The Two Things Air Force F-22 Raptors Can't Defeat 米空軍F-22ラプターが勝てないふたつのこと
The weather and the fact that Washington does not have enough of them. 天候条件と配備機数が不足していることだ
F-22ラプターは史上最強の戦闘機かもしれない。レーダー断面積はガラス玉程度で、緊急時にマッハ2.5で窮地を脱出できる。その速度では大気との摩擦でレーダー波吸収材が溶解する。だが今月に入り空軍はラプターの問題を見つけた。
フロリダ半島沿岸に位置するティンダル空軍基地はラプターパイロット養成の中心で29,000エーカーに広がる広大な施設に10月初めにF-22ラプター55機が325戦闘機航空団所属として配備されていた。これはラプターの三分の一の規模だ。空中戦闘の標的としてQF-16無人機、T-38超音速練習機があり、三菱重工Mu-2双発多用途機をAWACS乗員の訓練用にも使う。
10月9日にハリケーン・マイケルがカテゴリー4に成長し、風速は海抜14フィート地点で毎時130マイルから150マイルになった。ティンダル基地は海抜12フィートしかない。空軍は機体退避の余裕が数日間しかなかった。
ラプターの33機はオハイオ州のライトパターソン空軍基地に移動できた。基地人員及び家族の40千名はハリケーン直撃の前に避難して基地には若干の基幹要員が残った。
だが22機がハンガー内に残った。基地整備陣が直撃前に若干の機体を飛行可能に戻したが、うち一機が離陸中に作動不良となった他、部品不足のため他の機体から部品をとって飛行可能となった機体もあった。
ティンダル基地はハリケーン上陸地点となった。基地内に展示中だった機体重量14トンのF-15がひっくり返され、基地内住宅全棟が破壊された。トレーラーはマッチ箱のように破砕され、木々は寸断され金属屋根も無残に引き剥がされた。ティンダルの無人機用滑走路、フライトライン等は壊滅状態になった。
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直後撮影の写真から第五格納庫の屋根が崩壊しドアが吹き飛び、その他小型格納庫でも窓が破砕していることがわかる。残骸下に少なくともF-22三機が見える。Mu-2とQF-16少なくとも5機がこの画像で見える。
被害の実態は今後明らかになるが、直後の発表ではF-22のうち17機から19機が基地内にあったとしており、「全機無傷」で「飛行再開可能」とあった。では残る3機ないし5機が事前退避したのか基地内に残っていたのか不明だ。
マティス国防長官は報道陣に「修理可能か断言するのは時期尚早だが被害の直後評価は予想より良い」と語った。10月16日にはF-22の損傷は「心配していたほどではない」としハンガーがハリケーンに耐えたとした。ロッキード・マーティンが被害状況の調査中だ。
とはいえ、今回の損害はラプター生産が終了しているため気になるところで、同機生産再開が期待できない中で米空軍の作戦機材は120機しかなく、その他64機が予備機材、訓練用、試験用に確保されている。つまり、今回のハリケーンだけで現役機材の10%が運用できなくなったことになる。小規模のラプター部隊は運行費用が高い(毎時58千ドルでF-16の三倍)が、第5世代戦闘機は米軍としても最新の4.5世代戦闘機たるロシアSu-35や中国のステルス機J-20やJ-11Dへの対抗手段の中心として期待せざるをえないのだ。
飛行不能のラプターをティンダル基地から移動できなかったのは危機管理として失策だ。米第四世代ジェット戦闘機では飛行時間ごとにおよそ20人時間の整備が必要となるのが通常だ。ラプターでは40時間になる。しがたって機材多数を飛行可能状態に保ちたくても同時に基地要員多数が避難してしまえば兵站業務が困難になる。飛行不能機材を空輸あるいは地上輸送するためには数日に渡る準備や兵站装備も必要ですぐ実施できる仕事ではない。ハリケーン・マイケルの危険が現実になった時点で準備時間の余裕はなかった。
ただし今回の事案から貴重な教訓が得られ今後の計画立案の参考になる。例としてティンダル基地が沿岸にありハリケーン直撃を受けやすいことは既知の事実だ。以前のハリケーン・アルバート襲来時にはラプターをティンダルに配備してハンガー内に詰め込んでいた。国防総省では温暖化の影響を憂慮しており、不毛の地となった地域での紛争激化のみならず沿岸各地に点在する米軍基地への影響も心配のたねだ。
2016年度の調査報告では海面水位の上昇で海軍基地128箇所への影響が懸念されるとし、21世紀中に洪水の頻度は10倍になると結論づけている。基地四箇所が完全水没するという。ティンダル基地の経験から今後の計画立案では高価装備品のF-22他は過酷な天候条件が予想される地点に配備しない配慮が生まれることを期待したい。
また今回の事案からペンタゴンが作戦即応体制の維持に腐心している状態が浮き彫りにされた。ティンダルのラプター55機のうち数日前に飛行できたのは6割しかなかった。難易度の高いラプターは稼働率が59パーセントしかなく、F-15やF-16の70%、75%を下回る。
マティス長官は最低80パーセントを達成可能な目標として2019年8月までの実現を命じた。残念ながら短期間で数字を急改善すると長期的に装備の維持で悪影響が出かねない。
損傷を受けたF-22の修理は数年間かかり費用も数億ドル規模だろう。日本がF-2でほぼ20パーセント(18機)を2011年の大津波で損傷した例では7年間8億ドルで15機の復帰に成功した。ティンダル空軍基地の経験からペンタゴンが高額装備品の長期保存を最大にする策を考えつつ気候変動の影響とともに沿岸基地へ大損害をもたらす想定を十分考えることを望みたい。■
Sébastien Roblin holds a master’s degree in conflict resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring.
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