最近レーザー関連の話題が多いのですが、やはり大きな進展があったのですね。技術優位性をてこに国防力の維持を図る第三相殺戦略でもレーザー兵器は大きな意味を持ってきます。当然神経をいらだたせるのは数で勝負の中国ですから技術習得に必死になっているでしょう。あるいはレーザー兵器そのものを利用不可能にする国際的運動を起こしかねませんね。戦争法案などと大衆を惑わす言葉のテクニックもありますので気を許すことはできません。
Lockheed Launches Laser Production Line; Bets On Fiber Tech
CRYSTAL CITY: 世界最大の防衛企業が実戦用レーザー兵器の実用化に向けて大きく前進する。ロッキード・マーティンは光ファイバーモジュールの生産を数週間で開始する。モジュールの組み合わせで各種兵器が完成する。生産は米陸軍向け60キロワット級ロケット弾迎撃用システム試作品から始まる。だが規模・出力の拡大は容易で同社は将来は沿岸戦闘艦、AC-130ガンシップ、F-15さらにF-35への搭載を想定している。
- 「生産施設をテストし、拡張に備えます」とロッキードで業務開発にあたるレイン・マキニーは記者に語っている。「これはテスト生産施設で、最適化の試験設備で、効率化の追求であり、迅速な対応を試す場所です。もし、緊急需要が生まれた場合を想定してですね」「投資規模は申し上げられませんが、社内でも非常に大きな存在であることは確かですね」
- 狙いは生産量よりも出力増だ。ファイバーレーザーとは小型モジュール多数を使い低出力レーザー多数を生み出す技術だ。レーザーを光ファイバーケーブルを通過させ「スペクトラム光線集合」ユニットに導き数十数百の低出力レザー光線を一本の強力なレーザーに集約する。出力を上げるにはモジュール数を増やせば良い。ただし電源と冷却を考慮する必要はあるが、一個一個のモジュールは小型で冷却は単一で大きなレーザー発生装置より簡単に行える。これまでのレーザーでは過熱現象が問題であった。過熱によりレーザー光線が歪むためだ。
- 「当社の60kW仕様は簡単に100 kW以上に拡大できる設計です。単にファイバーの数を増やせば良いのですが、今のところ発注元は60しか注文していませんので」とロッキード上席研究員ロブ・アフザルは述べる。「設計上は有利です。レーザー本数を10、20、50、100と自由に変更できますから」
- モジュール多数によるレーザー光線は、単一集中発生器に比べてレーザーの質でも安定するとマキニーは強調する。仮にモジュール数個が作動しなくても出力低下は数%にとどまるが、集中装置だと兵器としては作動不能となる。
- ファイバーレーザーは製造が従来型より容易だ。古典的なレーザーには「クリーンルームとPhD科学者が寄り添い作動テストすること」が必要だったとアフザルは言う。「各ユニットは単独設計で単品生産してシステムに組んでいました」
- 「これに対してファイバーの生産は電子産業の現場に近い。生産現場も密閉されていません。技術者がシステムを組みますが、博士号は要りません。生産量も増減が自由です」
- 名前の由来になっているファイバーだが民生用光ファイバーと同じ種類である。つまりロッキードは民間技術の成果と効率性を利用できる。中核部品は民生仕様をそのまま使える。
- ただし民生用ファイバーレーザーでいいというわけではないとアフザルは念を押した。米海軍の試験レーザー装置がペルシア湾に配備されているが、装置は既存部品を使い30キロワットを実現した。中身は商用ファイバーレーザー6本でそれぞれ同じ標的を照射するが、6本は一本に集約されないので効果が限定的だ。有効射程を伸ばし出力を上げるにはレーザー集約が不可欠だが、そのためには商用レーザーの仕様では不十分だとアフザルは述べた。.
- まず商用レーザーでは軍用のような重量軽減・出力増の想定がない。このためロッキードはモジュールそのものを社内開発せざるを得なかった。その鍵は効率だ。効率を高くするためには入力を減らし、冷却も簡単にする必要がある。システムも小さくなる。
- これまでのレーザーの効率は10パーセント程度だった。つまり100キロワットなら光線は10 kWで残りの90 kWは排熱になる。最新技術ではこれを35パーセントに引き上げることで 35 kW相当の光線を得る。だがロッキードは40パーセントにできるという。たかが40パーセントというかも知れないが皆さんの乗る自動車でも15から30パーセントしか利用していない。
- 「この技術には興奮を呼ぶものがあります」とアフザルは同社のファイバー・レーザーを語る。レーザー兵器を実用化する長年の夢が実現しようとしているのだ。このため同社は生産施設への投資を進めていると言う。現時点の目標は「単に科学技術の成果としてではなく、当社が生産し、納入し、実現できる能力を有することを示したい」のだという。■
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