スキップしてメイン コンテンツに移動

☆ ロッキード・スカンクワークスが発表した小型核融合炉技術の概要



(ターミナル1共通記事)以下ご紹介する記事はインパクトがあり、興奮させられます。本当に核融合が実現するのかぜひ知りたいものです。さっそく航空機や艦船に搭載した場合を想像する向きもあるでしょうが、まず実用に耐える核融合発電が運転する様子を見たいですね。それをスカンクワークスが発表したというのはどういう意味があるのでしょう。当面要注意な話題です。翻って日本ではなんといっても反核ですから頭から融合炉も否定されてしまうのでしょうか。本当に使える技術なら世界を大きく変える可能性があり、日本は鎖国している余裕があるのでしょうか。真偽はともかく興奮しませんか。


Skunk Works Reveals Compact Fusion Reactor Details

Lockheed Martin aims to develop compact reactor prototype in five years, production unit in 10
Oct 20, 2014Guy Norris | Aviation Week & Space Technology
ロッキード・マーティンのスカンクワークスといえば極秘研究で有名だが、ひっそりと研究してきた核エネルギーの利用方法は世界のエネルギー事情を変える可能性を秘めている。
  1. 小型核融合炉compact fusion reactor (CFR)と命名され、これまでより安全で、廃棄物が少なく出力ははるかに大きい。現在の核動力は核分裂で原子を割りエネルギーを得る。これに対し核融合では原子を組み合わせ安定を高めてから余剰エネルギーを放出する。
  2. ロッキード提案は小型ながら拡大可能で惑星間宇宙船、輸送船、都市発電などの用途に最適だという。大型の核動力航空機の構想が復活し、事実上無給油で飛行が可能となるかもしれない。この構想が50年以上前に一度中止されたのは危険性と核分裂炉関連の複雑な構造のためだった。
  3. ところで核融合は新規の概念ではない。1920年代以降、核融合が宇宙旅行の動力源に想定されていたが、実用に耐える装置が完成していなかった。各種研究機関や企業が世界中で核融合を実現しようとしたが、実験レベルを超える装置は存在していない。困難な課題にブレイクスルーが実現しようとしているようで、パラダイムシフトが世界のエネルギー事情に発生すると予想される中、ロッキードは事業提携先、資金、研究人員を集めるべく自社プロジェクトを公表した。
プラズマが放出する中性子(紫色)が熱を反応炉側壁から発電タービンに伝えるCredit: Lockheed Martin
.
  1. 同社は2013年にもCFRの一部を公表したが、今回は詳細を公開した。Aviation Weekは単独取材をスカンクワークスでの実験(「T4と呼称)で許された。主管するのは航空工学エンジニアのトーマス・マクガイア Thomas McGuire でスカンクワークスの中で革命的技術開発事業部Revolutionary Technology Programs とぴったりの名称の部門に所属。現在のは格納容器の開発中で大きさはビジネスジェット機のエンジンぐらいだ。センサー類、注入器、ターボポンプがついて、内部を真空にし、大量のバッテリーで接続したステンレススチール製の格納容器を見ていると、これまで何十年も核物理学で難題だったものががこれで解けるとは見えない。融合反応の制御方法は未解明のままだった。.
  2. 「NASAの研究課題で火星に早く到達する方法を模索してました」とマクガイアマサチューセッツ工科大で博士号を取得)は語る。核融合動力の宇宙推進関連の文献を調べたが、失望したという。「そこで自分で各構想を検討し、問題点を一つに集約して問題が恩恵になるように置き換えてみたわけです。すると一歩先に進み、ここロッキードで完全に新しいものに変わり、これを今テストしているところです」
  3. ロッキード構想のブレイクスルー内容を理解するには融合の原理とともに融合反応の制御で反応炉で得るエネルギー量と炉の大きさがどう変わるかを知っておくとよい。まず核分裂の燃料は水素アイソトープ重水素hydrogen isotopes deuterium と三重水素トリチウム tritiumが原料で、まず格納容器にガスとして注入される。そこにエネルギーを加えるとガスはイオンと電子に分かれプラズマが発生する。
  4. 超高温度のプラズマを制御するのは強力な磁場でこれにより容器側面にプラズマが接触するのを防ぐ。またプラズマ閉じ込め状態が十分でないと、イオン同士が衝突し融合していく。この過程で発生するのがヘリウム-4で、中性子を解放し、中性子がエネルギーを磁場を通じて運んでいく。中性子が反応炉の側面を加熱し、熱交換器を通じタービン発電機を運転する。
  5. これまでは融合炉にはプラズマ制御装置としてトカマクtokamakと呼ぶ装置が使われてきた。これは1950年代にソ連物理学が発明したもので、地場でプラズマを環状帯 torus あるいは指輪の形に保持し、反応の維持には別の電磁石でプラズマ内部の電流を誘導した。この方法での課題は生まれるエネルギー量が融合反応の維持に必要なエネルギー量とほぼ同じとなることだ。
超電導磁石を入れたリング多数が反応炉内のプラズマを封じ込める

