Showdown: China's J-20 Fighter vs. America's F-35, Taiwan's F-16 and Japan's F-15 (Who Wins?)対決:中国のJ-20対米F-35、台湾F-16、日本のF-15の勝者は?
So who would win a future battle for Asia’s skies? Read on. アジアの空を巡る次の戦いの勝者は誰か。
by TNI Staff
October 10, 2018 https://docs.google.com/document/d/1VkG3xpxao260nYAGW2_QCHsDqadYZLQ5uCllAsi5T3k/edit
中国軍はこの四半世紀で劇的なまでの変貌を遂げた。訓練もろくに受けない志願兵でいっぱいの部隊の姿はもはやない。大規模戦に必要な装備が揃わない部隊もない。
各種装備に予算投入した中国は、台湾、東シナ海、南シナ海で米国に挑戦する立場になった。DF-21D(「空母キラー」)、巡航ミサイル、高性能機雷、潜水艦、無人機、その他接近阻止領域拒否兵器が登場している。
空でも大きな進展を見せており、特筆すべき存在が新型第5世代戦闘機J-20だ。米軍の第四世代機、第5世代機を狙う同機は同時に日本、台湾、他の空軍にも脅威となる。
だが実戦で同機はどこまでの威力があるのか。F-35共用打撃戦闘機が相手ならどうなるのか。台湾のF-16や日本のF-15の場合は。以下、これまでの記事数点を一つにまとめたのでお楽しみいただきたい。
米空軍はJ-20をどう見ているのか
米空軍は西太平洋で今後も敵対勢力に対し「一方的な」優位性を維持する。これは人民解放軍空軍PLAAFが成都J-20ステルス戦闘機を実戦配備しても変わらない。というのが空軍トップの考え方だ。新型中国機の登場で地政学的な影響はどうなるかと聞いた際の答えだ。
「第5世代技術とは単なる機材にとどまらず複数システムのファミリーになる」と空軍参謀総長デイヴィッド・ゴールドフェイン大将がペンタゴンで報道陣に8月10日語っている。「ネットワークとなり、一方的な優位性を実現してくれるのでF-35対J-20の対決などというのは意味のない質問にすぎない」
たしかに大将の言うように空軍は今後も各種システムのファミリーでネットワークと情報共有を中心としていくのであり、個別の機材の性能に依存することはない。ロッキード・マーティンのF-35をJ-20と比較するのはゴールドフェイン自身が飛ばしていたF-117ナイトホーク・ステルス戦闘機の時代に戻るのと同じことで、同機は敵領空に外部との接続を断ち切って単独侵入する構想だった。「今は各種システムのファミリーに焦点を当て、単独機材よりもどう各機を接続させるかが中心だ」とゴールドフェインが述べた。
大将はナイトホークを比較対象としたが、J-20の搭載システムが1980年代製のF-117程度の内容と言うつもりはないはずだ。J-20に関する情報はわずかだが同機の装備がフェイズドアレイレーダー、電子戦装備、電子光学赤外線方式センサーなどF-35と似通っているとの情報もある。ただし、F-22やF-35で実現している「センサー融合」機能はないと空軍は見ている。
中国に欠けている要素として航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将が記者に教えてくれたのは「スパイクマネジメント」で、F-22やF-35のコックピットには機体がどこからどのように敵レーダーで探知されているかが表示される。パイロットはその情報により敵から逃れるべく探知・交戦される地帯を回避する。この技術の実用化に米国は数十年を費やした。当然試行錯誤が多数あった。
台湾空軍対J-20
台湾上空の航空優勢のバランスがゆっくりと変化中だ。かつて優勢だった中華民国空軍部隊が中国の台頭の前に、かつ台湾国防予算の削減のため中国が優勢になりつつある。
