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Aviationweek.com 3月11日掲載
e爆弾とは敵の電子装置を強力な電磁放射線のパルスにより破壊するものであり、長年にわたり議論の対象となってきた。これまでの研究開発が継続されているが、実用化のきざしはみられていなかった。通信回線及び電子装置を使用不能にする兵器は魅力あるものに写るが、現場指揮官は実際に効果がわかっている兵器の使用を好むものだ。だが、いまや米陸軍がその両面を満足させる技術を開発中であり、通常の爆弾効果とe爆弾をひとつのパッケージにすることが出来る。
爆発性の弾薬はその効果を爆風、破片及び時に応じ装甲を貫く小型爆発物により実現する。研究者はこれに加え、電子電磁パルス(EMP)による破壊効果も実現しようとしている。この点でこれまでのe爆弾が非殺傷型を目指していたのと相違している。陸軍は既存弾頭の向上をはかり、爆風、破片、装甲貫通をいずれも低下させずかつ重量増加は最低限で新機能を追加しようとしている。
これまでのe爆弾の動力源は磁性体圧縮発電機に電流を運ぶ金属コイルを組み合わせたものだ。この発電機がかさばり、既存の弾薬と一体化できなかった。そこで、陸軍が模索している別の方法は衝撃波を出す強磁性体発電機。これは一種の磁石で破裂すると同時に消磁して、エネルギーをパルスとして放出する。その効果は圧力を誘発する磁性位相移動として知られており、ある条件のみで特定の種類の磁石でのみ発生する。2005年に米陸軍の航空ミサイル研究開発技術センター(Amrdec)が研究委託会社Lokiおよびテキサス工科大の技術陣と共同でスピーカーでよく使われるネオジム合金の磁石で爆発性のあるパルス電源の実証を完了している。
この後、研究はいっそう特殊な鉛・シリコン・チタン合金の磁石へ発展した。この素材により発電機の容量がこれまでの50立方センチ(3立方インチ)から3立方センチに縮小された。ただ陸軍の要求水準は、発電機、電源調整装置、アンテナを全部で1立方インチに収めることである。技術的な課題は電磁エネルギーに指向性を与えるアンテナの実現だ。Amrdecでは「誘導エアロゾルプラズマ弾頭」の実現をめざしている。荷電分子により電力を誘導するのが原理。爆発により形成される火球の分子組成を変えて、導電性のあるプラズマアンテナに変えることがその目的だ。
この基本は陸軍が過去作成したプラズマアンテナだ。軍用爆発物を使う衝撃効果として装甲版を貫徹する際に影響が出ないことを確認する必要がある。これまでの研究結果では火球の構成が求める効果の周波数と合致している必要があるのだという。
爆発時の火球はほぼ球形となるが、プラズマアンテナでは円筒形に近くなることが求められる。このため、より直線的な爆発を得る必要がある。初期の研究では金属の噴出をアンテナにしようとしたが、プラズマアンテナとしては不適と判断された。
高性能弾頭として完成すれば、貫通せずに戦車を攻撃できる。敵戦車はエンジン始動が出来なくなり、通信装置、電子装置も利用不可能となる。また、電子製品として携帯電話が爆弾の点火にテロリストで使われているが、これも使えなくなり、ロケット発射式手榴弾の回路も機能しなくなる。そこで、EPM兵器について大きな疑問が生じる。効果をどうやって把握できるのか。メルボルンのモナシュ大学准教授のカーロ・コップはこの分野の権威である。同教授は90年代に電磁パルス兵器に関する戦略的な思考を形成した論文を著している。また、「e爆弾」も同教授の創造した用語である。
「電磁兵器による破壊測定はe爆弾であれビーム兵器であれ、本当に大変です。攻撃の結果、敵の電気系統が焼け焦げたり、同様の電気的な故障が確認できないと、敵の目標を攻撃したのか、相手が意図的に回路を閉鎖したのか区別がつきません。電磁兵器では確認が容易な爆弾による損害把握は利用できないのです。」
