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★★★F-15戦闘機とSu-35Sはどちらが優秀なのか


米空軍ではF-15Eが主力となっていますが、日本ではJ型の原型であるのがC型なので今後も威力が期待できるのかが関心事でしょう。Jは相当の改良を経ていますが、もはや原型とは異なる機体と言って良いのではないでしょうか。F-35導入でめどがついてきたようなので、いよいよF-3開発に注力していくのでしょうが、残るF-15にも十分な配慮で供用年数を延長してもらいたいものです。

Visit WarriorUSAF F-15E vs. Russian Su-35S - Who Wins?

SEBASTIEN ROBLIN
12:22 AM

米F-15イーグルは露Su-35S「フランカーE」より優れているといえるのか。以下詳細に見てみよう。
  1. 第四世代戦闘機で最優秀と言われるSu-35SとF-15の比較を聞かれることが多い。
  2. F-15は第四世代戦闘機の定義を作った機体で1970年代に登場し、大幅改修を受け時代に合わせた性能を維持しており、今後数十年後も数百機が稼働する見込みだ。
  3. 一方Su-35はSu-27フランカーの改修型で新型エイビオニクスと武装を搭載し、推力方向偏向エンジンとレーダー波吸収塗装を採用した。
  4. Su-35Sについては筆者以外にNational Interestでデイヴ・マジュンダーが二機種が空戦をした想定をうまくまとめている。その結論はかなりの接戦になるというものだった。技術では優劣がつかず、結果を制するのは支援体制やパイロット訓練としていた。
  5. では両機種の優劣をミッション別に見てみよう。

センサーとステルス性能
  1. Su-35Sは強力なイルビスEパッシブ電子スキャンアレイレーダーを搭載し400キロの有効範囲がある。同レーダーは地上目標にも有効だ。だがF-15のAPG-63 V3アクティブ電子スキャンアレイレーダーはさらに優秀で妨害に強く、解像度も高く、追跡されにくい。
  2. Su-35には赤外線捜索追尾システム(IRST)があり、50キロ内の航空機位置をおおまかに把握できるとし、短距離ならステルス機を探知できる可能性がある。F-15にはIRSTは装備されていない。
  3. ただし追加ポッドが利用可能となりつつある。タロンHATEポッドによりIRST効果がF-15に利用可能となりデータ融合機能も他機や地上装備間で可能となる。さらにF-22ラプターと相互ネットワーク構築も可能となる。これはラプターが非標準型データリンクを使っているためで、ラプターを先に飛行させ、敵目標を探知し戦術データをミサイルを満載したF-15へ送り、安全な距離からミサイル発射が可能となる。

