スキップしてメイン コンテンツに移動

イエメン強襲作戦の内幕を推理する


What has emerged so far about the deadly U.S. Special Operations on Al Qaeda in Yemen

Feb 02 2017 - By Tom Demerly


米特殊軍団によるイエメンのバイダ地方ヤクラのアルカイダ施設郷愁作戦の情報がその後浮かび上がってきた。

  1. 作戦情報は依然極秘扱いだがABC13 News Now の記者エリーズ・ブラウンが消息筋から「アルカイダはSEALの来襲を事前に知っていたようで準備していた」との発言がABCニュースにあったと伝えている。
  2. 米海軍上等兵曹ウィリアム・「ライアン」・オーウェンス(36歳、イリノイ州出身)が作戦中に死亡したと報道されている。その他に米隊員三名が負傷し、別に海兵隊MV-22オスプレイの着陸失敗で3名が負傷した。同機は米軍により地上で破壊され敵による機体回収を防いだ。
  3. 今回の急襲作戦は米特殊部隊の混成チームで実施されたようだが、オーウェンス兵曹は東海岸配備の米海軍海空陸(SEAL)チームの所属でヴァージニア州リトルクリーク基地に配属されていた。報道によればオーウェンスは特別に訓練を受けたタスクフォース・ブルーの所属で「SEALチームシックス」とメディアが報じる部隊のことだ。
  4. 米海軍のタスクフォース・ブルーには対テロ特殊作戦部隊と同様に内部に「戦隊」を置いており、赤、金、青、銀の各戦隊が「急襲」部隊で黒戦隊が支援し、その他情報収集分析部隊が後方に回る。オーウェンス兵曹の所属戦隊は不明だ。
  5. 公式発表では急襲の目的は物理的な情報の確保で、電子媒体やコンピューターのハードディスクや文書でアルカイダの今後の作戦を知ることだったとロイター通信は米国防総省から報道陣に説明があったと伝えている。
  6. ロイターのカイロ駐在モハメド・エル・シェリフの記事によれば「現地のアルカイダは2015年のシャルリエブド編集部襲撃事件をお膳立てした以外に米エアライン機の撃墜もねらっていたという。
  7. 急襲作戦は現地報道によれば「一時間の消火活動」で終わったという。死傷者報道はバラバラで現地人17名から30名が死亡したとしており、アルカイダ戦闘員含め急襲作戦で地上で死亡しているという。
  8. 週末に実施された米特殊部隊による急襲は「相当前に」立案されており、情報収集内容を反映していた。急襲のタイミングは匿名条件の米軍内部関係者によれば「ちゃんとした理由がある」のだという。おそらく月齢が関係しているのだろう。新月で急襲は実施されており、反射の関係から暗さが最大限期待できた。
Approximate location of the raid (Google Earth screenshot)

  1. 衛星画像からは対象地は山地に囲まれた小都市で海抜は1500フィート以下とわかる。つまりMV-22オスプレイの着地失敗には高地特有の渦輪気流は関係なかったことになる。
  2. オサマ・ビン・ラディンへの急襲となったネプチューン・スピア作戦で特殊部隊仕様のヘリコプターが着陸に失敗した原因が渦輪気流であった。回転翼機が自機の回転翼流に包まれて急降下すると揚力が消滅する。
  3. 当日の天候条件は華氏70度と比較的低く、視界は新月で「8マイル」で中程度の湿度と風速10マイル以下であった。これに暗い月明かりの条件を加えても作戦実施には差し支えない範囲だった。
  4. 一部報道では急襲はアデン湾の米海軍艦船から行ったとしている。
  5. 追加航空支援は同艦が搭載する海兵隊のAH-1Zヴァイパーガンシップから投入可能だったのだろう。また現地報道ではガンシップを「アパッチ」だったとしている。これは考えにくい。急襲作戦は艦船から始まったとの報道があるためだ。
  6. では同地区にいた艦船名は何か。保安上の理由があるが、強襲揚陸艦からの発進だったとすれば、可能性はUSSキアサージ、バターン、ボンノム・リチャード、イオウジマ、またはマキン・アイランドであろう。オンライン資料によればUSSワスプ、エセックス、ボクサーの当日の位置もわかる。
  7. 米第五艦隊管轄地区で興味深い艦船関連の報道があるのは通常とは違う仕様に改装sれたUSSポンセ(AFSB(1)-15)の存在だ。USSポンセの可能性があるのは最近同艦が特殊作戦支援用の改装を受けているためで、ヘリコプター甲板があり、その他特殊部隊用仕様もある。USSポンセは艦載レーザー兵器システム(LaWS)の運用試験にも使われている。
複合艇に爆発物処理移動ユニット’EODMU)12隊員が乗り、移動海上基地(暫定)のUSSポンス(AFSB(I) 15)の収納部分に入ろうとしている。 (U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Scott Raegen/Released)
  1. また最近だが同地区には誘導ミサイル駆逐艦USSニッツェ (DDG-94)とUSSメイソン(DDG-87)がUSSポンセとともに展開しているとの報道がある。各艦はイエメン沖合のバブ・エル・マンデブ海峡近くで活動中とされ、紅海とアデン湾を結ぶ場所にいたとの報道が9月にあった。そのまま残っていれば、今回の作戦に各艦も参画していた可能性がある。
  2. イエメンでの米特殊作戦に注目が集まったのは2016年5月6日のNBCニュースでペンタゴン報道官ジェフ・ディビス海軍大佐の発言として「小規模の米軍人がイエメンで限定的な支援をアラビア半島のアルカイダ勢力と戦っているイエメン政府及びアラブ連合軍に提供している」と報道したためだ。これは以前の発言である「米軍部隊はイエメンでは2014年12月以降いかなる特殊作戦も実施していない」との声明と矛盾していた。
  3. そして水曜日遅くに飛び込んできたのがドナルド・トランプ大統領が予定外にドーヴァー空軍基地(デラウェア州)に移動し、オーウェンス兵曹の遺体帰国に立ち会うとの発表だった。トランプ大統領はマリーンワン専用ヘリコプターでイヴァンカ令嬢、デラウェア選出クリス・クーンズ上院議員とともにドーヴァー基地に向かった。■