比較的低出力の場合は陸軍の新型小型多目的弾頭で個別目標を狙う。現在候補となっているのはTowミサイルと2.75インチロケットでともにヘリコプターから発射できる。これまでのe爆弾開発では大型の航空機運搬爆弾または広範囲射程の野砲用弾薬を想定しており、コップがいうところの「大量電子破壊兵器」であった。小型のe爆弾は大型版と質的に異なる存在。放出される出力は距離の二乗で減少し、3メートル先の目標は30メートル先の目標より100倍大きな効果を受ける。EMP効果を狙うTowミサイルでは命中した目標を破壊することが十分可能なパルスを放出するが、広範囲の場所の電子製品には影響を与えない。電子的な「同士討ち」の可能性のため強力な戦術e爆弾は実用化されないはずだが、コップは小型版でも予想できない付帯的な損害が生じる可能性があるという。都市部の電力供給網や電話線がパルスを拾い上げると、損害は広範囲に及ぶ可能性がある。
陸軍が注目している最小規模の兵器は多連装ロケットシステム (MLRS)から発射されるM77小型爆弾の改修だ。小型爆弾は対人殺傷用の破片を放出する。小型爆弾で広範囲をカバーし、発射機からは同時に12基のロケットを発射し、フットボール競技場6つ分の広さを対象に出来る。これにEMP能力をつけた場合は同じ広さをカバーし、目標地区の破壊も可能となるかもしれない。M77の改修ができるのであれば、兵員の肩から発射可能なロケット砲や同様の兵器もEMP効果を発生できるようになる。小型の歩兵用のロケットでは今日の装甲に対して限定的な効果しか挙げられない。EMP効果を与えれば、貫通は無理でも「ソフトキル」能力で相手方車両を装甲不可能にすることが実現することになるかもしれない。この場合損害を受ければ修理は困難で電子装置は一式交換を迫られることになるだろう。
米空軍もこの分野に関心を示しているが、詳細は不明だ。空対空ミサイルにEMP能力が加わるとしても性能低下は許されない。放射線を追尾して敵の防空レーダーを攻撃するミサイルは別の需要があるだろう。米海軍水上戦センターインディアンヘッド部門はプラズマ火球により簡易爆発物(IED)を作動不能にする弾頭を求めている。この目的は爆発を制御し、IEDを爆発させずに破壊して付帯的損害を最小限にすることにある。
2007年のテストでは爆発でプラズマを形成し、砲弾や迫撃砲弾頭に対して使用した。これらはよくIEDの材料となっている。この結果はインディアンヘッドのホームページから削除されており、詳細はまだ発表されていない。このことから開発は進んでおり、実戦テストまで至っている可能性がうかがえる。
コメント: 今日の発達した電子装置も簡単に使用不可能となる、というのはもっとも恐ろしい経済的な打撃のシナリオです。電子回路はサージ電流で簡単にノックダウンできます。たとえば、北朝鮮が日本上空の相当の高度で核弾頭を爆発させたら.....でも、何も失うものがないと狂信的に考える国家指導部が核弾頭の爆発にちゅうちょしなくなったら....まず飛行中の航空機は墜落、コンピュータ・通信はダウンし、ATM等電子決済上の貨幣は消滅しますし、シールドされていない民生機器は使用不可能となります。結果、経済は電子化前の50年前の状態にもどるばかりか、その復旧には数十年かかり途中で相当の混乱が生じるでしょう。電子回路に依存した現代社会のアキレス腱ですね。そんな意味もあり、東北アジアでの核兵器開発はなんとしても阻止しなければならないのではないでしょうか。ただ、核を使わないe爆弾が実用化になれば、より小規模かつ効果的な電子破壊テロが実現するかもしれません。悪夢は消えないでしょうね。本稿で紹介されているe爆弾はむしろ小規模で戦術的レベルですが、予期できぬ結果を排除できない「制御性」の問題があり、戦場での使用には躊躇することになるでしょう。
