Editorial: Remain Watchful of China's Ascent
aviationweek.com Jan 14, 2011
中国がステルス機をロールアウトさせたことで西側情報機関はその意味するものを把握するべく多忙となっている。米情報機関はJ-20の存在そのものは把握していたが、1地上走行テストを開始する事までは予測していなかった。
1. 同機はおどろくほどF-22に類似しているが、機体は大型で、長距離性能と兵装量が大きいことを伺わせる。現時点では同機が試作機なのか技術実証機なのかは不明。
2. 判明しているのは中国が科学技術を重視し、西側の総合計よりも大量の技術者、科学者を養成していること、国防予算が巨額になっていることだ。これにより中国がこれまで前例のない技術力、軍事力の成熟化に向かっているのはまちがいない。
3. 初回の開発では通常は試作機または実証機を製作し、機体の試験をするものだ。今回のその点J-20は多用途ステルス機としての設計が相当成熟度を上げているのを示し、この例があてはまらない。F-22あるいはF-35の水準に到達するまでには高性能センサー類と発達型エンジンが必要だ。また、真の意味でステルス性能を実現するのはそう簡単なことではない。現時点の推測はJ-20の量産開始は8ないし10年後と見ている。
4. また中国経済の規模は世界第二位であり、現行の成長率が続くとそのうちに米国経済の規模を追い越すのも容易に想像できる。中国がグローバル大国になり、その影響力を行使すると世界各国は中国の軍事拡張を当然予想する。現在の中国の軍事力拡大はこれまで20年間の努力の成果でもある。
5. 合わせて中国指導部は北朝鮮とは異なり無謀かつ自己破滅型の行動は取る傾向は少ないことに注視すべきだ。中国はすでに核戦力を数十年間にわたり保有しているが、その行使は抑制しており、この点でも北朝鮮とは異なる。そこで米国の課題は未来の超大国の力を建設的目的に使わせることである。これは実現可能な目標だ。
6. これは中国の軍事力を無視することではない。海軍情報部のトップが言うように「中国の軍事システムの開発、配備状況をこれまで過小評価してきた」のが現実だ。実質的に予算制約がない状況でDF-21D対艦ミサイル等の開発が進んでいる。また電子戦・サイバー戦の実力が整備されつつあるのも情報部には憂慮の種だ。
7. J-20の正確な位置づけがどうあれ、中国の技術力向上の証であり、自国勢力圏を取り巻く外国に対抗せんとする同国の意志の現れだ。それでは中国は米国と直接対決する状況は今後発生するか。その可能性がないとは言い難い。
8. 中国の視点からは中国国内の国民感情と国際政治上の利害のバランスをとることは困難な仕事だ。ただ、同国指導部はリスクと危険に満ちた国際政治の中で同国をどこに導くのかを学ぶ必要がある。
9. 今回の驚くべき中国の開発状況の知らせから学ぶべき点は米国こそ潤沢な研究開発を運動性、非運動性の両方の兵装の開発で維持すべきであり、情報収集装備、専門家への支出も合わせて必要なことは言うまでもない。この実施が困難であれば、実際に国防予算への圧力が強まっていることを考えれば、米国の選択肢はなくなる。今後5年から10年にわたり中国の外交に軍事力がどんな影響をあたえるのかを注視するべきだ。ホワイトハウスならびに議会には政府支出に大鉈を振るうことの結果を良く考えてもらいたい。
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2011年1月16日日曜日
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