。ロシア、シリアとは交戦状態になく、ロシア機シリア機の撃墜は想定外」(コーカラン准将)
  9. ロシアと米国は一部空域でロシア、シリアの機体は飛行禁止とする合意ができており、先週シリアが空爆したハサカはその対象。複雑な条件でパイロットはシリア上空の混雑した空域で飛行を迫られている。
  10. 「このシナリオでエスカレーションを避ける方策を考えており、作戦遂行中の安全確保がいつも頭にある」と二人目のパイロットも語っている。これは三十歳の大尉だ。
  11. 制限区域をシリアが空爆したことを受け米国は常時戦闘飛行をハサカ上空で実施し、シリアが米軍に攻撃を加えた際に対応する準備をパイロットに取らせた。
  12. 今回の事件は午后に入りシリア機がハサカ周辺の空域に侵入したと判明したのが出発点だ。哨戒中のF-22二機編隊が急行した。
  13. 大尉によれば共通無線周波数で接近するシリア機に識別と飛行意図を求めたが反応はなかった。
  14. 米司令部もロシア側に電話で情報開示を求めたが、ロシアはシリア側の行動を把握していなかった。
  15. 情報を得る唯一の手段は米機にSu-24フェンサーだと判別したシリア機まで接近させて武装・爆弾投下の有無を直接確認することだった。通常ならパイロットは事故防止の為ロシア機シリア機から一定の距離を取るよう求められる。
  16. 許可が下りた。F-22一機が監視する中、もう一機はシリア機後方から観察した。15秒ほど経過しシリア編隊は同地点を離れたが、尾行に気づいていないのは明白だった。
  17. 直後に別のリシア機が空域に入り米パイロット二名は同じ動作を繰り返す。シリア両機は兵装を搭載していなかったようだと両パイロットは述べた。
  18. 在カタールの司令部から中東の航空作戦を指揮するジェイ・シルヴェリア少将によればシリア機が連合軍に脅威を与える兆候を示せば撃墜命令を下す体制だったという。「地上部隊から攻撃を受けているとの一報があれば撃墜の必要があった」と同少将は述べた。「優秀な装備で命令遂行には最高の状態にあった」
  19. だが地上部隊報告や米軍パイロットからの連絡からシリア機の爆弾投下の事実はなく、空域を移動飛行中だと判明した。同地区にシリア航空基地があるが同地区上空では飛行させないのが普通だ。
  20. F-22はステルス機でパイロットは敵による視認を避ける訓練を受けている。今回の事件を受けてシリア側に意図を伝えるため今後は機体をあえて視認させる検討に入った。■


コメント

このブログの人気の投稿

★★★F-35とF-105の意外な類似性、戦闘爆撃機でドッグファイトは不得手

THE BUZZ America's F-105 Thunderchief Fighter-Bomber: The F-35 of the Vietnam War?
David Axe July 3, 2016 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/americas-f-105-thunderchief-fighter-the-f-35-the-vietnam-war-16839
War Is BoringによればF-35はF-16との模擬空戦で旋回速度が遅すぎて勝てなかったとテストパイロットが語っている。
これからの米空軍で最多の戦闘機材になるF-35が数で優勢なロシアや中国の機体と戦って残存できるのだろうか。 答えは歴史の中にある。50年前にも米空軍は同じ予測をしている。攻撃の主力F-105サンダーチーフは重量級ハイテク地上攻撃機で敵戦闘機も同時に撃退できるはず、とF-35と同様だった。 だが事実はF-105も旋回速度が遅くロシア製MiG-21に太刀打ちできず、空軍はF-105の損失を防ぐ特別な戦法を編み出した。同様の措置はF-35でも必要だろう。 F-35とF-105は驚くほど似ている。「F-105とJSFは大型、単座機、単発の戦闘攻撃機で、その時点で最強力なエンジンを搭載、空虚重量は27千ポンド級で翼幅もほぼ同じ35フィートだ」とオーストラリア航空宇宙専門家カーロ・コップが2004年に指摘していた。 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html © 2005, 2007 Carlo Kopp

「両機種とも機内兵装庫があり機外パイロンで燃料と兵装を運べる」とコップは指摘し、「ともに戦闘半径400カイリクラスを目指し推力重量比、高機動操縦性能で制空戦闘機や迎撃機より劣っていた」 http://www.ausairpower.net/Analysis-JSF-Thud-2004.html

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…

★★★F-3事業に参画意欲を見せるボーイング、ロッキード・マーティン

Boeing, Lockheed Martin emerge as early rivals for Japan's fighter contest
Jon Grevatt, Bangkok - IHS Jane's Defence Weekly 19 July 2016 http://www.janes.com/article/62368/boeing-lockheed-martin-emerge-as-early-rivals-for-japan-s-fighter-contest Japan's Mitsubishi F-2 multirole fighter aircraft. Source: Japanese Air Self-Defense Force
航空自衛隊JASDFがめざすF-2多用途戦闘機の後継機種をめぐり、ボーイングとロッキード・マーティンがともに参画の意向を表明した。 IHS Jane’sが両社へ7月19日照会したところ、ともに日本での実績をもとに同事業参入を目指していることがわかった。事業規模は200億ドルといわれる。 防衛省は情報提供要求RfIを発出済みで、2018年4月までに「次期戦闘機」の決断を下すとみられる。 F-2は2000年代に三菱重工業MHIとロッキード・マーティンの共同事業で製造され、2027年ごろまでに全機退役する。 ボーイング広報によれば同社はF-2後継機の要求内容を検討中だという。「日本で当社の存在意義を大きくする方策は常に考えており、日本での安全保障ニーズに応えたい」 ロッキード・マーティン広報は「日本から各社に情報の要求が出ているが、当社もこれまでの日本との関係をさらに強化する今回の機会を活用したい」とし、「F-35事業とF-2でMHIと実績が成果を生んでいることは誇り」とする。 RfIは6月に出ており、各国の戦闘航空機メーカー宛に送付されている。RfIは7月はじめに締め切られており、米二社に加えユーロファイターSaabもプレゼンを8月末に行う見込みだ。 RfIは既存機種での検討の一助にするほか、各社の事業参加への意欲をさぐることのがねらいだ。MoDはF-2後継機を純国産あるいは共同開発ですすめるかの決断を下すが、後者の場合は既存機種を原型にするとみられる。■