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Aviationweek.com 3月11日掲載
e爆弾とは敵の電子装置を強力な電磁放射線のパルスにより破壊するものであり、長年にわたり議論の対象となってきた。これまでの研究開発が継続されているが、実用化のきざしはみられていなかった。通信回線及び電子装置を使用不能にする兵器は魅力あるものに写るが、現場指揮官は実際に効果がわかっている兵器の使用を好むものだ。だが、いまや米陸軍がその両面を満足させる技術を開発中であり、通常の爆弾効果とe爆弾をひとつのパッケージにすることが出来る。
爆発性の弾薬はその効果を爆風、破片及び時に応じ装甲を貫く小型爆発物により実現する。研究者はこれに加え、電子電磁パルス(EMP)による破壊効果も実現しようとしている。この点でこれまでのe爆弾が非殺傷型を目指していたのと相違している。陸軍は既存弾頭の向上をはかり、爆風、破片、装甲貫通をいずれも低下させずかつ重量増加は最低限で新機能を追加しようとしている。
これまでのe爆弾の動力源は磁性体圧縮発電機に電流を運ぶ金属コイルを組み合わせたものだ。この発電機がかさばり、既存の弾薬と一体化できなかった。そこで、陸軍が模索している別の方法は衝撃波を出す強磁性体発電機。これは一種の磁石で破裂すると同時に消磁して、エネルギーをパルスとして放出する。その効果は圧力を誘発する磁性位相移動として知られており、ある条件のみで特定の種類の磁石でのみ発生する。2005年に米陸軍の航空ミサイル研究開発技術センター(Amrdec)が研究委託会社Lokiおよびテキサス工科大の技術陣と共同でスピーカーでよく使われるネオジム合金の磁石で爆発性のあるパルス電源の実証を完了している。
この後、研究はいっそう特殊な鉛・シリコン・チタン合金の磁石へ発展した。この素材により発電機の容量がこれまでの50立方センチ(3立方インチ)から3立方センチに縮小された。ただ陸軍の要求水準は、発電機、電源調整装置、アンテナを全部で1立方インチに収めることである。技術的な課題は電磁エネルギーに指向性を与えるアンテナの実現だ。Amrdecでは「誘導エアロゾルプラズマ弾頭」の実現をめざしている。荷電分子により電力を誘導するのが原理。爆発により形成される火球の分子組成を変えて、導電性のあるプラズマアンテナに変えることがその目的だ。
この基本は陸軍が過去作成したプラズマアンテナだ。軍用爆発物を使う衝撃効果として装甲版を貫徹する際に影響が出ないことを確認する必要がある。これまでの研究結果では火球の構成が求める効果の周波数と合致している必要があるのだという。
爆発時の火球はほぼ球形となるが、プラズマアンテナでは円筒形に近くなることが求められる。このため、より直線的な爆発を得る必要がある。初期の研究では金属の噴出をアンテナにしようとしたが、プラズマアンテナとしては不適と判断された。
高性能弾頭として完成すれば、貫通せずに戦車を攻撃できる。敵戦車はエンジン始動が出来なくなり、通信装置、電子装置も利用不可能となる。また、電子製品として携帯電話が爆弾の点火にテロリストで使われているが、これも使えなくなり、ロケット発射式手榴弾の回路も機能しなくなる。そこで、EPM兵器について大きな疑問が生じる。効果をどうやって把握できるのか。メルボルンのモナシュ大学准教授のカーロ・コップはこの分野の権威である。同教授は90年代に電磁パルス兵器に関する戦略的な思考を形成した論文を著している。また、「e爆弾」も同教授の創造した用語である。
「電磁兵器による破壊測定はe爆弾であれビーム兵器であれ、本当に大変です。攻撃の結果、敵の電気系統が焼け焦げたり、同様の電気的な故障が確認できないと、敵の目標を攻撃したのか、相手が意図的に回路を閉鎖したのか区別がつきません。電磁兵器では確認が容易な爆弾による損害把握は利用できないのです。」
