うーん、これはどうなんでしょう。いかにも虫の良い主張であり、完全にオーストラリアの視線の記事ですが、日本としても遺恨よりも前向きに未来を展望したほうがいいのかとも思えます。そもそも日本の産業界が輸出なり現地建造に積極的だったのかわかりませんが、かねてから主張しているように政府主導の輸出振興は最初の段階はともかく、成約までフォローすることに無理があり、プロの総合商社に任せたほうがいいと考えています。ただし、死の商人のイメージを恐れる既存企業では無理なら第三セクターの防衛装備国際普及機構を作ればいいのではないでしょうか。ともあれ、オーストラリアから再び甘言が来そうですね。
Aussies At Impasse With France Over New Sub; Japan May Win オーストリア次期潜水艦交渉でフランスと難航、日本に受注の可能性か
By ROBBIN LAIRD and HARALD MALMGRENon October 05, 2018 at 9:53 AM
そうりゅう級ディーゼル電気推進攻撃型潜水艦
フランスとオーストラリアの関係では英海軍が到達する数日前にフランス人がオーストラリアに来ていた事実は意外に知られていない。オーストラリア大陸探検は大部分をフランスが行っている。そのフランスとオーストラリアの関係は新型攻撃潜水艦ショートフィン・バラキューダを巡る戦略的提携関係が締結されれば密接になる。だがその可能性が日増しに薄れる中で両国で事業へ疑問が強まっている。では代替策はあるのか。
フランスとオーストラリアは豪海軍向け新型潜水艦建造を巡る意見の相違点を埋める必要があるが、来年に予定されるオーストラリア新政権発足の前に解決が求められ、最も有望な代替策が日本だ。
2016年新型潜水艦をフランスと共同建造するとの発表がオーストラリア政府から出た。老朽化してきたコリンズ級潜水艦6隻にかわり新型艦は航続距離を延長し「地域内で右に出るもののない潜水艦」(豪政府)を12隻建造する構想だ。
新型潜水艦はフランス技術を採用するが、建造はオーストラリア国内で行い、オーストラリア国内雇用を確保し2020年代中の運用開始を目指す。
ただしフランス、オーストラリアの間で建造をめぐり意見が食い違ったままなのが問題だ。信頼・信義を巡る問題であり、フランス、オーストラリア共に協力関係を強める動きを示していない。
直近の報道から合意達成は困難なようだ。オーストラリア-フランス合作のショートフィン・バラキューダ潜水艦事業は設計段階が始まっているがフランスで新政権が発足し、国防相、調達部門DGAの長がともに交代した。オーストラリアとの基本合意が知的財産権ほかで未解決のままだ。
オーストラリアで鍵となる問題は建造と知財(IP)の他、そもそも新型潜水艦を連続建造する能力が国内にあるのかとの疑問だ。二国間で新型潜水艦を共同開発するため技術移転が双方向で必要であり脅威関係が急速に変化する中で潜水艦開発は長期になる。
オーストラリアの目指すショートフィン・バラキューダ新型潜水艦はフランス設計、オーストラリア建造で米製戦闘システムを搭載する構想だ
フランスで新政権が生まれたが、オーストラリアでも政権交代がありそうだ。議会選挙は来春の前に行われる。現在の国防相クリストファー・パインChristopher Pyneは潜水艦建造に当初から関与している。選挙区は南オーストラリア州で建造場所となる予定だ。また前国防産業相としてパインは政権変更前に合意達成をなんとしても実現したいところだろう。だが同事業をめぐり政界のコンセンサスが腰砕けになっているとオーストラリア放送協会ABCが報じている。
「南オーストラリア州選出無所属上院議員四名が構想を批判し、フランス企業ネイバルグループを使い12隻建造する同案では別の国際企業なら数十億ドルの費用節減が生まれるとしている」(ABC報道)
ではフランスとの共同建造案が放棄されればどうなるのか。フランス案以外の選択肢はあるのか。
内部事情に詳しい筋によればオーストラリアにはフランス以外の選択肢はないとフランス側が高をくくっているのは明白でフランスとしては展開を待っていれば、オーストラリア現政権あるいは新政権が折れて従来型技術の移転に落ち着くはずと見ているが、オーストラリア側は広範囲の共同開発で次世代にふさわしい潜水艦の実現を目指している。
