なるほどステルス機の特性が発揮されたようですが、今後あえて存在を見せて事故を回避するのであればF-22を投入する意味はあるんでしょうか。微妙です。シリア上空の状況は日本にとって関心が低い事案のようですが、危機管理の意味からも目が離せません。
Exclusive: U.S. pilots provide first account of tense Syrian jet encounter
A MILITARY BASE IN SOUTHWEST ASIA — シリア戦闘機編隊を同国北部で先週迎撃した米空軍戦闘機パイロット二名によるとF-22はシリア機に気づかれることなく2, 000フィートまで近て尾行したという。
- シリア機がクルド人部隊に随行する米軍事顧問の付近に爆弾投下したことで緊迫度があがっていた。ペンタゴンはシリアに対し米軍は防衛行動を取る権限を与えられていると警告していた。シリアによる爆弾投下はなくなり、米軍も連続警戒態勢を解いていた。
- 「相手機は三回ループしましたが、毎回追尾していました」と38歳の米空軍少佐はUSA Todayに状況を初めて明かしてくれた。「こちらの存在はわかっていなかったようです」 保安上の理由で米軍パイロット二名の氏名は秘す。
- 「相手の行動は止まった」とチャールズ・コーカラン准将(第380派遣航空団司令)は語った、「こちらの狙い通りだ」 同航空団はイラク、シリアへの空爆を非公表拠点から行っている。
- 今回の事態はシリア国内での対イスラム国戦の複雑な状況を物語っており、誤爆による戦局拡大の危険を示している。
- 「誤解が大きな心配だ」とジェフリー・ハリガン中将(中東地区米航空作戦司令官)も認める。「双方で発生しかねない」
- 連合軍パイロットはシリア機、ロシア機から距離を取るのが通例だが、空域は混雑度を増している。
- 米主導の連合軍はシリア政府・ロシア側とは交戦せず、ペンタゴンはロシアと情報交換で空中事故を回避する合意を取り付けたものの双方は協力的ではない。
- 「わが方人員には注意を最高レベルで求めている。ロシア、シリアとは交戦状態になく、ロシア機シリア機の撃墜は想定外」(コーカラン准将)
- ロシアと米国は一部空域でロシア、シリアの機体は飛行禁止とする合意ができており、先週シリアが空爆したハサカはその対象。複雑な条件でパイロットはシリア上空の混雑した空域で飛行を迫られている。
- 「このシナリオでエスカレーションを避ける方策を考えており、作戦遂行中の安全確保がいつも頭にある」と二人目のパイロットも語っている。これは三十歳の大尉だ。
- 制限区域をシリアが空爆したことを受け米国は常時戦闘飛行をハサカ上空で実施し、シリアが米軍に攻撃を加えた際に対応する準備をパイロットに取らせた。
- 今回の事件は午后に入りシリア機がハサカ周辺の空域に侵入したと判明したのが出発点だ。哨戒中のF-22二機編隊が急行した。
- 大尉によれば共通無線周波数で接近するシリア機に識別と飛行意図を求めたが反応はなかった。
- 米司令部もロシア側に電話で情報開示を求めたが、ロシアはシリア側の行動を把握していなかった。
- 情報を得る唯一の手段は米機にSu-24フェンサーだと判別したシリア機まで接近させて武装・爆弾投下の有無を直接確認することだった。通常ならパイロットは事故防止の為ロシア機シリア機から一定の距離を取るよう求められる。
- 許可が下りた。F-22一機が監視する中、もう一機はシリア機後方から観察した。15秒ほど経過しシリア編隊は同地点を離れたが、尾行に気づいていないのは明白だった。
- 直後に別のリシア機が空域に入り米パイロット二名は同じ動作を繰り返す。シリア両機は兵装を搭載していなかったようだと両パイロットは述べた。
- 在カタールの司令部から中東の航空作戦を指揮するジェイ・シルヴェリア少将によればシリア機が連合軍に脅威を与える兆候を示せば撃墜命令を下す体制だったという。「地上部隊から攻撃を受けているとの一報があれば撃墜の必要があった」と同少将は述べた。「優秀な装備で命令遂行には最高の状態にあった」
- だが地上部隊報告や米軍パイロットからの連絡からシリア機の爆弾投下の事実はなく、空域を移動飛行中だと判明した。同地区にシリア航空基地があるが同地区上空では飛行させないのが普通だ。
- F-22はステルス機でパイロットは敵による視認を避ける訓練を受けている。今回の事件を受けてシリア側に意図を伝えるため今後は機体をあえて視認させる検討に入った。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。