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★日本が空母保有に向かうのは既定方針



Is Japan Destined to Have Aircraft Carriers Armed with F-35s? 日本は空母にF-35を搭載することになるのか

Sorry, but Tokyo calls them "helicopter destroyers."日本政府は「ヘリコプター駆逐艦」と呼称している
October 27, 2018  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: MilitaryTechnologyWarWeaponsJapan


衛艦いずもは海上自衛隊最大の艦容を誇り排水量は27千トンもある。全長にわたる航空甲板は248メートルとフットボール競技場二個半に相当する。通常はSH-60Kヘリコプター7機を搭載し、敵潜水艦を探知掃討するのが役目だが、その他捜索救難用ヘリコプター二機も運用する他、最大28機のヘリコプターを搭載できる。


こうしてみるといずもは立派な航空母艦なのに姉妹艦かがとともに「ヘリコプター駆逐艦」として就航しているのだ。


この呼称には怪しい点がある。先立って建造されたひゅうが級には魚雷と中距離対空・対潜ミサイルが搭載されているがいずも級には通常の「駆逐艦」が搭載する長射程兵装がない。唯一の武装は短距離ファランクスとSeaRAMによる自艦防御だけだ。


この区分は日本政府で「空母」とは攻撃兵器であるとの認識から生まれたものであり、攻撃兵器は日本国憲法第九条で自衛隊装備として禁じられているのである。


「攻撃」と「防御」兵器の違いは議論を呼ぶだろう。攻撃を主眼とする国であっても防衛は必要だし、防衛力も抑止効果や反撃のため攻撃手段を必要とすることがある。空母が浮かぶ航空基地として他国攻撃に用いられてきたことは否定できない。


実は日本こそ空母戦力の作戦運用を初めて行った国である。第一次大戦開始とともに日本巡洋艦の一隻が艦載水上機を使い歴史で初めてドイツ巡洋艦を爆撃した。英海軍は1918年に飛行甲板つき空母を初めて作戦投入している。帝国海軍はその後大型空母部隊を1920年代30年代通じ整備し1941年12月の真珠湾奇襲攻撃につながった。最強を誇った日本部隊もミッドウェイ開戦で米海軍空母部隊の前に敗退し、その後空母、パイロットともに消耗していった。


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ただし空母の役割は攻撃のみではない。戦闘機を発進させ友軍の水上艦艇や基地を攻撃から守ること、敵艦船や潜水艦を探知紹介することもある。自衛隊は特に遠隔島しょ部の防衛を重要視しており、列島線南西部の尖閣諸島や琉球列島を意識している。こうした島しょ部は本土より数百マイルも離れているため防空とともに奪還作戦を複雑にしかねない。


もちろんヘリコプター空母は対潜戦で極めて高い効果を発揮する。またそのため基本的に防御装備と言えるが、上空援護や地上航空支援は行えない。だが日本がいずも級でジャンプジェットの運用を可能に設計している可能性はある。


日本はジャンプジェット機材を保有していないが、報道では取得に向け前向きであるとある。米海兵隊が運用するF-35BライトニングIIは小型揚陸艦でも運用が可能であり、9月27日にアフガニスタンに投入され初の実戦テストを行ったばかりだ。日本はF-35Bを購入していないが、通常型F-35Aはライセンス生産で42機を整備する。


F-35は優れたステルス性とコンピュータ性能が取り柄だが、飛行性能では第四世代機と比べて見劣りがするのも事実だ。(速力と操縦性)それでも従来のジャンプジェットのハリヤーやYak-38より遥かに高性能だ。ライトニングは一般的な航空優勢戦闘機より速力が劣るものの、強力なセンサー性能と低視認性で速力や操縦性で勝る敵を出し抜くだろう。つまり敵に長距離ミサイルを先にお見舞いしてから探知される前に逃れることだ。


すでに2018年5月にいずも、かがに米海兵隊機材を搭載し日本防衛を図る検討案が日本で公表されている。その前には日本国内紙が政府が航空自衛隊向けにF-35B最大40機の調達を検討中と報道していた。これはF-15Jの後継機とあったがF-35Bはリフトファンがあるので遠隔島しょ部での運用も可能だし、いずも級を改装し最大10機を運用する場合の費用も検討している。

