あまり知られていませんでしたが、軍用ジェット燃料と言うスペックがあったのですね。今回の改革で民生仕様のジェット燃料が使えるようになったので、供給元も利用側(とくに空軍)もハッピーと言う話ですが、逆に言えばなぜ今までわざわざ微小添加物入りの軍用燃料があったのか不思議です。同じエンジンを軍民両方で使うケースはいままでもあったのにね。
US Air Force Completes Jet Fuel Conversion; Impacts Entire Jet Fuel Market
米空軍がすべての基地施設の燃料対応を軍規格から民生用規格に切り替えた。これで、年間燃料支出を数百万ドル節約でき、空軍はこれまでより多くの燃料供給業者から調達が可能となった。
- DLA(国防兵站局)が今回切り替えに踏み切ったのは軍が作戦効率を上げて諸経費を削減する必要があったためだと業界筋がBreaking Energyに語っている。
- 「JP-8燃料生成が必要なくなるのがカギで、各精油所は民間規格の製品出荷を増やすことができます。また軍の需要に呼応する精油所が増えるので、DLAは供給先を増やして、購入価格を引き下げることができますね。不要となる精油所内の施設は別用途に使えます」
- 「また民間規格への切り替えでジェット燃料の調達が楽になる」と空軍大佐カーメン・ゴイエット Col. Carmen Goyette(空軍石油局司令官)が声明で発表した。「軍規格燃料は米国の年間233億ガロンの燃料生産のわずか7%にしか相当せず、これまで競争原理が働かなかった」
- 燃料添加物とは:航空燃料で燃焼効率をあげて、望ましくない効果を発生させないため、あるいは航空機の個別条件により添加物を加えることがある。ただしその量はPPM単位である。(シェルによる追加情報)
- この結果JP-8は供給網では別扱いとなり、単価が上がり、比較的少量の需要にもかかわらず補給上で別の扱いを受けていた。
- 「JP-8を精製し流通させようとすると専用貯蔵施設が必要で、供給業者にはこのため軍用燃料の取扱いを避ける動きが出ていた」とDLAのケビン・エイヘム Kevin Ahern (大量石油製品部長)は語る。「Jet A燃料に添加物を加えるものへ切り替わったことで、競争が発生し、価格は今後下がっていくでしょう」
- 米軍の中でも空軍が一番多く燃料を消費しており、その差は大きく開いており、空軍の燃料調達予算は各軍の中で最大規模だ。
2008年度から2014年度にかけてのエネルギー需要見込み(青:空軍、灰:海軍、緑:陸軍)Source: DOD Fiscal Year 2012 Operational Energy Annual Report
- JP-8を供給してきた各社は特別扱いを理由とした特別価格を維持できず、その差損を民間規格燃料をもっと多く販売することで相殺すると言われている。さらに民間でJet A需要が伸びても価格を押し上げる効果はないと見られている。その理由としてJP-8供給がJet Aに切り替わり、全体としての供給量が増えるからだという。
- JP8切り替え作業は2009年に米空軍の四基地で始まっており、この10月29日にライト・パターソン空軍基地(オハイオ州)で完了したが、予定の2017年を前倒ししたもの。
- 今回は軍を代表する形で空軍が動いたが、ジェット燃料市場全体に影響が出そうだ。
- 「軍規格燃料の生産が必要なくなれば、ジェット燃料市場全体がこれまでよりも効率よく動くことになりそうです」(上記専門家)■
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