Stealthy Chinese J-20 Vulnerable
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 中国のJ-20には相当の開発努力が必要で、ステルス対策技術の進歩へ対応するのは一筋縄ではいかない。
2. ステルス対策技術によりステルス機の設計そのものが問い直されている。防空体制に強力なAESA(アクティブ電子スキャンアレイ)レーダーが導入されているのに対してどれだけの脆弱性となるのか。AESAは開発当初から極めて小さな飛行物体も捕捉することを目標としており、巡航ミサイルなら相当の距離で識別し、撃墜が可能となる。戦闘機はこれよりも大きい。
3. ステルス機を空中で探知することはすでに作戦上可能。エドワーズ空軍基地での2009年テストでロッキード・マーティンは自社のCATバード試験機(ボーイング737にF-35共用打撃戦闘機のエイビオニクス全部を搭載)にF-22とF-15混成部隊と交戦させたところ、各機の探
知に成功し、F-22レーダーの妨害も行っている。レイセオンのXバンド搭載AESAレーダーは沖縄駐留のF-15C改装型に搭載されており、小型で本来探知されにくいとされる巡航ミサイルを捕捉可能だ。
さらにノースロップ・グラマンの低周波LバンドのAESAレーダーはすでにオーストラリアのウエッジテイル空中早期警戒指揮統制機に搭載されており、ステルス機も相当の距離から探知する能力がある。
4. ロッキード・マーティンはJSFについて2009年に海外の高性能機との交戦能力を暗示的に説明している。「F-35のエイビオニクスには搭載センサーでパイロットが全天候、昼夜問わず、高度の防空体制の下で移動目標、固定目標を攻撃する事が可能で、同時に空中の目標も捕捉攻撃が可能です」(同社F-35開発責任者(当時)クローリー執行副社長)
5. 中国から入手したJ-20のより鮮明な写真を見ると同機にはステルス技術が応用されているものの、未解決の問題点が多くあることも明らかだ。
6. 機体の全般的形状はF-35やF-22に類似しており、「蝶ネクタイ」のレーダー断面積として最小の捕捉特徴を機首にとどめるものの、側面からは捕捉の可能性は最大となる。同機の作戦実施に使うシステムは敵レーダー施設のデータベースを使い、安全な侵入経路を選択し側面をレーダーに晒すことを避けるはずだ。
7. 分流構造のない超音速空気取り入れ口の設計でレーダー特徴をなくすことができる。F-22の空気取り入れ口は通常型のため、大量のレーダー吸収材料(RAM)の処理をしている。
8. J- 20の設計で大きな疑問はエンジン排気の取扱いで一号機ではレーダー断面積(RCS)が後方で最大になるのではないかとみられる。ステルス性の高いノズルに改装される可能性はある。ただし、一号機のノズルにはRCS最小化をめざしたノコギリの歯状の加工が見られ、中国軍はノズルの重量が増え形状が複雑化するぐらいなら後方のRCS増大には目をつむったのではないかと思われる。
9. 他にも不明瞭な部分がある。ステルス機の開発は詳細部分の技術課題がつきものだ。アンテナ類は機体表面から突出させると特定の周波数でステルス性が犠牲になる。そのため整備は犠牲となる。着陸装置や兵装スペースからでないと機内の装置には近づけないものもある一方、専用扉をつけることでRCSは増えないが、重量が増加する。
10. 一番の問題は機体表面の無線周波数特性の制御だろう。ステルス機の第一世代機には重く整備に時間のかかるRAMを採用していた。F-22では重量を削減できる処理方法が採用されたがその特性維持が予想外に困難と判明したのは表面腐食の問題だった。ロッキード・マーテインはF-35ではこれが改良されて運用上も保守が可能という。その理由として耐久性のある吹きつけ上層塗装と電導層を複合素材の表面構造に焼きこんであるためだ。
11. 成都J-20の外観構造を観察するアナリストにはF-22,F-35,スホイT-50との類似性と相違点が認められる
12. 「J- 20は機体構造ではロシアのMiG1.42と類似しています。一方、明らかに違う点は機体前部の形状がより重視されており低視認性を追求しているようでエンジン空気取り入れ口の構造も異なっています。MiGはロシアで1997年ごろに開発中止になっています」(ロンドン国際戦略研究所主任研究員ダグラス・バリー) ただしMiGの設計概念との類似性は何らかの形でロシア航空産業との結託があったのではないか。
13. J-20初飛行は1月11日午後1時直前に行われた。同機はそれまで12月から初飛行が近いことが判明していた。
14. 今後の議論は同機のミッション内容、センサー性能、通信能力に移りつつある。
15. 通常型レーダーの有効距離、探知範囲はAESAレーダーの半分から三分の一。さらに機械式のスキャンレーダーのアンテナでは高性能レーダーであれば敵機の無線周波数反射の閃光を捉えることができる。この反射がステルス性を低下させる。中国が新型レーダーの開発に取り組んでいることはよく知られている。
16. 「中国のAESA技術がどうなっているかはまだ不明です。報道内容や航空ショーの情報を総合しても開発状況ましてや配備がまもなくなのかはまだわかりません」(ワシントンの情報機関関係者)
17. 「高性能エンジンに加え第五世代戦闘機には進歩したレーダーの開発が課題ですが、J-20はそのどの情報を信じるか次第ですがその最初のあるいは二番目の試作機で、開発期間は相当の長いものになるでしょう」(同上関係者)
18. 仮に中国が同機の飛行テストを数ヶ月継続して、追加機体がない場合はJ-20は実証機材だったということになる。逆に機材が追加されれば試作機とみるべきだ。
19. 初飛行はゲイツ国防長官の訪中と同時に実施され、同長官は2025年まではステルス機で米国の優位性は維持できると今も考えている。