U.S. President Donald Trump and his daughter Ivanka Trump walk toward Marine One while departing from the White House, on Feb. 1, 2017, en route to Dover Air Force Base. (Credit: Mark Wilson/Getty Images)

コメント

このブログの人気の投稿

フィリピンのFA-50がF-22を「撃墜」した最近の米比演習での真実はこうだ......

  Wikimedia Commons フィリピン空軍のかわいい軽戦闘機FA-50が米空軍の獰猛なF-22を演習で仕留めたとの報道が出ていますが、真相は....The Nationa lnterest記事からのご紹介です。 フ ィリピン空軍(PAF)は、7月に行われた空戦演習で、FA-50軽攻撃機の1機が、アメリカの制空権チャンピオンF-22ラプターを想定外のキルに成功したと発表した。この発表は、FA-50のガンカメラが捉えた画像とともに発表されたもので、パイロットが赤外線誘導(ヒートシーキング)ミサイルでステルス機をロックオンした際、フィリピンの戦闘機の照準にラプターが映っていた。  「この事件は、軍事史に重大な展開をもたらした。フィリピンの主力戦闘機は、ルソン島上空でコープ・サンダー演習の一環として行われた模擬空戦で、第5世代戦闘機に勝利した」とPAFの声明には書かれている。  しかし、この快挙は確かにフィリピン空軍にとって祝福に値するが、画像をよく見ると、3800万ドルの練習機から攻撃機になった航空機が、なぜ3億5000万ドル以上のラプターに勝つことができたのか、多くの価値あるヒントが得られる。  そして、ここでネタバレがある: この種の演習ではよくあることだが、F-22は片翼を後ろ手に縛って飛んでいるように見える。  フィリピンとアメリカの戦闘機の模擬交戦は、7月2日から21日にかけてフィリピンで行われた一連の二国間戦闘機訓練と専門家交流であるコープ・サンダー23-2で行われた。米空軍は、F-16とF-22を中心とする15機の航空機と500人以上の航空兵を派遣し、地上攻撃型のFA-50、A-29、AS-211を運用する同数のフィリピン空軍要員とともに訓練に参加した。  しかし、約3週間にわたって何十機もの航空機が何十回もの出撃をしたにもかかわらず、この訓練で世界の注目を集めたのは、空軍のパイロットが無線で「フォックス2!右旋回でラプターを1機撃墜!」と伝え得てきたときだった。 戦闘訓練はフェアな戦いではない コープサンダー23-2のような戦闘演習は、それを報道するメディアによってしばしば誤解される(誤解は報道機関の偏った姿勢に起因することもある)。たとえば、航空機同士の交戦は、あたかも2機のジェット機が単に空中で無差別級ケージマッチを行ったかのように、脈絡な

主張:台湾の軍事力、防衛体制、情報収集能力にはこれだけの欠陥がある。近代化が遅れている台湾軍が共同運営能力を獲得するまで危険な状態が続く。

iStock illustration 台 湾の防衛力強化は、米国にとり急務だ。台湾軍の訓練教官として台湾に配備した人員を、現状の 30 人から 4 倍の 100 人から 200 人にする計画が伝えられている。 議会は 12 月に 2023 年国防権限法を可決し、台湾の兵器調達のために、 5 年間で 100 億ドルの融資と助成を予算化した。 さらに、下院中国特別委員会の委員長であるマイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出)は最近、中国の侵略を抑止するため「台湾を徹底的に武装させる」と宣言している。マクマスター前国家安全保障顧問は、台湾への武器供与の加速を推進している。ワシントンでは、台湾の自衛を支援することが急務であることが明らかである。 台湾軍の近代化は大幅に遅れている こうした約束にもかかわらず、台湾は近代的な戦闘力への転換を図るため必要な軍事改革に難色を示したままである。外部からの支援が効果的であるためには、プロ意識、敗北主義、中国のナショナリズムという 3 つの無形でどこにでもある問題に取り組まなければならない。 サミュエル・ P ・ハンチントンは著書『兵士と国家』で、軍のプロフェッショナリズムの定義として、専門性、責任、企業性という 3 つを挙げている。責任感は、 " 暴力の管理はするが、暴力行為そのものはしない " という「特異な技能」と関連する。 台湾の軍事的プロフェッショナリズムを専門知識と技能で低評価になる。例えば、国防部は武器調達の前にシステム分析と運用要件を要求しているが、そのプロセスは決定後の場当たり的なチェックマークにすぎない。その結果、参謀本部は実務の本質を理解し、技術を習得することができない。 国防部には、政策と訓練カリキュラムの更新が切実に必要だ。蔡英文総統の国防大臣数名が、時代遅れの銃剣突撃訓練の復活を提唱した。この技術は 200 年前のフランスで生まれたもので、スタンドオフ精密弾の時代には、効果はごくわずかでしかないだろう。一方、台湾が新たに入手した武器の多くは武器庫や倉庫に保管されたままで、兵士の訓練用具がほとんどない。 かろうじて徴兵期間を 4 カ月から 1 年に延長することは、適切と思われるが、同省は、兵士に直立歩行訓練を義務付けるというわけのわからない計画を立てている。直立歩行は 18 世紀にプロ