スキップしてメイン コンテンツに移動

★★北朝鮮ミサイルはレイルガンで一気に無力となる

レイルガン技術がどこまで進んでいるかはちっともわからないのですが、第三相殺戦略に怯えるのは北朝鮮だけではありません。これまでの投資がパーになるので必死にプロパガンダ攻勢をかけてくるのはTHAADの比ではありません。韓国国内でも当然同調する動きが出るでしょうが、レイルガンは艦艇に搭載できるので(電力に余裕があるズムワルト級がまず第一候補)国防部長官が6時間も住民により移動を封じられるような醜態は避けられるのではないでしょうか。ともかく技術の進歩に注意が必要で、北朝鮮の大言壮語が一晩にして無意味となればそれは愉快なことですね。


The National Interest



How the Third Offset (Think Railguns) Could Nullify North Korea's Missiles

August 26, 2016


  1. 金正恩が核弾頭つきミサイル配備を急いでいる。移動式ミサイルを陸上海中双方で実用化しようとしている。短距離ミサイルも入れればほぼ毎週発射している状況で、短距離スカッド、中距離ノドン、中間ムスダン、大陸間テポドンの各種がある。
  2. だが今週水曜日の潜水艦発射式弾道ミサイル(SLBM)は日本に向け300キロ飛翔し、あらためて金がミサイル各種の整備に尽力しているのを示した。SLBM発射を「最大の成功事例」と述べたのは誇張ではない。北朝鮮のミサイル技術の進展は想定以上の速さだ。
  3. だが成功は失敗への一歩かもしれない。金が危険な妄想でミサイル王になると悲惨な結末になる。一度上がったものは下がらざるをえない。外交態度を変えないと金は悪夢の未来2つにつきすすむ。
  4. まずミサイル多数配備に勇気づいた金が危険な一線を超え、挑発行為のつもりが誤算あるいは偶発で紛争に火をつけ自らの破滅を招く可能性がある。あるいは貧しい国家財政をすべてミサイルにつぎ込んだあげく、韓国と米国がさらに先に行っている事実に直面する可能性がある。
  5. 米韓同盟は技術面で先を進み、ミサイル防衛の多重構造をさらに強化しつつある。韓国には韓防空ミサイル防衛(KAMD)システムがあり、多国間で展開中の装備にはTHAAD終末高度広範囲防空システムがある。日本の潜水艦部隊は北朝鮮潜水艦が出港しミサイルを発射する前に全艦を追跡撃破する能力がある。
  6. だが将来に目を向ければ金がミサイルで世界を恫喝する可能性より北のミサイル装備が米韓の革新的技術で一気に陳腐化される可能性のほうが高い。金一族も一気に無力となる。
  7. ミサイルや物理的質量に立ちふさがるのがエネルギー兵器で電磁レイルガンはその一種だ。米国で研究で弾みがついており、最先端技術により米国の兵力投射能力は温存されそうだ。
  8. 国防副長官ロバート・ワークは技術優勢を模索する動きを「第三相殺」と名付けた。この名称は第二次大戦後の米国が技術力で脅威の高まりに対応したことの延長だ。ソ連通常兵力がヨーロッパで示した脅威に核兵器で対応したのが第一の相殺で、ソ連が核兵器で同等の兵力を装備すれば、米国は長距離精密誘導通常兵器でリードを維持したのが第二の相殺だ。
  9. ワークが以前理事長を務めた新アメリカ安全保障センター(CNAS)は著者がまとめた報告書を今秋発刊し、第三相殺に関与する米韓専門家の寄稿も含める。7月上旬に同じテーマで会合を開催し、北朝鮮外務省の関心を呼んだ。これまで北朝鮮のミサイル実験で失敗が続いた印象を打ち消そうと言うのか、北朝鮮は「米国の戦略を明らかな破綻に向かわせ、『第三戦略』などたわごとにすぎない』との声明を発表した。
  10. 北朝鮮は大言壮語そのものでプロパガンダ詩人を動員し、技術的な知識が不足し平壌がすすめる極秘事業を知らせないまま情報戦を国内外でしかけている。その結果、技術的に遅れているのを実感させられるのは北朝鮮の方だ。
  11. 著者の若き同僚Seongwon LeeがCNASでの六ヶ月研究員生活を韓国国際交流財団の支援でこのたび終了するが、電磁レイルガン研究をしてきた。この装備開発だけで北朝鮮のミサイル装備整備は破綻する。
  12. Leeの説明するようにレイルガンは弾頭を電磁反発力で発射するもので、化学爆発力は使わない。その速度により弾頭自体が通常ミサイル以上の威力を発揮する。弾頭に爆発物を装備する必要が無いためレイルガン技術は安全面、射程距離、費用面で大きな優位性を発揮する
  13. 長期的に見ればこの新技術により韓国の抑止力は北朝鮮核兵器に対して3つの側面で威力を発揮する。先制攻撃機能による抑止効果、迎撃効果および報復攻撃だ。
  14. まずレイルガン発射体の速度により誘導ミサイルが緊急発進したF-15から発射されるよりも迅速なタイミングを実現する。同時に高速攻撃手段が現状のキルチェーンに加わる。
  15. 二番目にミサイルとレイルガンの費用比較は逆転する。KAMDの一部となればレイルガンのコスト効果は現行ペイトリオットやTHAADより高くなる。そうなるとレイルガンはミサイルから王座を奪うだろう。
  16. 三番目に、レイルガンの有効射程は水上艦主砲の比ではなく、威力が増加し報復攻撃に新たな選択肢を加える。
  17. 単一技術で歴史が革命的変化することはそんなにあるものではないが、第三相殺には多くの技術が含まれレイルガンのように新技術開発で劇的な変化が生まれる。自動3DコピーやAIによる迅速な探知技術と並びレイルガンは予想外に早く出現するだろう。
  18. 一旦実用化されれば北朝鮮のミサイル装備の没落は明らかとなる。金は外交的解決の機会を棒に振ったことを後悔するだろうがすでに時遅しとなる。■
.
著者パトリック・M・クローニン博士は新アメリカ安全保障センター(CNAS)(ワシントンDC)でアジア太平洋安全保障問題の上級顧問兼上級統括職を務める。

コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...