aviationweek.com Jan 14, 2011
1. 中国のJ-20には相当の開発努力が必要で、ステルス対策技術の進歩へ対応するのは一筋縄ではいかない。
2. ステルス対策技術によりステルス機の設計そのものが問い直されている。防空体制に強力なAESA(アクティブ電子スキャンアレイ)レーダーが導入されているのに対してどれだけの脆弱性となるのか。AESAは開発当初から極めて小さな飛行物体も捕捉することを目標としており、巡航ミサイルなら相当の距離で識別し、撃墜が可能となる。戦闘機はこれよりも大きい。
3. ステルス機を空中で探知することはすでに作戦上可能。エドワーズ空軍基地での2009年テストでロッキード・マーティンは自社のCATバード試験機(ボーイング737にF-35共用打撃戦闘機のエイビオニクス全部を搭載)にF-22とF-15混成部隊と交戦させたところ、各機の探
知に成功し、F-22レーダーの妨害も行っている。レイセオンのXバンド搭載AESAレーダーは沖縄駐留のF-15C改装型に搭載されており、小型で本来探知されにくいとされる巡航ミサイルを捕捉可能だ。
さらにノースロップ・グラマンの低周波LバンドのAESAレーダーはすでにオーストラリアのウエッジテイル空中早期警戒指揮統制機に搭載されており、ステルス機も相当の距離から探知する能力がある。
4. ロッキード・マーティンはJSFについて2009年に海外の高性能機との交戦能力を暗示的に説明している。「F-35のエイビオニクスには搭載センサーでパイロットが全天候、昼夜問わず、高度の防空体制の下で移動目標、固定目標を攻撃する事が可能で、同時に空中の目標も捕捉攻撃が可能です」(同社F-35開発責任者(当時)クローリー執行副社長)
5. 中国から入手したJ-20のより鮮明な写真を見ると同機にはステルス技術が応用されているものの、未解決の問題点が多くあることも明らかだ。
6. 機体の全般的形状はF-35やF-22に類似しており、「蝶ネクタイ」のレーダー断面積として最小の捕捉特徴を機首にとどめるものの、側面からは捕捉の可能性は最大となる。同機の作戦実施に使うシステムは敵レーダー施設のデータベースを使い、安全な侵入経路を選択し側面をレーダーに晒すことを避けるはずだ。
7. 分流構造のない超音速空気取り入れ口の設計でレーダー特徴をなくすことができる。F-22の空気取り入れ口は通常型のため、大量のレーダー吸収材料(RAM)の処理をしている。
8. J- 20の設計で大きな疑問はエンジン排気の取扱いで一号機ではレーダー断面積(RCS)が後方で最大になるのではないかとみられる。ステルス性の高いノズルに改装される可能性はある。ただし、一号機のノズルにはRCS最小化をめざしたノコギリの歯状の加工が見られ、中国軍はノズルの重量が増え形状が複雑化するぐらいなら後方のRCS増大には目をつむったのではないかと思われる。
9. 他にも不明瞭な部分がある。ステルス機の開発は詳細部分の技術課題がつきものだ。アンテナ類は機体表面から突出させると特定の周波数でステルス性が犠牲になる。そのため整備は犠牲となる。着陸装置や兵装スペースからでないと機内の装置には近づけないものもある一方、専用扉をつけることでRCSは増えないが、重量が増加する。
10. 一番の問題は機体表面の無線周波数特性の制御だろう。ステルス機の第一世代機には重く整備に時間のかかるRAMを採用していた。F-22では重量を削減できる処理方法が採用されたがその特性維持が予想外に困難と判明したのは表面腐食の問題だった。ロッキード・マーテインはF-35ではこれが改良されて運用上も保守が可能という。その理由として耐久性のある吹きつけ上層塗装と電導層を複合素材の表面構造に焼きこんであるためだ。
11. 成都J-20の外観構造を観察するアナリストにはF-22,F-35,スホイT-50との類似性と相違点が認められる
12. 「J- 20は機体構造ではロシアのMiG1.42と類似しています。一方、明らかに違う点は機体前部の形状がより重視されており低視認性を追求しているようでエンジン空気取り入れ口の構造も異なっています。MiGはロシアで1997年ごろに開発中止になっています」(ロンドン国際戦略研究所主任研究員ダグラス・バリー) ただしMiGの設計概念との類似性は何らかの形でロシア航空産業との結託があったのではないか。
13. J-20初飛行は1月11日午後1時直前に行われた。同機はそれまで12月から初飛行が近いことが判明していた。
14. 今後の議論は同機のミッション内容、センサー性能、通信能力に移りつつある。
15. 通常型レーダーの有効距離、探知範囲はAESAレーダーの半分から三分の一。さらに機械式のスキャンレーダーのアンテナでは高性能レーダーであれば敵機の無線周波数反射の閃光を捉えることができる。この反射がステルス性を低下させる。中国が新型レーダーの開発に取り組んでいることはよく知られている。
16. 「中国のAESA技術がどうなっているかはまだ不明です。報道内容や航空ショーの情報を総合しても開発状況ましてや配備がまもなくなのかはまだわかりません」(ワシントンの情報機関関係者)
17. 「高性能エンジンに加え第五世代戦闘機には進歩したレーダーの開発が課題ですが、J-20はそのどの情報を信じるか次第ですがその最初のあるいは二番目の試作機で、開発期間は相当の長いものになるでしょう」(同上関係者)
18. 仮に中国が同機の飛行テストを数ヶ月継続して、追加機体がない場合はJ-20は実証機材だったということになる。逆に機材が追加されれば試作機とみるべきだ。
19. 初飛行はゲイツ国防長官の訪中と同時に実施され、同長官は2025年まではステルス機で米国の優位性は維持できると今も考えている。
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