改装では甲板に耐熱塗装が必要となる。F-35Bの垂直上昇で高熱が発生し飛行甲板が損傷するからである。ただし一部筋によれば甲板にはそのことを考慮した工事が実施済みであり、設計時から「ヘリコプター駆逐艦」から空母へ転換する前提だったことになる。ただしいずも級にはスキージャンプ式ランプがあれば垂直離陸による燃料の大量消費や甲板損傷を避けられる。

それでも空母から固定翼機を運用すれば平和主義志向の強い日本で微妙な問題となる。これは中国にも同様だ。中国も空母航空兵力の整備を進めており、PLA海軍は五年間で中型空母二隻保有まで進歩した。2020年代中頃までに4隻追加する構想といわれる。中国からはいずも級の性能について不満が出ており、日本の新鋭艦は軍国主義のあらわれとしている。

日本が空母航空兵力を再整備すれば帝国海軍の戦時中の行いを連想させかねない。だが二隻がジェット戦闘機十数機を搭載しても日本の外交方針が急に強硬になるわけでもあるまい。世界にはブラジルのように空母運用しつつも領土拡張の野心を示さない国もある。豊かな島国の日本で空母数隻を運用して長大な領土防衛にあてることは理解の範囲内だ。

日中間の感情的対立こそがいずも級で建造時から空母運用を想定しつつも「ヘリコプター駆逐艦」との用語をつけざるを得なかった理由だろう。だが日本の保守政権が防衛予算を史上最高額まで拡大して中国の海軍力の拡張に対抗させようとする中でジャンプジェットを空母から運用する構想はこれまでの控えめな姿勢を目で見える形に転換する効果を生みそうだ。■

Sébastien Roblin holds a Master’s Degree in Conflict Resolution from Georgetown University and served as a university instructor for the Peace Corps in China. He has also worked in education, editing, and refugee resettlement in France and the United States. He currently writes on security and military history for War Is Boring .
Image: Wikimedia Commons.

コメント

  1. ぼたんのちから2018年10月30日 18:00

    日本は、仮想敵国の脅威に応じて軍事力を整備し、抑止力にすべきであると考えます。
    いづも級にF-35Bを搭載し、空母に改造する時期は、以下の何れか、あるいは相当する状況になりつつある時と推定します。
    ・仮想敵国が大規模な戦争を計画し、準備している
    ・西南諸島侵攻の可能性がたかまる
    ・仮想敵国の空母が無視できない脅威と認識できる
    現在は、上記の状況にないと評価します。よって急いF-35Bを導入する必要にありません。
    しかし、いづも級にF-35Bが運用できるよう改造する価値はあります。これは米軍のF-35Bをいつでも運用可能とすることにより戦略、戦術の柔軟性を与えます。

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    1. ぼたんのちからさん
      なんだか機械翻訳したかのような不自然な日本語ですけど、いずも”型”を改造するのは日本の防衛力を減じる悪手であると考えます。
      無理してF-35Bを運用するために改造しても本来のヘリ運用を犠牲にせざるを得ません。固定翼機を運用するにしても対潜ヘリは必ず必要な装備なのですから、わざわざどっちかしか使えない運用体制する意味はありません。
      もともといずも型は建造1200億円程度のコスパのいい艦船です。そんな船を高い金をかけて改修するくらいなら新しい船を作った方が運用の柔軟性は増します。
      乗員の問題はありますが固定翼機を運用するとなれば、パイロット、整備士、甲板要員、管制官などすべて一から養成しなければならないわけですから、むしろ専属の船がなければ彼らが遊ぶことになってしまいます。それならいずも型のコスパを活かして最初から固定翼機運用を前提とした新しい船を作るべきです。

      いずも型のコスパの良さは戦略的に使える武器だと思います。ベトナム・フィリピン・タイ・インドネシアなどに輸出したっていい。各国に一隻ずつ配備して南シナ海をローテーションで紹介してもらえば日本の負担はかなり分散できます。

      いずも型は確かにいい船ですが、満載で26000tと改修して能力向上させるにもあまり余地もありません。
      むしろコスパを活かして、量産と輸出を考えるべき船だと考えます。

      削除
    2. ん~、毎度見る論調ですがなぜF-35を積むとヘリが積めなくなるのでしょうか?
      何機積むのか艦載戦闘機に何を求めるのかによってはそうなってしまうかも知れませんが、いずも型は搭載力に大幅な余地を残した状態で運用されており定数通りの哨戒ヘリを積んだ上でF-35を6機程度なら無理なく収容できるでしょう。
      このわずか6機のF-35は既存の戦闘機の6機とは全く意味が違ってきます。
      前衛に出たF-35は艦隊の戦闘システムとリンクし艦載兵装の使用可能圏を大幅に拡大して自身の搭載する兵装を使い切った後でもまだ作戦能力を維持し続けます。
      結果、艦隊は本来の対潜作戦を敵に阻害されることなく遂行可能になる。

