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ACC司令官が見る 空軍力の現状と未来


ホステジ司令官はこれまでもいろいろ発言をしている人ですが、退役を控え、一区切りというところでしょうか。空軍の考える作戦概念そのものは案外理解されていないので、非常に参考になると思います。

ACC’s Gen.Hostage: On Fifth Gen Combat Cloud And Syria

By ROBBIN LAIRD and ED TIMPERLAKEon October 22, 2014 at 4:29 AM
ロビン・レアード ROBBIN LAIRD(寄稿コラムニスト)とエド・テンパーレイク ED TIMPERLAKE がマイク・ホステジ大将との最後のインタビュー機会を得た。大将は航空戦闘軍団を率いるが、11月初旬に退官予定だ。ホステジは空軍が第五世代機F-22を導入し、F-35導入に備える様子を目にしてきた。(編集部)
質問: F-22が実戦に初めて投入された。中東のISILを相手に。もっと早く実戦投入しておくべきだったのに、実現しなかった。F-22は独立して運用されるのか、それとも空軍の一部に統合されるべきなのか。
ホステジ: 今日運用中の機体はすべて統合されている。単一ミッションしかできない機体は運用しないが、近接航空支援機は例外。今でも全体をきわめてうまく調整して実施すべき運用である。
空軍に統合できていない機材があると考えるのはばかげた見方だ。F-22は他の機種と交信ができないというのは他機種と同じレベルでの交信ができないという意味。
しかし機材を他の資産と統合するのはいまに始まったことではなく、空軍創立以来続いている。TTPという戦術、技量、手段に関しておおむねそれは正しい。
F-22も対ISIL戦では戦力構成の一部に取り込まれている。決して単独行動しているわけではない。それぞれの役割はあるが、全体として戦力ミックスとしている。
航空攻撃だけおこなっているわけではない。同機の状況把握能力と防空能力は大きな要素であるが、他機種と同様に攻撃目標も与えられる。
これ以上の統合があるだろうか。
質問: 空軍力は一層重要性を増しており、作戦の実施のたびにその観が強い。それでも議論があり、地上兵力対空軍力と言う観点で意見が分かれている。我々は空軍力は戦闘区域の状況を形成するとともにその他の作戦の実施を可能にするカギだと見ているが、どう思うか。
ホステジ: 地上部隊派遣の是非は多分に政治論議であり、軍事上の検討ではない。地上部隊を送ればだれが悪いやつか区別して、悪いやつの顔の上に武器をつきつけてやることができるのはあたりまえだ。
ただこれを実施すべきかの是非は軍事上の決断ではなく、政治判断だ。正しい政治判断を指導層がこの件で下すと思う。道のりはちがっても、好むと好まざるを問わず、軍事上の選択でなくあくまでも政治選択だ。

