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ISISの資金源のからくり 闇取引の実態はどうなっているのか どうしたら阻止できるのか


ISIS関連のニュースですが、この古美術品盗掘密輸による現金化のお話は知られていないのでは。一体誰が買うのでしょうか。しかも昨日今日始まったわけではない、ということはすでに数十年にわたる流通のしくみができている? それよりも原油を安く買っているのは誰なのか、許しがたいですが、ISISIを助けるルートをひとつずつつぶす経済戦に勝たなければなりませんね。

Opinion: How ISIS Funds Terror Through Black Market Antiquities Trade

http://news.usni.org/2014/10/27/isis-funds-terror-black-market-antiquities-trade
By: Brig. Gen. Russell D. Howard U.S. Army (retired), Jonathan Prohov and Marc Elliott
Published: October 27, 2014 11:15 AM
Updated: October 27, 2014 11:17 AM


連合軍が空爆でイラク・シリアイスラム国(ISISまたはISIL)の進撃を食い止めようとする中、当のISISは軍事作戦とともにかけがえのない歴史的遺物を発掘し、闇市場で売却し作戦資金を調達している。これに対してテロ組織の資金源を断つ従来の方法が使えない。

ISISは不正取引で多様な収入源を確保しており、民間企業がうらやむほどで、ISISの不正取引、人の移動、武器、石油含む物品は関心の的だ。不正な資金調達は海外からの資金援助以上に頼りになる安定的収入源でISISは財政的に自立している。しかし、ユネスコが確認した古美術品の不正取引は報道陣や政策決定層から無視された格好だ。ISISはこの方法で数千万ドルの資金を得ている。

ISISは肥沃な三日月地帯の文化財を略奪し利益をあげることに驚くべき巧みさを示している。不正取引はISISの二番目の収入源となっている。一番は石油で、米財務省の試算では一日当たり100万ドルを計上している。この収入源はISISにとって重要で、米主導の連合軍がISIS支配下の油田・精製施設を目標に攻撃を加えており、トルコもついに石油闇取引を摘発することにしたところだ。

最新報道によると一層巧妙な略奪行為があるようだ。シリアとイラクの現地筋から考古学者マイケル・ダンティ Michael Danti が聞いたのはISIS支配地域では盗掘が二番目に多い職業となっているという。ISISはイスラム法を都合よく解釈し略奪行為を正当化し、イスラム法の税金khumsで戦利品あるいは埋蔵物の価値の五分の一相当を現在の統治勢力に支払うことになっているのをISISは略奪品の価値の2割から5割の税率と解釈して適用している。

略奪や密輸行為はいまに始まったものではない。イラク国内の組織犯罪は古美術品の不正取引で以前から利益を上げていたし、2003年に米軍侵攻が始まると過激派は略奪集団と組んで巨大な不正取引産業を形成した。以前からの略奪グループや密輸ネットワークも再度勢いを盛り返しており、一部はイラク国内のアルカイダと直接つながっている。ISISはアルカイダの進化形だ。

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文化財保存地点の攻撃は過激派にとって有効な戦略で、古代の聖像を「消毒」するとし、価値ある墳墓や大型像をISISは破壊しまくっている。破壊の前に内部の価値ある文化財を略奪しており、美術品売却で利益を上げ、さらに文化財破壊でメディア報道されれば組織の宣伝になる。

戦闘が続いているため、ISISが美術品密輸でどれだけの利益を確保しているか不明だが、モスルで関係者が逮捕された事案から組織の収入構造や利益の一端が浮かび上がった。ISISがシリア国内で活動を開始した2012年から2014年に同組織が一番信頼を置いていた使者の逮捕までにシリアのアルナブク al-Nabuk 地方だけで36百万ドル相当の古美術品密輸がISISの財源に加わったという。

またISISは組織犯罪の手口で美術品をレバノン、ヨルダン、トルコの各国へ運び、引き換えに現金や武器を調達している。美術品はさらに国際取引業者の手にわたる。レバノンではISISは盗掘美術品を一覧にして注文に応じる体制で、L.L.ビーンの通信販売みたいだ。

ISISは従来のテロ集団の資金調達方法の先を行っており、個人寄付やマネーロンダリングを摘発してきた手法が利用できない。元財務省のマシュー・レヴィットMatthew Levittは「ISILの現地犯罪事業への対抗策は極めて限られている」と言う。もともと古美術品取引市場は規制が困難で、平時でもそうなので盗掘をやめさせる取り締まりは事実上機能していない。このままでは世界有数の文化財が盗まれるままで、しかもその売上げが忌まわしいテロリスト集団の財源になるのを座してみるだけだ。■

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