  1. そこで発展型の融合炉として国際熱核融合実験炉 International Thermonuclear Experimental Reactor (ITER) がフランスのカダラッシェCadarache, Franceに建造され、500MW出力となる予定だった。しかしプラズマは2020年代末まで形成されず、十分な出力が得られるのは2040年代以降の見込みだ。
  2. トカマクの問題は「保持できるプラズマの量が限られることで、これをベータリミット beta limit と呼んでいます」とマクガイアは説明してくれた。プラズマの圧力を電磁圧力に換算すると、平均的なトカマクのベータリミットは低く「閉じ込め圧の5%程度」だという。環状帯を自転車のタイヤに例えると、「大きくしすぎると、最終的に封じ込め用タイヤが破裂しますので、安全運転のために近づけない方がよい」とマクガイアは言う。この問題とは別にトカマクでの物理原則では巨大な規模と莫大なコストが必要だ。ITERは建造費500億ドルで完成すると高さ100フィート、総重量23,000トンとなる。.
  3. CFRではこの問題を回避すべく全く違う方法でプラズマ封じ込めをする。プラズマをチューブ状の輪の中に封じ込めるのではなく、超電導コイルで磁場配列を形成しここにプラズマを反応炉全体に保持する。超電導磁石が各コイルの中にあり、外部に磁場を形成する。「自転車タイヤではなく壁側面に広がるチューブとしたわけです」とマグガイアは言う。「このシステムだと自動調整式のフィードバックがはたらき、プラズマが離散しようとすると磁場が強くなりプラズマを引き戻し封じ込める。CFRのベータリミット比は1となる見込みで、「100%以上も狙う」という。
  4. 決定的に違うのは同じサイズならCFRでトカマクの10倍の出力を得られることだ。つまりCFRは10分の一にできることになる。この寸法上の変化は生産加工と価格で大きく地図を塗る変える可能性があるとマクガイアは説明する。「ここに将来の経済を塗り変える開発の可能性があります」と言い、「大きさが10分の一というのがカギです。物理学ではそれでも十分であり、当社がこの技術が有効だと信じる理由はこれまで十分に安定した構成を実現してきたためです」 安定性を確保できた理由の一つが超電導コイルの配列位置であり磁場ラインの形状だ。「当社の例ではいつも均衡をとってきました。そこで圧力を弱めると、プラズマは小さくなり、常時磁場の中に納まっていました」という。
  5. 全体としてロッキード案は「これまでの成果の良い点をたくさん採用している」とし、ベータを高くする機器構成、環状に配置しプラズマを封じ込めるようにした磁場ライン、軸対象ミラーを実現した技術簡素化があるという。このうち軸対象ミラーは各容器の端近くに強力な磁場を置くことで形成され、CFRの軸から抜け出るプラズマ粒子の多くを反射するものである。「また再循環もありこれはポリウェル Polywell 構想と似ています」といい、核融合で有望なもう一つの構想に触れている。ポリウェル融合炉では電極で電磁場を作り、電子を閉じ込め、負の電圧をつくることで陽イオンを集める。その結果としてイオンがどんどん負電圧に集まる際に衝突と融合を実現する構想だ。
  6. ロッキード開発チームは開発は初期段階であり、課題が残っており、試作機の制作はまだ先だという。ただしマクガイアは進展は速いだろうと見る。スカンクワークスの考え方がその背景にあり、「ここで働く人は仕事がすごく早い」と言う。「試作品は五世代で完成させたい。予定通り毎年設計製造試験のサイクルを一年でこなせば、5になりますね」 試作品は点火状態を実証し、注入が終わっても10秒間の安定状態を維持するのが目標で、「その意味では全出力運転ではないですが、物理的な作動状態はすべてお見せできるでしょう」
  7. 5年後には生産型が登場する見込みだ。「これは大規模な作業になりますね」と言い、商業生産に移すとなると素材関連や熱転送、ガスタービンの専門企業の関与を想定しているという。まず100 MW クラスで米国の住宅向けなら80千戸相当に十分な電力を供給でき、「船も動かせる」という。
  8. ロッキードの予測では25 kg 未満の燃料で年間運転が可能とみる。燃料の供給は心配がない。重水素は海水から生成し、無限にあるといってよく、三重水素トリチウムはリチウムから「繁殖させる」のだという。「すでに世界規模の反応炉向けに十分な供給量を確保できるリチウムを採掘していますのでトリチウムを過剰生産することを避けて安全を確保できます。トリチウムは空中に広がると健康上のリスクがうまれますが、少量なら安全です。また反応炉の運転には少量で十分です。なぜなら化学反応より百万倍強力ですからね」
  9. 第一世代の反応炉も運転の最終段階で放射性廃棄物を生むが、汚染度は現時点の核分裂系よりはるかに少ないとマクガイアは予想する。「まず長期間残留する放射性物質はありません。核分裂では永遠に残る放射性廃棄物がでますが、核融合では100年というところでしょうか。」
  10. また核融合の放射能汚染レベルも今後の素材研究で改善されると見ている。「鶏と卵のどっちが先か、と言う状況で、運転型核融合システムが完成するまでは素材研究に回せる資金がないでしょうね。そのため第一世代から時間をかけて改良していくという考え方です」 使用済みのCFR用鋼材は「砂漠に埋め立てるので今日の医療廃棄物と同じ扱いです。それでも核分裂系とは大きな違いがあります」
  11. 運用が開始されれば多面的な恩恵が生まれる。たとえばメルトダウンののリスクがない。「放射性トリチウムの量はごくわずかで、数グラム単位ですのでもし外部に漏れても被害は最小限です。さらに核拡散のリスクが少ないです。トリチウムは核兵器にも使用されますが、想定する使用量をはるかにうわまわる在庫がすでにあります」という。
  12. 事前シミュレーションと実験結果から「非常に有望で可能性がある」ことが判明したとマクガイアは言う。「最新結果では磁性化イオンの封じ込め実験をし、初期測定で正しく作動していることがわかりました。次はプラズマ封じ込めを開始します。今回当社のプロジェクトを公開したのは、チーム作りでもっと大きな課題にとりかかるためです。当社には外部支援が必要であり、外部人材も巻き込みたいと思います。これは世界規模の事業であり、その中で主導的な立場をとれるのをうれしく思います」
Video ロッキード・マーティンの小型核融合研究開発の状況をビデオでご覧ください。: AviationWeek.com/CFR
From the Archives 原子力動力の航空機についての1958年記事を検索できます。AviationWeek.com/Archives
Digital Extra スカンクワークスのCFR主任技術員トーマス・マクガイアはこんな人: AviationWeek.com/McGuire