      改造云々い関してもそれほど大袈裟なものが必要とも思えません。
      左舷甲板の滑走距離は十分に取れるしクィーンエリザベス艦上で立証された短距離滑走着艦を用いれば一箇所が炙られるわけでは無くなるので甲板の耐熱性に対する危惧も無用となりましょう。

      もちろん、全ては予算と人員が確保できればの話ですが。

      削除
  2. >いずも型は搭載力に大幅な余地を残した状態で運用されており
    これもネットでよく言う人がいますが、まともなソースが出てきたためしがありません。逆に固定翼機は運用できない、という元海将のソースは存在します。どちらが信用に足るかは明らかだと思います。

    F-35Bとヘリを同時運用できるという根拠は何でしょうか。単なる格納甲板の容量だけでそういっているのではないでしょうか。アメリカ級では1000に近い乗員がいてこれとは別に1800人の海兵隊を輸送できる容量を持っています。その容量を実現するためのトン数として45000tという規模が必要なわけです。
    26000tしかないいずも型に余裕があるわけないのです。

    いずも型に余裕があるように見えるのはいずもが輸送艦や病院船機能を持っていてそのスペースを航空機運用に使えると考えているからではないでしょうか。
    もしそうであれば、それは輸送艦、病院船という機能を犠牲にすることになります。私はこれらの機能こそいずも型に求められた中核の機能だと思っているのでこれらを犠牲にする案には賛成できませんね。

    私が新造艦が有効だと考えているのは、改修規模の問題ではないのです。今あるいずも型の機能(対潜、艦隊指揮、輸送、衛生など)を重要視しているからです。回収を指示する人たちはこれらの能力を軽視しすぎるきらいがあります。
    固定翼機を運用したいのなら新しい船を設計すべきです。いずも型はそのベースとなれるポテンシャルはありますが、何かの犠牲なしに固定翼機を運用できるような規模ではありません。

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    1. 何か勘違いをなさっているようですが、米軍の強襲揚陸艦を巨大化させているウェルドックや車両格納庫及び海兵隊員1900人分の居住空間等々は航空機運用能力とは全く関係ない部分であり、当然ながらそれがあるから航空機運用能力に余裕があるなどというものではありません。
      よく下層の車両格納庫にまで航空機を収容できるから搭載数が多いのだと信じ込んでる方がいますが不可能です。

      アメリカ級の内部構造が分らないので現用のワスプでいいますが格納庫全長はいずも型の125mに対し81mしかありません。
      飛行甲板はワスプの方が若干長いですが全幅はいずもの方が少し広い。
      となればいずも型にはワスプと同等以上の搭載力があると見るのが妥当であり出来ない理由こそが見当たりません。
      飛行甲板前端部分の形状の所為で滑走に使える最大長は短くなってしまいますがワスプ級の22ノットより優速な30ノットを発揮できるいずも型はより短い滑走距離で済むはずです。

      問題は中国の急速な軍備拡大によりDDHが計画された当時とは戦略環境が変わってしまい安穏と対潜ヘリを飛ばして潜水艦狩りが行える状況では無くなってきていることです。
      ならば対艦対空両面での大幅な能力拡大が必須ですが、それを可能にするものこそが前進センサーとしてのF-35Bです。
      少数のF-35Bがこれらの問題を可能な限り安価に、可能な限り迅速に解決します。
      さりとて海自艦隊の基本運用形態そのものは変わらないでしょう。
      件のワスプやアメリカ自身がF-35Bを6~8機積んだからと強襲揚陸艦としての運用形態が変わらないのと同じように。