中国内戦の終了で中華民国政府は台湾へ脱出した。敵対する大陸と200マイル未満しか離れていない。だが、台湾が強力な海軍と空軍を維持すれば、そして中国が貧しいままなら台湾は有利なままのはずだった。
だが中国はもはや貧しさと無関係で国力に相応の軍事力を整備中だ。中国は台湾が対応できない規模の軍用機を製造できるし、第五世代戦闘機を二機種同時開発中だ。
成都J-20は「昇竜」の名称で、台湾にとって最大の脅威になりうる。大型双発の同機はステルス特性と長距離航続距離が特徴で長距離航空優勢戦闘機になりうる。
これまでの中国戦闘機は航続距離不足が足かせで台湾上空で使える時間が限られていた。J-20は台湾に忍び寄り台湾空軍機を狩るだろう。J-20のステルス特性が本当に効果があれば、台湾の防空レーダーでは探知がむずかしいはずだ。
J-20の搭載センサー装備には新型アクティブ電子スキャンアレイAESAレーダーがあるはずで、開発が完了していないとされるが、赤外線探知追尾IRST装備のパッシブ追尾で敵機を撃墜できるはずだ。
台湾上空に達すればJ-20は相当の火力を繰り出すはずだ。昇竜には三箇所の機内兵装庫があり、2つを短距離ミサイル用に残りを長距離ミサイルに使う。通常の航空優勢ミッションならPL-9赤外線追尾短距離ミサイル4本を搭載する。ラムジェット推進のPL-15なら射程は95マイルから125マイルになるはずだ。
J-20に対する台湾の主力戦闘機はF-16ファイティングファルコンだがこれも強力な機材だ。当初は軽量戦闘機かつ昼間専用機としてF-15イーグルを米空軍で補完する役目だったが、その後全天候多用途機に発展した。機体価格は比較的安価ながら多様なミッションをこなせるF-16は台湾に適している。
台湾空軍にF-16Aブロック20は150機あり、1992年に発注し、1997年から2001年にかけ納入されており、最古機体は25年ほどだ。ブロック20はAN/APG-66(V)3レーダーでAIM-7スパロー、AIM-120C7 AMRAAM中距離レーダー誘導ミサイルをともに誘導できる。その他レイセオンの電子対抗措置ポッド、プラット&ホイットニーF-100-PW-220ターボファンエンジンを搭載する。
2011年の新造F-1665機発注は不発に終わり、米台両国は導入済みF-16の改修に集中した。改修でセンサー、航法、装備が手直しされた。各機にAPG-83伸縮自在アジャイルビームレーダーSABRが搭載され、F-22やF-35のレーダーから流用したハードウェア、ソフトウェアが導入されている。
台湾ではF-16へのSNIPERポッド装着も検討している。これは空対地精密照準ポッドで空対空戦での探知追尾にも使える。このポッド以外に台湾はAIM-9Xサイドワインダーも最高性能のドッグファイト兵器として導入するかもしれない。
航空優勢ミッションに投入する台湾のF-16はAIM-9Xを4本、AIM-120AMRAAMを2本搭載するだろう。
そうなると一騎打ちではどちらが勝つのか。視程外戦と視界内戦を区別して考える必要がある。
視程外戦ではJ-20が一方的にF-16を撃墜するだろう。あくまでも設計内容が的を得ていた場合だが、ステルスとレーダー、長距離ミサイルの組み合わせが致命的な結果を生む。F-16のSABRがJ-20を遠距離で探知する可能性は残るが台湾機の搭載するAMRAAMミサイルがジャミングに弱いのが足かせになる。PL-15とステルス特性のあるJ-20は理論上は台湾機が昇竜の存在を知る前にF-16に交戦を開始するはずだ。
短距離戦ではJ-20が敏捷性で不利となる。単発のF-16が操縦性で勝り、AIM-9Xサイドワインダーミサイルの効果が生まれる。視界内戦では相打ちの可能性が強い。
そうなると中華民国空軍部隊はJ-20相手に苦戦しそうだ。J-20の探知は難しく台湾機に先制攻撃をしかけそうだ。中華民国空軍の戦術としては機材を台湾の山岳地帯に低空飛行させてJ-20の得意な視程外戦をさせないことだ。
J-20は台湾にとって現実の脅威である。中国空軍の量的質的拡大で航空優勢の確保が台湾に困難になっている。防御中心戦術に検討価値があり、双方が接近阻止領域拒否の姿勢を取るかもしれない。