比較的低出力の場合は陸軍の新型小型多目的弾頭で個別目標を狙う。現在候補となっているのはTowミサイルと2.75インチロケットでともにヘリコプターから発射できる。これまでのe爆弾開発では大型の航空機運搬爆弾または広範囲射程の野砲用弾薬を想定しており、コップがいうところの「大量電子破壊兵器」であった。小型のe爆弾は大型版と質的に異なる存在。放出される出力は距離の二乗で減少し、3メートル先の目標は30メートル先の目標より100倍大きな効果を受ける。EMP効果を狙うTowミサイルでは命中した目標を破壊することが十分可能なパルスを放出するが、広範囲の場所の電子製品には影響を与えない。電子的な「同士討ち」の可能性のため強力な戦術e爆弾は実用化されないはずだが、コップは小型版でも予想できない付帯的な損害が生じる可能性があるという。都市部の電力供給網や電話線がパルスを拾い上げると、損害は広範囲に及ぶ可能性がある。
陸軍が注目している最小規模の兵器は多連装ロケットシステム (MLRS)から発射されるM77小型爆弾の改修だ。小型爆弾は対人殺傷用の破片を放出する。小型爆弾で広範囲をカバーし、発射機からは同時に12基のロケットを発射し、フットボール競技場6つ分の広さを対象に出来る。これにEMP能力をつけた場合は同じ広さをカバーし、目標地区の破壊も可能となるかもしれない。M77の改修ができるのであれば、兵員の肩から発射可能なロケット砲や同様の兵器もEMP効果を発生できるようになる。小型の歩兵用のロケットでは今日の装甲に対して限定的な効果しか挙げられない。EMP効果を与えれば、貫通は無理でも「ソフトキル」能力で相手方車両を装甲不可能にすることが実現することになるかもしれない。この場合損害を受ければ修理は困難で電子装置は一式交換を迫られることになるだろう。
米空軍もこの分野に関心を示しているが、詳細は不明だ。空対空ミサイルにEMP能力が加わるとしても性能低下は許されない。放射線を追尾して敵の防空レーダーを攻撃するミサイルは別の需要があるだろう。米海軍水上戦センターインディアンヘッド部門はプラズマ火球により簡易爆発物(IED)を作動不能にする弾頭を求めている。この目的は爆発を制御し、IEDを爆発させずに破壊して付帯的損害を最小限にすることにある。
2007年のテストでは爆発でプラズマを形成し、砲弾や迫撃砲弾頭に対して使用した。これらはよくIEDの材料となっている。この結果はインディアンヘッドのホームページから削除されており、詳細はまだ発表されていない。このことから開発は進んでおり、実戦テストまで至っている可能性がうかがえる。
コメント: 今日の発達した電子装置も簡単に使用不可能となる、というのはもっとも恐ろしい経済的な打撃のシナリオです。電子回路はサージ電流で簡単にノックダウンできます。たとえば、北朝鮮が日本上空の相当の高度で核弾頭を爆発させたら.....でも、何も失うものがないと狂信的に考える国家指導部が核弾頭の爆発にちゅうちょしなくなったら....まず飛行中の航空機は墜落、コンピュータ・通信はダウンし、ATM等電子決済上の貨幣は消滅しますし、シールドされていない民生機器は使用不可能となります。結果、経済は電子化前の50年前の状態にもどるばかりか、その復旧には数十年かかり途中で相当の混乱が生じるでしょう。電子回路に依存した現代社会のアキレス腱ですね。そんな意味もあり、東北アジアでの核兵器開発はなんとしても阻止しなければならないのではないでしょうか。ただ、核を使わないe爆弾が実用化になれば、より小規模かつ効果的な電子破壊テロが実現するかもしれません。悪夢は消えないでしょうね。本稿で紹介されているe爆弾はむしろ小規模で戦術的レベルですが、予期できぬ結果を排除できない「制御性」の問題があり、戦場での使用には躊躇することになるでしょう。
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