      削除
    2. アメリカ級の1番艦アメリカにはウェルドックはありません。(3番艦からウェルドックあり)
      それでも45,000tあります。

      貴殿はいずもや軽空母・強襲揚陸艦に与えられた任務を航空機運用(対潜ヘリを含む)に限定して考え過ぎです。

      だから輸送艦機能などを余計なものと軽々しく切り捨てられるのではないかと思います。

      海自の海上輸送力は非常に貧弱ですので、いずも型の輸送力は貴重で現状では代替不可能です。

      もし仮に貴殿が言うように現状のいずも型が何の犠牲も払わずに数機程度のF-35Bを運用出来るとしても、空中給油機やAEWがなければ戦力としては役に立ちません。

      センサーノードとしてB型を使うにしても中継するE-2DがなければF-35Bの活動範囲はかなり制限されます。

      米軍のF-35Bは空母のE-2Dの支援下で運用される前提です。

      日本が現状で海上艦からE-2Dも空中給油機も運用出来ない以上、いずも型でF-35Bを運用する意味はほとんどありませんし、いずも型の改修ではこれらの問題を解決することは出来ません。

      そして実際はなんの犠牲もなくF-35Bの運用出来るわけないわけです。

      そんな無駄なことをする意味はどこにあるのでしょう?

      削除
    3. アメリカ級はウェルドックを廃止してそこを車両格納庫にしてるだけで本質的に航空機運用艦として全く関係ない機能を抱えてるからこそ巨大化してるという事実に変わりはありません。
      あと、輸送艦機能の切捨てというのは何処から来たのでしょうか?
      現状でも輸送艦として貨物を積んだ場合は艦載機を搭載出来ずどちらかの運用ですよ?
      運用艦載機に固定翼機が追加されたからと何かが変わるわけではありません。
      まさか、対潜機材を満載した上で輸送艦をやらせようとか愉快なこと思ってます?

      艦載給油機と艦載AEW・・・両方持ってるのはアメリカの空母だけです。
      ではその他の国の空母は全て役立たずの案山子だと?
      これも良く見る言い分です。
      『100%完璧じゃないなら無意味で不要』という極論。
      MDでもそれを言う人がいますよね?
      「100%撃墜できるのか?そうじゃないなら無駄だ」という暴論。
      貴殿はこれに賛同なさいますか?

      詰まるところ海自にとって喫緊の課題が敵戦力の脅威下で如何に対潜作戦を行うか、なのです。
      今まではイージスの防空能力があれば必要十分と考えられてきました。
      ですがその状況は変わりつつあります。
      敵超音速対艦誘導弾が水平線から顔を出してから着弾するまでわずか30秒・・・ほぼ確実に対応が間に合いません。
      ならば遥か遠方でこれを探知し水平線以遠で迎撃行動を開始せねばならない。
      可能であれば発射前に叩きたい。
      これをF-35のセンサー能力とデータリンクを活用したエンゲージオンリモート以外で達成出来る方法があるならお伺いしたい。

      削除
  3. いずもに夢を見過ぎている兵器マニアは目を覚ますべき。
    仮にF-35Bを搭載可能にしたとして、既存のDDHが一隻減るということまで勘案すると非常にコストパフォーマンスが悪い。
    護衛隊群における位置づけというものも微妙。
    やるなら防空に特化したカタパルト装備の空母を旗艦として整備していくのが、既存DDH改修よりも値は張るが費用対効果や運用性の面で好ましい。
    第一、敵はカタパルト搭載型の空母の実用化・戦力化を海軍力整備の中核としているのであり、敵の洋上における航空機の滞空時間や進出距離に対抗するためには、F-35Bを搭載する空母では全く不足。
    いずもを空母に改修するというのは、安物買いの銭失い。海自が空母艦隊を編成していくにあって、アドバンテージ一切無し。
    いい加減、ファンタジー漫画にあてられて馬鹿げたロマンに税金を無駄遣いさせるような言説は慎まれるべき。

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  4. 小林誠さん、まさかとは思って確認の為にあえて細かい事を書きましたが貴殿はどうやら本質的に勘違いをなさっておられる・・・というか基本的な知識が欠落してるものとお見受けします。

    米強襲揚陸艦が大量の艦載機を運用出来るのは通常の空母のように長大な格納庫を持っているからだと思い込んでいますね?
    4万トンの排水量に見合った巨大な内部空間を生かしているからこそ大量に搭載出来るのだ、と。
    簡単に言うと米揚陸艦の格納庫は左右のエレベータの間だけです。
    全長の3分の1程で船体の巨大さと比べて驚くほど小さな空間しか航空機に割り当てていません。
    ヘリのみでの最大搭載数は42機とされていますがおそらく格納庫には半分も収容出来ないはずです。
    大型の原子力空母でも同じで70機余りを運用する空母でも格納庫に入るのはせいぜい半数、残りは甲板での露天駐機です。
    これは随時甲板と格納庫の艦載機を入れ替えて順繰りに整備しているからこそ可能な運用で、それ故に大量の乗員を必要としています。
    人手不足の海自にはなかなかに厳しいやり方で、同じ方法が使えるならいずも型ですら20機近くのF-35を搭載出来るでしょうがそれはさすがに無理な話。