航空自衛隊対J-20
日中間で緊張が高まる中で中国と日本の軍用機同士が遭遇する事案が増えている。人民解放軍空軍PLAAFのSu-27が東シナ海で日本機に発見され日本も沖縄からF-15をスクランブル発進させた。
接近遭遇は日常茶飯事で、今後も続く見込みだ。このため中国のJ-20が運用開始となった後の遭遇も想定される。
日本はF-15Jイーグルを供用中だ。同機は確かに優秀な戦闘機だが防衛省は本来なら今頃F-22に交代させる予定だった。だが残念ながら悪名高いオベイ修正案によりラプター輸出が禁じられ、日本はF-15改修を続けざるを得なくなった。
F-15Jの導入は1981年開始でライセンスにより三菱重工業が製造した。米空軍機とほぼ同じだが、電子対抗装置およびレーダー警報装備が異なる。ともに米政府が売却を認めなかった装備だ。当初はAIM-9サイドワインダーと準アクティブレーダー誘導AIM-7スパローを搭載していたが、その後AIM-120AMRAAMに換装している。M61ガトリング砲20ミリも搭載する。
合計223機あったF-15Jだが事故で8機を喪失した。
F-15Jの供用が長期になり、2000年代初頭に改修を行い、新型赤外線誘導ミサイルAAM-3及びAAM-5の搭載、エンジン改修、AN/APG-63(V)1機械式スキャン・パルスドップラー・レーダーを追加した。電子対抗装置の改修と機首に赤外線探知追尾IRSTセンサーも追加して性能を近代化した。ただし改修は高額な作業になり年間10機未満しか作業されていない。結果として改修ずみ機体は半分程度しかない。
成都J-20には謎が多い。中国初の第5世代戦闘機として2011年に初めて姿を現した。双発単座戦闘機で前方カナード翼がありステルス特性のある同機はF-15Jの全長をやや上回る。機体を長く広くとり内部兵装庫と燃料搭載スペースを確保している。短距離ミサイル、長距離空対空ミサイル、対地兵装を搭載する。
J-20のノーズコーンが大型なため高性能アクティブ電子スキャンアレイレーダーAESAを搭載する狙いがあるのだろう。これで遠距離で敵機を探知しレーダー誘導ミサイル攻撃ができる。後期試作型は赤外線探知追尾装備や電子光学照準装置がついているようで後者は対地攻撃用だろう。
J-20の正確な任務内容は不明だが長距離ミッション用のようだ。「昇竜」はロシアのMiG-31同様の高速かつステルス迎撃機として敵の給油機、AWACS早期警戒統制機、偵察情報収集機等の撃墜を狙うだろう。あるいは米F-111のような中距離爆撃機として沖縄や日本各地の基地攻撃を狙う機体かもしれない。
ではJ-20を長距離航空優勢戦闘機の仕様で想定しよう。F-15Jとの対決ではどちらが勝つのか。
J-20の設計思想が効果的と仮定し、レーダー断面積が小さければF-15Jといえども長距離で探知に手間取るかもしれない。レーダー性能が本当に高いならJ-20は容易に日本機を探知するだろう。これでF-15Jには視程外戦では不利になる。とくにJ-20がPL-15ミサイルを搭載している場合だ。同ミサイルのテストは2015年9月に成功しており、アクティブレーダーシーカーを搭載し、おそらくパルスロケットモーター2基もついているだろう。(ラムジェットの可能性もある)
接近距離ではF-15Jが有利となる。J-20は出力不足と言われ、F-15Jの推力重量比は優秀だ。F-15は他の追随を許さないドッグファイターであり、大推力と操縦性の差を生かして有利な位置につくことは十分可能だろう。
試作型J-20では機関銃の搭載が見られない。航空戦の専門家でも銃の必要性をめぐり意見がわかれるが、近接ドッグファイトではF-15JのM61ガトリング銃が使い勝手の良い武器となるはずだ。
中国が急速に第5世代機で競合相手に迫っているのは今後の力のバランスを崩しかねない要素として看過できない。■
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