オーストラリアが求めているのは第一線級の機能を有する潜水艦で米国や日本の海軍部隊と共同作戦能力のある艦だ。オーストラリア-日本-米国による対中国ASW包囲網の実現が最大の課題だけにこのことは理解できる。
フランス案がつぶれた場合に一番の選択肢が日本との共同開発であるのは明白だ。
日本の造船産業界は本件の受注失敗から共同開発とオーストラリア国内建造に真剣に対応すべきだったとの教訓を得たはずだ。
防衛体制の強化で日本への関心が高まる中で、オーストラリアは国内防衛産業基盤の再建も必要なため、完璧な提携国になる。両国は米国とも密接な関係がある。両国は米国の政治状況が急変した場合の担保が必要な点でも共通する。また両国は国防産業力の強化を目指す点も共通だ。技術面でのねらい、対米関係の強化でともに全く新しい産業力がオーストラリアに生まれる可能性につながる。
日本にとっても柔軟度を高める効果が期待できる。オーストラリアはコリンズ級の近代化改装に取り組んでおり、次期潜水艦導入までの耐用年数延長を狙っている。新型艦は大型かつ性能が大幅向上でき、オーストラリア国内で建造され、日本も一部の建造艦を購入する合意が可能だろう。日本も次期潜水艦を調達でき、日本列島の防衛に特化した艦として導入できるのだ。
両国が協力して潜水艦建造に乗り出せばこれ以外の防衛装備でも同様の動きに発展する可能性がある。日本では新型装備の試験場確保が国内で制約となっているが、オーストラリア内部の広大な地域が理想的な試験場となる。
フランス政府が事業に残る意向であれば、太平洋の環境が急変している事実を直視し、オーストラリアが軍事・産業双方で主要勢力になる野望を持っていることを理解するのが賢明だろう
安倍政権は米国のみとの安全保障関係を見直す検討をしており、国内産業能力は米国やオーストラリアと提携させたほうが効果が高いと考えている。日本の対オーストラリア経済関係は通商と直接投資が伝統的に中心だが今や新しい段階にあり、新型防衛装備の共同開発が両国に望ましい効果を生む。協力関係によりオーストラリアは武器輸入国の位置づけを脱し、世界の工業開発面のトップに踊り出せる。■
フランスですら匙を投げる案件を拾ってほしくはないですね…
返信削除全く新しい産業力がオーストラリアに生まれる可能性とやらも
労組の技術力や対応を見ていると失笑物です。
遺恨云々はさておくとしても、政権が変わるたびにコロコロ方針変更するようじゃ全く信用できませんね。
返信削除それに夢のような高性能艦が建造される前提で話を進めてますが、巷で言われている通りそうりゅう型そのままと言う訳にいかず、外殻素材の性能を相当に落とさないとASCでの建造は不可能でしょう。
となればスペックダウン版に高い金を出すはめになる彼らの不満の矛先は『技術提供を渋る日本』に向けられるわけで、これは手を出さない方が無難な案件だと思います。
>日本も一部の建造艦を購入する
返信削除流石にこれは無いでしょうがw
艦体を日本で建造、艤装はオーストラリアくらいならあり得るかもしれませんね。
まあ静観でいいんじゃないの?
返信削除日本は粛々とやるべきことやって泣きつかれたらおやしお型の中古でも売ってやればいい。
オーストラリアのことだから下手するとあと10年モメ続けるとかありえるから下手に手を出さない方がいい。
オーストラリアとの密接な防衛協力を、というのは分かる。
返信削除だから、海軍と共同訓練しましょう、とか陸軍と互いの国土で積極的に共同訓練しましょうとなるならより分かる。
だけど、潜水艦技術をオーストラリアに渡して、そしてなおかつオーストラリアの雇用を満たすために次期潜水艦をオーストラリアから買えばいい?
正直頭のネジが足りてないと思われる。
潜水艦というのは島国にとっては国防の要と言えるほどの機密事項。だから現行の船と同じのがほしいなら完成品は売ってやるよ。お前らの雇用や技術?知るかそんなもん。文句言うなら売らねぇよ。
となるのが当然の帰結。
それに、貴方の言い方だと、オーストラリアの雇用を満たすために三菱と川崎の雇用を削るんだよね。意味分からないんだけど。
技術移転で、すでに経験しているのではありませんか。
返信削除製鉄、自動車、新幹線等大きなもの以外に、技術の流出は沢山していますね。
TPPで、あらゆる分野で、外国の会社が日本に参入してきますよ。