    もう一つ、いずも型の輸送艦機能云々の下りでも不思議だったのですが、ひょっとして格納庫とは別に貨物の収納箇所があり、私の論ではその区画を潰すことになる、故に「輸送艦機能の切捨て云々」という話になったのではないですか?
    結論から言ってそんなものはありません。
    輸送艦運用の際には格納庫そのものに貨物を搭載します。
    当然ながらその際には艦載機は積めません。
    こんな事は誰もが承知している基本知識だという前提で考えていたのですがまさか知らない方がいたとは驚きです。

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    1. まぁ、自分の知識を自慢したいわけでないので知らないことがあるのは認めますが、匿名さんの説明のことぐらいは知ってます。
      揚陸艦に航空機運用以外のスペースがあるのは知ってますし、露天駐機が米軍の基本になっているのも知っています。

      ではそこまで知っていてなぜ匿名さんの意見に反対するのか。例えば露天駐機。なぜそれをいずも型の運用形態として採用しないのでしょうか?そこに理由があるとなぜ考えないのでしょうか?

      私はそれが不思議でなりません。
      それを考えずにスペース余ってるやん、使えばいいやん!という意見では短絡的と言わざるを得ないと思いますがいかがでしょう?

      例えば、排水量がなぜ艦船の規模を表す指標として使われているのか分かりますか?排水量は船体の喫水線以下の体積に海水の密度をかけて求められます。いわば船の浮力を表す指標であり、船の体積と積載量を表す指標なのです。

      船の排水量を無視して、露天駐機し、格納甲板を満載すれば、船はトップヘビーになり転覆の危険が高まります。海上自衛隊が基本的に露天駐機をしないのは塩害を防ぐという意味とトップヘビーを嫌うからです。
      日本近海は世界有数の荒海と知られていて、海軍時代からの教訓を得てそのように運用しているわけです。

      飛行甲板や格納甲板に重量物を置くと重心が上がり転覆の危険が高まります。これを防ぐにはバラストタンクに注水して重心を下げるしかありませんが、バラストタンクは喫水線以下にあるので、バラストタンクを大きくすると排水量は大型化します。
      バラストタンクは巨大な構造物ですから改修によって大型化することはできませんので、いずも型で露天駐機での運用をするのは、復元力を大きく減じたまま航行することになります。

      匿名さんが必死になって米海軍が露天駐機して運用機数を増やしていると説明されていますが、それではなぜその米軍が露天駐機してるにもかかわらずいずもの1・5倍もの規模の船を運用しているのでしょうか?
      露天駐機すれば排水量が小さくても運用機数を増やせるというのであれば、いずも程度の規模で航空機運用に特化した船の構想くらいあってもいいはずです。
      しかし、実際はアメリカ軍で構想されているのは5万トン規模の「軽空母(制海艦)」構想です。3万トン未満の船など箸にも棒にかかりません。

      空母の重量配分というのは空母の運用でかなりデリケートかつ神経を使う部分なのですよ。10万トンもの正規空母ですら、航空燃料の配分ミスで10度も傾いた、なんて事例があるくらいです。その時は原子力のパワーで当て舵をして復元したそうですが、非力なディーゼルエンジンしかないいずも型では転覆したでしょう。
      仮に転覆を免れたとしても、10度も傾いたままでは航空機は運用できません。


      正直言って、この議論を通じて、どうしていずもの改修を支持する人たちはこうもやすやすと排水量の縛りを無視するのだろうと疑問に思っておりました。
      排水量を無視して露天駐機して格納甲板を満載したら転覆するってことをご理解してないんじゃないかな、と思いはじめています。

      船の構造としてあまりに常識すぎる話なのでまさかそれを知らないなんて思い至りませんでしたよ、私。

      削除
    2. いずもで露天駐機、なんて言ってませんが?
      哨戒ヘリ7機+F-35B6機は十分格納庫に納まる数として提示しました。
      「露天駐機をやれば20機はいけるだろうけど実際には(人員不足故に)無理だろう」と上で書いてますよね?