コメント

このブログの人気の投稿

★北朝鮮ミサイルが中国衛星で誘導されている可能性

中国も北朝鮮関連では叩けば埃がどんどん出そうですね。北京が見切りをつければ平壌の現政権など簡単に転覆させるでしょうが、中国国内にある北朝鮮とのしがらみ(おそらく共産党内部の派閥争い)と東北部の軍の非合法ビジネスの問題があり、米国といったん話がついても実施が難しいのでしょう。そのうちにしびれを切らした米国が単独行動に出るかもしれません。

Record China Is North Korea Using China's Satellites to Guide Its Missiles? 北朝鮮は中国衛星を使ってミサイル誘導をしているのか
Peter J. Brown May 23, 2017 http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/north-korea-using-chinas-satellites-guide-its-missiles-20810?page=show

北朝鮮がミサイル発射を繰り返し米本土を狙うICBM開発に走る中、ひとつ見落とされている点がある。ミサイルに衛星誘導を使っているのではないか。北朝鮮に衛星航法ネットワークはないため、中国衛星を利用しているとの観測がある。 2014年報道で北朝鮮技術者が中国国内で北斗Beidou衛星航法システムの運用を研修中とある。同年の別の記事で中国軍専門官から中国は北朝鮮による北斗の軍事利用を止められないと発言している。 北斗以外に北朝鮮の選択肢として米露両国のGPSがあり、ロシアはグロナスGlonasと呼んでいる。 「グロナスの可能性もありますが、ミサイル誘導に北斗を利用している可能性の方が高い」と小泉 悠(未来工学研究所特別研究員、ロシア安全保障問題)がメールで述べており、ロシアは北の核実験後に武器および軍事関連技術の北朝鮮向け禁輸措置を取っているがグロナスが対象かは不明と小泉は述べる。 北斗衛星群打ち上げは1994年に始まり、現在は東アジア以遠まで展開している。北斗は民生商業用途と軍用の両面で利用され、軍用では妨害を受けず正確にデータが利用できる。 北朝鮮が北斗の軍用機能を利用しているか不明だが、民生用機能で精密誘導兵器を運用しているとは考えにくい。というのは北斗の民生機能は日米韓の電子妨害に弱く有事の際に北朝鮮が利用するのは困難になるためだ。 「特別のチップならびに中国の協力がな…

