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提言 ロシア売却先送りの揚陸強襲艦2隻をカナダ中心のNATO共同運航にできないか

ウクライナ問題を巡り、ロシアに売却するはずだった揚陸強襲艦二隻が塩漬けになっているのをどうするかという問題への解決策の提案です。予定通りロシアに売却すればウラジオストック配備とも噂されていましたので日本としては提案のようにNATOで仲良く使ってもらいたいところですが、意外な形で中国が入ってこないように今後も動向には注意が必要ですね。


Opinion: A Mistral For Canada

By: Jim Dorschner
Published: September 19, 2014 10:17 AM
Updated: September 19, 2014 10:17 AM
Russian Mistral Vladivostok under construction on April 22, 2014. U.S. Naval Institute Combat Fleets of the World Photo
ロシア向けミストラル級揚陸強襲艦ウラジオストック 2014年4月22日撮影 U.S. Naval Institute Combat Fleets of the World Photo


フランスが9月にミストラル級揚陸ヘリコプター空母(LPH)二隻のロシア引き渡しを先送りする決定をしたが、これはNATO、カナダ海軍Royal Canadian Navy (RCN)、フランス造船業、ひいてはフランス経済にも好機となる。ロシアのウクライナ強硬策に反対するフランスが経済的に苦しむ必要はなく、NATO、フランス、カナダは少し知恵を使えば大きな恩恵に浴することになる。
  1. フランスが二隻を完成させ代金受け取りを求める中、NATOとカナダは各艦の能力が必要だ。
  2. カナダにとってLPHは計画中の共用支援艦Joint Support Ship (JSS)に対する兵站支援の強化策となる。JSSは艦隊用給油艦の代替策としても長距離航海能力を想定していたが、最終案では実現していないからだ。
  3. ロシア向けミストラル級の一隻はすでに海上公試中であり、二隻目も2016年完工の中、三隻想定のクイーンストン級JSSは未建造でよくて2018年起工で引き渡しは2020年になりそうだ。
  4. だが構想案の落とし穴としてまずコストがある。ロシア契約は総額17.6億ドルと言われ、一号艦926百万ドル、二号艦836百万ドルだ。
  5. そこでロシア向け契約と同じ日程観でNATO加盟国は同額を提示する必要がある。追加コストがNATO仕様への変更で発生する。
  6. 計画をNATOの手に引き渡せば、ロシア向け一号艦は現在サンナゼールのSTX Europe造船所にあるが、2015年にNATO部隊へ納入し、フランス主体の加盟国乗組員が運用できる。.
  7. 二番艦は更新可能な5年間リースとし、ハリファックス州に配備する。リースによりNATOとカナダのミッションに投入する。
  8. NATO所属艦にはAWACSやNATO空輸部隊C-17の運用経験を応用し、NATO本部直属とする。
  9. 両艦をNATOに編入すれば即応行動計画案 Readiness Action Plan (RAP) が重視する多国籍緊急展開地帯への対応が実現する。RAPでは加盟国持ち回り方式による部隊配備と迅速な反応、増強能力を重視し、海、空、陸の演習とともに事前物資集積ならびに東方南方の全線地域で軍事施設整備を掲げている。
  10. この方針を発表したNATO事務総長アナス・フォ・ラスムッセンAnders Fogh Rasmussen はウクライナ紛争だけを念頭に置いたのではなく、中東・西アフリカでの過激主義の台頭が加盟国へも脅威となると強調していた。

A Canadian Mistral

Mistral-class ship, 'Sevastopol' configured as a NATO/Canadian Navy ship. CASR Image
Mistral-class ship, ‘Sevastopol’ configured as a NATO/Canadian Navy ship. CASR Image



  1. 合同でLPHを運用する組織がRCN艦も担当することとし、カナダは自国運用権も保持する。艦の指揮と乗員はRCNが行い、当初は同型艦に親しいフランス海軍が中核となりNATO主要国の交換士官、下士官が英国、ドイツ、デンマーク、ノルウェーや合衆国から参加する。:
  2. 共同運用がRCNに与える影響は次のとおりとなる:
  3. 揚陸作戦・特殊作戦実施能力:非戦闘員避難作戦や戦闘捜索救難活動を支援する
  4. 人道救難対応:装備の輸送、運用に上陸用舟艇、ヘリコプター、車両を利用するとともに医療施設・指揮命令機能を海上で提供する
  5. 極地運用支援:前進基地として各国の活動を支援。航空・海上災害対応や、法執行活動の前線基地として活用。
  6. 海賊対策、海上管制、対潜作戦その他の旗艦・母艦として
  7. 訓練艦としてカナダ海軍任務部隊向けにまた地域内対応ミッションの拠点として訓練チーム・機材を搭載して各地を巡航する
  8. 遠隔地への輸送任務
  9. ミストラル級LPHのウェルドックには舟艇4隻までを搭載でき、フライトデッキとハンガーで16機のヘリコプターを運用する。車両デッキには60台まで搭載でき、兵員は450名から900名収容し、Role 3級の医療部門、それに指揮統制通信情報区画用のスペースがあり合同部隊司令部にできる。
  10. RCNのミストラル級はカナダ保有のヘリコプター各機を運用でき、特殊作戦、戦術強襲、医療搬送その他ミッションに投入する。.ヘリ部隊運用はミッション内容により柔軟に行われるだろう。
  11. 最大の課題は人員確保だろう。ミストラルは最小の乗員数で運用できる設計になっているのが幸いで士官20名、80名の下士官と60名の水兵があればよい。
  12. カナダにとってはミストラル級LPHを自国海軍用に取得を各政党、国民どう説明するかは微妙な問題で、カナダも他のNATO加盟国と同様の問題を抱える中、同意形成ができるのか注目される。
  13. クイーンズトン級共用支援艦は補給用にどうしても必要な艦であり、最終的にカナダで建造されるはずだが、カナダがミストラル級を取得するとしても早くて2016年であり、NATOやカナダの緊急派遣部隊への支援を幅広く行えるはずだ。
  14. もちろん同艦の処遇を決めるのはオランド大統領であり、ウクライナ情勢で平和が回復されれば、当初の計画通り二隻をロシアへ売却してしまうかも知れず、その場合上の提言は意味がなかうなる。
  15. しかし、NATO、カナダ、フランスのより大きな利益のためにそうはならないことを祈ろう。■

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