      言うまでもなくいずも型の排水量には十分な余裕があります。
      27000トンという数字はあくまで『最大』排水量であって普段から過積載寸前の状態にしてるわけは無いのはご存知のはずです。
      で、この状況で艦載機を増やすとトップヘビーになる?転覆の可能性?
      なるわけないでしょう。
      それではどれだけ格納空間があろうとも輸送艦任務など不可能ですね。
      なにせ貨物を積んだら転覆するんですから。

      では現実問題として政府が構想を進めているのをどうお考えで?

      削除
    3. 匿名さん、↑のコメントで確信しました。あなたは船の基本的な物理をご存じないですね。

      27,000tというのは『満載』排水量です。これは最大積載量ではないのです。
      すでに述べていますが満載排水量にはバラスト水の重量を含んでいます。
      バラスト水は転覆を避けるための重りですので積載量には含めません。

      そしてバランス水がどれくらい必要なのかは重量の配置に大きく関わってきます。上部が重ければバランス水は余計に必要になるのです。復元力が振子の原理で働くのを考えれば当然のことです。

      いずも型の車両格納庫は船の下部喫水付近にあるのでこの重量は転覆には寄与しません。むしろバラストを積んで喫水線下になれば安定に寄与する重量です。
      しかし飛行甲板と航空機の格納甲板は構造上上部にあるためにこの重量は転覆の危険性に直接関わって来ます。

      転覆という現象は物理的には力のモーメントなので単純な重さの話ではなく、重さ(=重力)と重心からの距離で決まります。重心から離れたところであれば重さが其れほどでもなくても大きなモーメントがかかるのです。
      ひとまず船の転覆のメカニズムと復元力について理解を深めて頂くことをおススメ致します。

      それと政府の構想と言っても今は「出来るかどうか検討しろ」と政治家が言ってるだけで「出来る、やる意味がある」という結論は出ていません。そういう意味では構想などではなくただの検討です。その上、政治家が正しいという保証は全くないもので、むしろ軍事や物理では素人なのですから政治家の言うことを根拠にご自分の主張の正当性を主張なさるのでしたらそれは滑稽なことだと思います。

      私はいずも型の改修の検討は実際に改修するという意味ではなく、新造艦設計に向けての事前研究プラス「できない」という結論ありきの財務省対策ではないかと思ってますがね。

      構想と言うのであればむしろ他目的輸送艦という名の強襲揚陸艦の方が進捗は進んでいる印象です。
      その下ならしとして先の海自の組織改編で輸送部隊が掃海隊群の隷下になり陸自の水陸機動団との連携任務が付与され実際の訓練も始まっています。
      次の新型輸送艦が航空機運用機能を持つ全通甲板になることは既に規定路線ですし、F-35Bを運用するならそっちで、という話は実際出ています。

      私は主に予算上の理由でF-35Bの導入そのものを支持してないのですが、いずも型を改修するくらいならまだ新造艦を作って水陸機動団と絡めて運用するなら大分マシだろうと思いますよ。
      水陸機動団との絡みでF-35Bを導入するなら陸自の予算でやるというウルトラCの解決法がありますからね。AH-64Dのライセンス生産に投じた無駄金を思えばいくらかマシだろうとは思います。

      削除
    4. やっと理解できました。
      何で話が噛み合わないんだろうと不思議でしたが疑問が氷解しましたよ。

      いずも型の内部は米強襲揚陸艦と同じように下層の車両格納庫と上層の航空格納庫という二層構造になっているって信じ込んでたんですね。
      にも関わらずワスプの4万トン、アメリカの4万5千トンに対し2万7千トンしかないいずもは限界ギリギリの無理な運用を強いられているはず、故にまったく余裕の無いいずもは上層の航空格納庫と飛行甲板に艦載機を満載すると重心が許容限界を超えて上昇してしまい復元力が失われ転覆する・・・と。

      ご安心ください。
      あなたの危惧するような事は起こりません。

      削除
  5. ああ・・・何か誤解をしてるんだろうなと思ってはいましたが・・・。
    やはりいずも型には航空格納庫の他に車両格納庫があるというニセ知識を元にしていたんですね。
    上で既に書きましたが『そんなモノはありません』。
    思うに右舷のサイドランプから入った所が下層の貨物区画で航空格納庫はその上にあるとか信じ込んでるんですね・・・。
    サイドランプから入った場所が正に航空格納庫です。