戦闘状況のISR活動は今でも大規模であるがもっと現地に機材を増やせばもっと多くの情報が得られると思う。
だが上空からできることに限界がある。航続距離とセンサーの精度の問題だ。建物を透視できない。こそこそ話も盗聴できない。空からのISRには明らかに限界がある。
ただこうして話している間にも現地では驚異的な作業が進行している。作戦環境の中で効果を最大化するためにはなんでも実施すべきだ。
今回とアフガニスタンを比較すれば、ちがいがわかる。アフガニスタンでは 再建されたアフガン部隊と共同で作戦していた。アフガン警察、米国、その他各国連合軍が地上に展開していた。非常に高密度のISIRで地表を覆った。多数の機種を投入し、電子フルモーション画像情報を活用した。これと同じことはイラクでは実施できないし、イラク軍は混乱状態にある。
状況に応じた制約の中で出来ることを実施するしかない。
質問: ACC司令官の任期の終わりが近づく中、主な業績を上げると何か。
ホステジ: そうだね、戦場で最高の戦闘機材となるF-22部隊を指揮するのが一番誇らしいことかな。シリアに投入したのはテストではなく、必要だったからだが、全く問題なく作戦を実施している。
同機を実戦化する努力が報われた。着任当時は同機は半年も飛行停止状態だった。パイロットが飛行するのを恐れていた。整備部門は手を付けたがらなかった。まったくひどい状態だった。最高の機材を失う危険があった。
3.1ソフトウェアを各機に搭載する作業が完了して、空対地攻撃能力を接近阻止・領域拒否l (A2/AD) の環境でも発揮できるようになった。
作戦の実施方法を根底から覆す機材だ。
当初の予定機数を調達できていたらよかったと思う。それでも184機でも絶対的な威力を発揮する機材だ。F-35の性能にもとても満足している。1,763機も調達すれば相当の戦力となるだろう。
質問: 前回お会いした際はF-22を実際に操縦する初のACC司令官と知り大いに感銘をうけた。F-22、F-35を旧型機と共同運用するのは困難か。
ホステジ: 航空作戦の再定義ということか。F-22を操縦することができ幸運だった。今まで知らなかったことを勉強できた。
以前は三ツ星としてF-22を使った作戦構想を準備していたが、同機の性能をすべて発揮できていなかった、というのも第五世代機の決定的な違いを理解していなかったからだ。
よくステルス性能が第五世代機の決定的な違いだといわれるが、実際は違う。違いは融合fusionだ。融合は決定的に違いを生む。4.5世代だ、4.8世代機だという向きがあるが、信じてはいけない。そこで言っているのはRCS(レーダー断面積)のことだけだ。
融合こそこれからの方向だ。融合機能は第四世代機では期待できない。エイヴィオニクス装置が融合機材用に設定されていないからだ。融合により機材の運用方法が変わってくる。
第五世代機のSA(状況把握)が強力なので第四世代機にSAを伝え、攻撃させるのが効果的だ。ラプターを一機送り、第四世代機をウィンチェスター銃として使うことだ。そのあと五世代機で仕上げを行う。また後続機のために安全を確保する。戦争の仕方が変わった。
戦術戦の状況を根本から変えつつある。第五世代機と融合させてどのように戦術機を運用するか。戦術戦では四世代機と五世代機でパイロットの仕事が根本から違ってくる。
だが航空優勢を実現する仕掛けの根本は敵地奥深く攻撃することでありこれは不変だ。
指揮命令の前提は全面攻撃能力を四・五世代機間で実現することであり、戦闘能力をフルに活用することだが、このため第四世代機での戦闘のやり方を変える必要が出てくる。
マシン間の交信がないと四世代機はいまと変わらない仕事しかできないが、やりとりができれば四世代機は五世代機の仕事の一部を引き受けられる。これのカギは五世代機が提供するSAだ。
このマシン間同士のやり取りが実現すれば、四世代機も戦術面で五世代機の融合機能の恩恵を受けることが可能となる。
質問: 専門家の中には空軍の前主任研究員のマーク・ルイスのように第五世代機の機能を完全利用するには革命的な能力を有する兵装の制約を開放するべきと指摘する向きがある。兵器が進化している実態をどう見るか、またどの領域に進むべきと考えるか。
ホステジ: 第五世代機に合わせて第五世代兵器を作る必要はないと思う。しかも一気に進歩するのではなく、確実に進歩させていくべきだ。
つまるところ、何を実現したいかだ。現在の機材に搭載している兵装は直線的に進歩を遂げた結果だが我々が求める効果を生む能力がある。
接近拒否領域阻止の環境が今以上に激しくなれば、敵地内部の攻撃能力はすべて無効化される。このため戦闘の在り方を一変するgame changing新兵器の開発努力が必要だ。
質問: S3乗というコンセプトがあり、センサー、ステルス、スピードの相殺関係を指している。そのうちどれを重視し、どれを犠牲にするのか。また相殺に意味があるのか。
ホステジ:三つの相互関係をうまく言い表しているのはラプターとライトニングの比較だ。ラプターは高度5万フィート以上をマッハ2で飛行し、RCSは高度3万5千フィートマッハ0.9のライトニングよりも小さい。
