オバマにはきつい見方ですが、米国では賛成する向きが強いのでしょうね。オバマ政権の8年間は安全保障ではいいことは少なく、その分中国が台頭してきましたから。ところで習近平の訪米で何が生まれたのでしょうかね。ローマ法王の訪米を何とかして変更したかった北京の予想通り、習訪米は地味で目立つことが少ない、中国人としては不満遣る方ない展開になったのではないでしょうか。
Summits Over Substance: Obama Yields To Chinese President Xi
http://breakingdefense.com/2015/09/summits-over-substance-obama-yields-to-chinese-president-xi/feed/
ワシントンでは習近平主席の公式訪問を控え準備に忙しいが、中国による行動が緊張を高めている事実を米国は伝える緊急性がある。だがそこまで率直に話すつもりがないオバマ政権は弱体化をさらけ出し、主体的に課題解決をめざす様子はない。この数週間で露呈した現象を考察してみよう。
- 中国官憲が米国籍ビジネスウーマンをスパイ容疑で逮捕し、身柄を今後6ヶ月に渡り拘束しそうだ。「複数の米政府高官」から米国が中国によるサイバー諜報活動に制裁を検討中と判明したが結局実施に踏み切らなかったのと好対照だ。
- 事案 米偵察機に向け中国戦闘機2機編隊が迎撃に向かった。偵察機は当時公海上空を飛行中。同様の事件は以前にも発生している。中国戦闘機がバレルロール飛行で米軍機と空中衝突一歩前まで行った例や米艦船の手前で停船し衝突しそうになった中国軍艦もある。対照的に米政権は中国が建造中の人工島から12カイリ地点には立ち入っていないとしぶしぶ認めている。
- 事案 中国は軍事作戦の範囲を大きく拡大中でロシアと初の合同海軍演習を地中海で行ったばかりか、アリューシャン沖まで任務部隊を航行させた。リムパック演習に正式に参加しながら2014年に中国はスパイ艦を派遣しているが、次回も招待されているが逆に中国は自国演習へ米国のアクセスを認める兆候はない。
- 事案 中国の国防支出は2015年は10%増加している。今月初めの軍事パレードで30万人削減の発表があったが、全体の軍事予算の削減に繋がっていない。むしろ海軍、空軍、第二砲兵隊、宇宙軍の予算増に振り向ける。一方で米国は引き続き予算削減の下で全体の削減額の半分を国防分野に期待する。中国の軍事演習が拡大する一方で、米艦船は係留されたまま、パイロットは飛行時間を減らしている。
- 中国は米国の決意を試しているのか、アメリカの指導力を低く見ているのか、どちらにせよ結果は同じだ。中国は自国の望む方向で米国に対処できるが、米国は同じことができない。中国の力強さと対照的に米国の無気力さを見せつけられる西太平洋地区の米側同盟各国は米国への信認を低下させる結果になる。米国が航行の自由原則を堅持し中国の主張を受け付けないとしても、意図的に中国を敵に回さないのであれば、米国の約束は信頼を失う。首脳会談させ無事に終われば良いと考え、自国民が逮捕されても対応せず中国のサイバー活動への抗議にも反応がないままにしておくのであれば、中国の領海領有権の主張に異議を唱える意図があるのか疑わしく思われても仕方ない。
- さらに危険なのは何をしてもオバマ政権から処罰をうけることはないと習主席を誤解させることだ。オバマ政権の残り任期16ヶ月はそうかもしれないが、後を引き継ぐ政権はそうは行かないだろう。民主党、共和党問わず次期大統領がオバマ大統領と同様に中国の主張に理解を示すとは考えにくい。
- ひとつだけ例を挙げると台湾海峡問題がある。この7年間は静かだが、再度熱い地点にもどるかもしれない。 台湾の総統選挙は2016年で独立を主張する政党が政権を握ることになりそうだ。米国が台湾を見捨てればアジア全体から信用を失うし、悪影響が欧州・中東に及びかねない。.
- オバマ大統領は歴史の表舞台からほどなく消えるが習主席は残る。中国の政治形態の特徴で大きな変動が発生しないまま習は2017年の党大会で再選される。現時点の中国共産党政治局常務委員は大部分が引退する予定なので、あらたな顔ぶれに囲まれるだろう。そうなると習の影響力は遥かに大きくなり、政治局では第一期5年間で得た経験が以後の政策決定に大きく影響してくるだろう。
- 中身より体裁を重視することでオバマ大統領は米中間の意見の相違、誤解を生む要因を作り出し、アメリカの意図を中国が誤って解釈する事態を生もうとしている。■
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