  1. F-15はステルス機ではなく、レーダー断面積は平均5平方メートルだ。Su-35はステルスを意識し、レーダー断面積は平均で1ないし3平方メートルと言われる。そうなるとSu-35がレーダー画面に現れるのは遅くなるだろうが、1平方メートル大なら最新装備で長距離探知が可能で長距離ミサイルの標的にできる。
有視界外での空戦はどうか
  1. 最新空対空ミサイルは100キロ超の有効射程がある。米空軍では有視界外 (BVR) 戦が21世紀の空戦の中心になると確信しており、ミサイル射程範囲を拡大しようとしている。これに対しロシアはこの考え方に懐疑的で電子妨害装置や回避行動で被害は避けられるとする。ロシア機材もBVR対応を想定しているものの、BVRのあとには短距離交戦が控えると見ている。
  2. 兵装搭載量ではSu-35にはハードポイントが12箇所以上あるがF-15Cには8箇所しかないのでSu-35が有利となり、ミサイルを多数運用すれば命中の可能性が高まる。だがこの優位性は一時的にすぎない。ボーイングがF-15改修策で16発搭載を想定しているからだ。実現すれば後方に位置するF-15が「ミサイルボート」となり、F-22が探知した敵標的を攻撃できる。ただし当面はF-15はミサイル発射数で劣る。
  3. F-15、Su-35はともに長距離レーダー誘導空対空ミサイルを搭載する。AIM-120D(射程160キロ)とK-77M(200キロ)だ。両ミサイルは基本的に同等の存在でシーカー性能がこれから整備されていけば、最大距離からの発射が戦闘機に対しても可能となり撃墜の可能性が高まる。
  4. Su-35も超長距離(300から400キロ)のR-37Mミサイルを発射し、空中給油機やAWACS支援機を狙うだろう。
  5. Su-35には有利点がもうひとつあり、L175Mキビニー・レーダー妨害装置だ。米AESAレーダーは妨害に強いと言われているが、AIM-120ミサイルの搭載レーダーは別だ。キビニーが防御する機体を狙うミサイルは失敗に終わる可能性が高い。イーグルが搭載する戦術電子戦対抗システムは1970年まで遡るもので、新型装置はイーグル2040改修一式で提案されている。
有視界内の場合
  1. イーグルは高い操縦性を有した機体だが、重戦闘機でも高い旋回性、上昇の途中でも高い加速が可能となったのは主翼荷重の低さと高推力重量比によるものだ。
  2. ただしSu-35は独特の機体だ。ヴェクトル推力変更可能なターボファンでノズルを独立操作し、急旋回とともに高迎え角では通常の戦闘機では無理な操縦が可能だ。低速域ではSu-35がF-15をあしらうだろう。
  1. 兵装は両機種は互角でそれぞれ熱追跡AIM-9XとR-73ミサイルを使うだろう。両ミサイルともにヘルメット内視界で機体方向外にも発射できる。両ミサイルは70から80パーセントの命中確率を有すると言われる。
  2. 威力のある短距離空対空ミサイルが機体を敵方向に合わせなくても発射できることで近距離交戦では機体の操縦性は意味が減る。
対地攻撃ではどうか
  1. Su-35Sは17千ポンドの弾薬を搭載し、対地攻撃にはハードポイント14箇所を使う。F-15Cはゼロだ。純粋な制空戦闘機のためだ。(公平を期すと、対地攻撃は全く想定外ではない。イスラエルが70年代にイーグルでイラク原子炉攻撃に成功している)
  2. F-15Eストライクイーグルは兵装23千ポンドを搭載する。ストライクイーグルはF-15Cと同等の速度で空対空装備もほぼ同数搭載できるが機体操縦性はやや低くなるのは機体重量が増えたためだ。
  3. ロシア軍は米軍ほど精密誘導兵器を利用しておらず、投入可能な種類も少ないが、Su-35にはイルビス-Eレーダーの対地攻撃モードで精密誘導兵器を十分運用できる。
整備維持はどうか
  1. 米国は高価格機材を長期間供用する傾向がある。ソ連時代含むロシアは価格を重視し供用期間は短く、一方で整備工数は高くなる傾向がある。Su-30フランカーのように信頼性で問題が発生した例がある。
  2. Su-35ではこの問題を解決すべく6,000時間使用に耐える仕様になっている。F-15CおよびEはそれぞれ8千、16千時間の想定で、C型は耐用年数延長も実施されるだろう。一方でSu-35各機は製造したてで耐用年数は十分あるが、F-15機材の大部分は1970年代や1980年代の製造だ。
次世代のF-15
  1. ボーイングは高性能ステルス版のF-15サイレントイーグルの営業をここ数年展開しており、イスラエルが導入するかもしれない。さらにボーイングはF-15Cの性能改修パッケージをイーグル2040C名称で提唱している。
  2. サイレントイーグルやイーグル2040で現行F-15の弱点が解消できるのだろうか。
  3. まずSu-35の操縦制御面での優位性は当面揺るがないだろう。サイレントイーグルはレーダー断面積を前面では0.1平方メートルにし、Su-35の十分の一と豪語しているようだが、後方と側面ではステルス性がない。実戦では後方側面のステルス性があったほうが良い。
  4. イーグル2040CパッケージはIRST及びF-22互換性データリンクをタロンHATEポッドで実現し、ミサイル搭載量も倍増させる。
まとめると
  1. 将来の空戦の効果はミサイルと電子対抗装置の性能に左右され搭機体性能は二の次になりそうだ。とくに非ステルス機材の場合二個の傾向が強い。
  2. それでもSu-35はドッグファイトの王座につき、高性能多用途ミサイル発射母体として対空対地双方で威力を発揮するだろう。ただしAESAレーダーがないのが惜しい。
  3. 現行型F-15は高性能レーダーを搭載し航空優勢を実現する戦闘機としてその能力を維持している。F-15Eはその中で対地攻撃に威力を発揮する兵装搭載量の多さが利点だ。改修型F-15は対空戦兵装の搭載量が増えデータ融合効果を艦船、衛星、航空機と発揮する。サイレントイーグルは限定的とはいえ前方ステルス性能が期待できる。Su-35は全体100機弱がロシア、中国、マレーシア、アルジェリアで供用されることになっているが、若干追加発注が生まれるかもしれない。米国では2020年代以降にかけてF-15Eが200機、F-15CとDがややそれより少ない機数稼働することになる。世界各地ではこれ以外に400機がサウジアラビア、イスラエル、韓国、シンガポール、日本で供用されている。■

----This Story Was Originally Published in The National Interest----
Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.


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