    もう一度言いますがいずもに『車両格納庫』なるものは存在しませんよ?
    車両搭載する場合は格納庫そのものに車を積むんです。
    必然的にその場合艦載機は積めません。

    やたら排水量にこだわるので何か勘違いか誤解をしてるのだろうとは思ってましたが・・・いやぁ、世の中には想定外の人がいるものですね。

    返信削除
    返信
    1. なるほど。
      船体の構造に誤解があったかもしれません。自分でももう一度調べてみます。

      ただそこは議論の本質ではないはずです。

      >車両搭載する場合は格納庫そのものに車を積むんです。
      >必然的にその場合艦載機は積めません。

      ↑この発言はいずも型の機能を損なわずにF-35Bを運用できるという主張と矛盾なさるのでは?
      私が終始一環主張し今議論してるのは
      「いずも型の現在持っている機能(輸送や病院船)を犠牲にせずに改修でF-35Bを運用することは不可能」
      「いずも型を改修してF-35Bを運用するくらいなら新造艦を作るべき」
      という二点だったはずです。

      私は知識自慢がしたいわけではないですから間違いがあれば受け入れましょう。

      ただ格納庫の話は「露天駐機すれば格納庫を圧迫せずに固定翼機を運用できる」という話に対して「露天駐機はトップヘビーになるから船の復原力を損なう」と反論した中で出てきた枝葉末梢に過ぎません。

      再反論するなら「露天駐機しても復原力を損なわない」根拠を示して下さい。
      根拠を示さないなら私の反論を受け入れて下さいませ。

      削除
    2. ズレたタイミングでの返信で申し訳ありませんが、答えは・・・
      >露天駐機すれば格納庫を圧迫せずに固定翼機を運用できる
      ↑「こんな事は言っていない」で終了です。
      2018年11月11日 19:08にもわざわざ言及していますが全く読まずに脊髄反射で反論してただけなんですね。
      それでもあえて答えるなら「露天駐機はトップヘビーになるから船の復原力を損なう」こそあなたが証明すべき事柄ですよ。
      「当然そうなるもの」と何の根拠もなく信じ込んでるようですがね。

      削除
    3. 今更、過去の議論を読み返すのも面倒なので云々言いたくはないのですが、
      >露天駐機はトップヘビーになるから船の復原力を損なう

      これは物理的に当然な話であって、わざわざ証明する必要はありません。証明じゃなくて物理の講義ならできますが。基本的な原理であれば中学生でも理解可能な範囲ですよ。

      棒振り子の支点より上に重量物があればひっくり返るのと同じことですから。

      私に証明を求める前に船の物理を学びなさいな。
      そうすれば排水量を無視して船の規模を語ることの愚が分かりますから。

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    4. まだその寝言を続けるのか・・・(呆
      重心が上昇すれば引っくり返る、という一般論なぞどうでもいいの。
      いずも型はそんな欠陥品ではないってだけの話なんですよ。
      つ・ま・り、あなたが証明すべきなのはいずも型が甲板に艦載機を並べただけで横転する欠陥品だって部分なの、分りませんか?
      そもそも、仮に本物を見てなかったとしてもいずも型の格納庫が上下二層になってるなんて誤認する要素がどこにあります?
      どういったバイアスでものを見てるのか知らないがあなたの目に事実現実が映っていない事は間違いない。
      なにが船の物理だか。
      あなたが学ぶべきはそれ以前の事柄でしょうに。

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    5. 追加で書いときますが、小林さんがやたら拘ってる輸送艦機能と病院船機能ですが当然犠牲になりませんよ。
      再度同じこと言いますが輸送艦任務の際には『航空格納庫に貨物を積む』ので搭載機がヘリだろうが飛行機だろうが同様に搭載出来ず、運用は現在と同様のまま。
      病院船機能とやらも艦載機や貨物の替わりに陸自の野外救急システムを格納庫内に設置するだけなのでこれまた搭載機が飛行機であろうがヘリであろうが搭載出来ず、運用は現状のまま。
      なんで搭載機に固定翼機が追加されただけでこれが損なわれると思ったのか全く理解できませんな。

      それにしても、格納庫が二層になってると言い張る者や露天駐機なんかしたら重心が上昇して転覆する~~なんて寝言いってる輩が世の中に一人も居ない時点で少しもおかしいと思わないんですか?
      いったい何処のどんな情報を見てそう信じ込むに至ったか興味があるのでソース提示して頂けません?

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