この二機種はともに高度、速度、ステルス性があるが、性能は全く違う。ライトニングの性能をラプター並みにするにはライトニングを6機、7機、8機と組み合わせることだ。
この融合したF-35編隊とF-22を比較すれば、性能は互角となる。また各機のウェポンシステムを融合した合成効果が出てくる。
これが第五世代機F-35の不思議な特性だが、この効果を得るには一定数のF-35が必要となる。そのため同機を予定通りの機数で購入すべきと主張している。ラプターのような少数配備になれば、圧倒的な威力は期待できない。
質問: F-35のグローバルな展開にはそうなると同盟国、協力国が重要となる。もうひとつおっしゃているのは第五世代機の投入で戦闘作戦の概念が変わり、21世紀型の戦場となり、30年前と同じ環境ではいられないということ。では、元空軍長官マイク・ウィンMike Wynne が第五世代機をSA能力を生かして観測偵察機として使えといっているが同じ趣旨で以前にSAで他の攻撃機を助けるべきと発言されていた。
ホステジ: 全くその通りで、前線偵察機として目標情報を集め、四世代機に送り、スタンドオフ攻撃を加え、戦闘の全体状況を把握させる。データを送受信する能力であり、これを目指して努力しているところだ。
同時にC2(通信と統制)の再構築も必要だ。アフガニスタンで起こったことが今でも起こる可能性があるのはCAOC(Combined Air and Space Operations Center----統合航空作戦司令部)が1,500マイル離れた地点にあるためで、全体調整、統合、相乗効果の実現を機種が混在する中で敵のいない戦場でおこなうためだ。
シリア上空の作戦空域がまず対象で、台湾海峡上空他も大きな課題となる。遠隔地の統合指揮命令機能から長距離のリンクに依存することになる。
クラウドを使って指揮命令系統を分散化する考えもあるが、全体調整能力の実現が必要だ。機体が自身で動いてミッションを実行する話ではなく、各機が相乗効果を上げて望む効果を達成し、敵攻撃を生き延びる話をしている。
それぞれ違う機種で同期した環境で作戦を実施するとする。同期を実現する装置が必要だ。これが分散制御の考え方だ。それはBMC2(戦闘管理指揮統制)用の機体で、JSTARSかもしれない、AWACSかもしれないし、E-2Cかもしれないが、空飛ぶ司令部となり、あるいは水上艦かもしれない、その他の装備かもしれないが、前方戦闘地帯内の航空機をとりまとめる前方分散統制機能となるだろう。
質問:これまで合衆国は航空優勢を確保して空軍力を他の役目に使うことで水上部隊、地上部隊を支援してきたが、空軍力がいつもあることを前提にしていたのにいつの間にかこれを忘れている。これも挑戦すべき課題なのか。
ホステジ: 陸軍の仲間にこう言ったことがある。これまで60年間で上空が音がしても誰も気にしていない。気になって空を見上げることもない。いつも空軍がいたからだ。ただ今後もその通りか保証がない。これまで60年間変わらなかったのは空軍が努力したせいだ。
努力を怠れば戦場の様相は大きく変わる。地上兵士は空を見上げてあの音は友軍のものなのか、敵軍のものかわからなくなるだろう。
質問: 進行中の変化のひとつが空対空戦の再登場。航空急襲部隊への脅威も含め新しい戦闘に伴う状況を想像する必要がある。空対地から空対空へ重点が移る中どこまで準備ができているのか。
ホステジ: 任官したばかりの中尉に戦闘機パイロットとしてまずこの二三年で何をすべきかを聞いてみたところ、逆に自分の場合を聞かれた。気恥ずかしかった。
これからの人たちは複雑なシステムを扱い負担が重いが、一方で操作は楽になっていく。本当に良いことだ。
事態が発生すれば勝利を収めてくれると疑いはない。わが方の装備も乗員も本当に能力が高いので空で衝突が発生しても衝撃と畏怖作戦の日々が戻ってくると思う。
合衆国だけによるレッドフラッグ演習を見ていると、恐るべき威力を発揮している。だから自信がある。疑いなく勝利を収めるが、今のような財政状態で優秀な乗員を支える国防の仕組みが崩壊しなければ、だ。
質問:パイロットが空軍力の進化に応じて行動様式を変えていくことは重要だろうか。とくに新型機が今後導入されるが。
ホステジ: 新しいハードウェアを任官間もない若いパイロットが操縦すると想像外の結果がいつも起こるものだ。また想定外の使用方法も発見する。そして戦術マニュアルの書き換えにつながる。
飛行隊で抜きんでた考えを持つものを選抜しようと探すのはそれが理由だ。毎年のように兵装と戦術の見直しをおこなっており、各戦術飛行隊の選りすぐりがネリスで二週間にわたり技術を披露する。【レッドフラッグ演習のこと】 乗員は新趣向を毎回しこまれるが、専門家があれこれ工夫する効果を搭乗員はあらゆる手を使って実現する。
この試練に生き残れば、記録化し、だれでもできるように訓練を開始する。
このようにしてすぐれた知識を空軍全体に広めてきた。
推進力は若い中尉の心の中にあり、素晴らしいマシンを目の前にして新しい発想で何かをしようとする。これが変化を生む推進力だ。■


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