★★★破損機材二機からF-15を再生したイスラエル空軍の実力に脱帽

すごい。やはり国家の存続がかかった緊張状態を毎日続けて70年になる国は違いますね。イスラエルを敵に回したくないものです。 Meet the Israel Air Force unit that frankensteined a totaled F-15F-15二機の使用可能部分をつなぎ合わせて一機再生してしまったイスラエル空軍 By: Barbara Opall-Rome, May 15, 2017 (Photo Credit: Photo by Heidi Levine) http://www.defensenews.com/articles/meet-the-israel-air-force-unit-that-frankensteined-a-totaled-f-15
TEL NOF AIR BASE, Israel – ボーイングやロッキード・マーティンなど米企業がさじをなげたことをイスラエル空軍第22補給処が普通にやりとげてしまった。 2011年の事故でボーイングが喪失扱いと断念したF-15Bアローヘッドが飛行再開している。来月で事故から6年になる。事故は離陸直後にペリカンを空気取り入れ口に吸ったことで大火災が発生した。乗員2名は緊急着陸に成功したが、機体後部は完全に焼け落ち修理不可能と判定された。 その後三年余り、機齢35年の同機の処遇で議論が続いていた。機体の前方部は無傷なのでコックピットとエイビオニクスは予備部品にすればよいという声が出た。そこに第22補給処が前方部分と20年間も「機体の墓場」に放置されたままの単座型F-15の後部と接合する提案をしてきた。 「その案が出たのでボーイングに実施可能か照会したが、答えは返ってきませんでした」と第22補給処の指揮官マキシム・オルガド中佐がDefense Newsに語っている。「再度同社に聞くと、冗談と思って真剣にしなかったと判明したのです」 第22補給処は事故機の前方部分と20年間も「機体の墓場」で放置されていた別の機体の後部を接合した。 Credit: Photo by Heidi Levine ボーイングは声明文で第22補給処との協力関係は40年続いており、イスラエル空軍F-15の即応体制維持の一助となっている「同部隊のプロ意識や能力の高さには敬意を払っており、教えられることもあり相互に恩恵が生まれている」と述べた。 第…

★★★米空軍次期戦闘機はもう戦闘機の形状となることはない---第六戦闘機の用語は駆逐

米空軍は次期戦闘機材の姿を未来から考えていますね。目的は航空優勢の確立であり、ドッグファイトは目的ではないと分析し、宇宙やサイバーも含めた多様なシステム構造の一貫として次期機材を捉えております。また、アジア太平洋での作戦をにらみ足の長い機体となると現在の戦闘機と相当形状が異なってくるとし、現状の姿の延長線上に次期機材を想定する勢力の生み出す結果と全く異なる結果を生み出そうとしています。改めて空軍の構成、運用がシステムで成り立っていることを痛感させられる内容です。 Air Force Prepares to Hash Out Future Fighter RequirementsBy: Valerie Insinna, August 28, 2016 (Photo Credit: Northrop Grumman)http://www.defensenews.com/articles/air-force-future-fighter-jet-penetrating-counter-air-next-generation-air-dominance
WASHINGTON — 一年をかけて将来の制空任務に必要な戦術や技術を検討した米空軍が次期戦闘機を実現する第一歩を踏もうとしている。2017年予定の代替策検討(AOA)に先立ち、空軍は予備作業を開始している。AOAはF-35に続く機体の要求条件、調達戦略に焦点をあてる。空軍は次期戦闘機をNGAD次世代航空優勢とかPCA侵攻制空用機材と呼んでいる。
だがアレクサス・グリンケウィッチ准将はAir Superiority 2030による戦力連携チーム(ECCT)を率い、NGADは従来の戦闘ジェット機と大きな違いが2つあると強調する。ひとつめが調達期間を比較的短くすることだ。
「2020年代末までに何らかの形が必要です」と准将はDefense News取材で発言している。「現実的な日程として2028年頃に中心的な技術分野で大幅な投資があれば侵攻制空性能で初期作戦能力が実現します
第二の相違点に関係するのがこのたびまとめられたAir Superiority 2030研究で将来の米空軍の航空優勢で決め手になるのは単一機種としての第六世代戦闘機のような機体ではなく、統合ネットワーク化された一連のシステムの集合だとする。この組み合わせの中に侵攻能…