先週はスプラトリー諸島へ米海軍が予想より早く艦艇を通行させた事件が大きく伝えられましたが、並行してロシアも大胆な行動で米海軍に挑んでいます。
まずDefense NewsはNavy Timesからの転載として以下伝えています。
Russian bombers buzz carrier Reagan amid exercise
By David Larter, Staff writer4:45 p.m. EDT October 29, 2015
空母ロナルド・レーガンが4機のF/A-18を武装付きで27日緊急発艦させ、接近するロシア爆撃機2機に対応させていた。ロシア編隊は同艦上空を低空通過して米海軍を驚かせた
Tu-142ベア編隊は高度500フィートで空母から1マイル未満の地点へ侵入。レーガンは韓国との共同演習中だった。海軍によればホーネットを発艦させたのは海軍艦艇近くに接近する航空機対応として標準対応だという。ただ海軍関係者によれば今回の事態は危険をともなっていないという。
レーガンからはロシア機に交信を試みたが、返答はなかったと海軍報道官ウィリアム・マークス中佐が声明文を発表。今回のロシア機接近はまずStars and Stripesが報じていた。ベアは長距離飛行性能を生かして偵察任務に投入されているが、巡航身猿や対潜兵器の搭載も可能だ。
米海軍艦艇がロシア偵察機と接近遭遇することは冷戦時代は日常的に発生していたが、ソ連崩壊後に減り、2014年のクリミア併合以降再び増える傾向にある。ヨーロッパ、アジアの各国でロシア機による領空侵犯に対する懸念が深まっている。
急増中のロシア偵察機の飛行パターンからロシアが活動を増加させていると見る専門家は多い。
「ロシアはやる気があるところを示そうと長距離飛行させている」というのはブライアン・クラークだ。潜水艦勤務の経験があり、現在は戦略予算評価センター(ワシントンDC)でアナリストを務める。「わがほうはずっと同じことやっているから今回の事件は大きな意味がないように見えるもしれない。だがしばらく実施してこなかった国としては大きな動きといってよいでしょう」
「ロシアとしては再開は大きな成果です。長距離監視偵察飛行の実施能力を回復したわけで、さらに長距離攻撃能力も同様でしょう」
活発化を示すロシアの軍事活動へ米海軍は注意を喚起している。■
一方、米海軍協会は以下の配信をしています。
Pair of Russian Surveillance Planes Came Within A Mile of Carrier USS Ronald Reagan, Ship Scrambled Fighters
By: Sam LaGrone
October 29, 2015 1:43 PM
ツポレフTu-142ベアF/J
二機のロシア偵察機が前方配備中のUSSロナルド・レーガン(CVN-76)から一カイリ以内まで接近したため、武装した戦闘機を同艦が緊急発進させたことが米海軍関係者からUSNI Newsに28日伝えられた。
場所は朝鮮半島沖でツボレフTu-142ベアF/J海洋監視偵察型二機が空母打撃群に接近したため、レーガンは待機中の戦闘機を4機発進させ、ベア編隊をエスコートした。ティム・ホーキンス少佐がUSNI Newsに伝えた。「今回の対応は『安全』なものでした。これまでも同様の例が発生しています」
USSロナルド・レーガン(CVN-76)が韓国海軍の世宗大王(DDG-991)と随航している。2015年10月28日。 US Navy Photo
ホーキンス少佐が言及しているのは2008年の事例でUSSニミッツ(CVN-68)が戦闘機を緊急発進しツボレフTu-95爆撃機に向かわせている。プーチン大統領が冷戦後しばらく実施していなかった長距離戦略爆撃機のパトロール飛行を再開させた直後のことだった。.
レーガンは韓国海軍と共同演習中だった。
ロシアはクリミア半島をウクライナから強引に併合してから大西洋・太平洋双方でパトロール飛行回数を増やしている。
NATO、日本、米北方軍(NORTHCOM)はそれぞれロシア機の飛行回数が一貫して増えていると認識している。
2014年4月にはロシア戦闘機2機編隊が米側基準では危険な上空飛行により誘導ミサイル駆逐艦USSドナルド・クック(DDG-75)上空すれすれを飛行している。
2014年6月には空軍所属のRC-135リヴェットジョイント監視偵察機がロシア戦闘機により北太平洋で迎撃されている。■
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