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ロシア新型潜水艦ヤーレン級の現況



潜水艦連盟の年次総会に合わせて潜水艦関係の話題が連続しています。ロシア海軍の新型潜水艦の話題ですが、ちっともすすまない自国の次世代原子力潜水艦(いつか核融合に切り替わるのでしょうか)に不満のある米海軍がわざとリークしているのかもしれませんね。

U.S. Navy Impressed with New Russian Attack Boat

By: Dave Majumdar
Published: October 28, 2014 4:24 PM
Updated: October 28, 2014 4:29 PM
Russian submarine Novosibirsk during July 2013 sea trials.
海上公試中のロシア潜水艦プロジェクト885


米海軍潜水艦部隊のトップもロシアの新型プロジェクト885攻撃型原子力潜水艦には強い印象を持っているようで、K-329セヴェロドヴィンスク Severodvinsk の模型を堂々と飾っているほどだ。

  1. デイヴ・ジョンソン少将Rear Adm. Dave Johnsonは海軍海洋システムズ本部 Naval Sea Systems Command (NAVSEA) で潜水艦プロジェクトを統括する。少将はセヴェロドヴィンスクの模型をホールに置き、毎日眺めつつ自室に入るという。
  2. 「これは手ごわい相手になりますね。海軍省内のカードロック部門に公開情報をもとにロシア誘導ミサイル潜水艦(SSGN)の模型を作らせました。各国の水中戦力開発は止まってくれていません」と潜水艦連盟のシンポジウム(ヴァージニア州フォールズチャーチ)で発言した。
  3. 同艦は1993年から建造に入ったが、海上公試は2011年末だった。今年に正式に就役した。ソ連崩壊後の混乱で資金不足に悩んだロシアは何回も建造を遅らせていた。
  4. セヴェロドヴィンスクはロシアの攻撃潜水艦として最高の性能だが、ソ連時代の技術を反映した艦だ。
Model of Russian submarine Severodvinsk built for NAVSEA. US Naval Institute Photo
ロシア原潜セヴェロドヴィンスクの模型がNAVSEA本部に展示されている 
US Naval Institute Photo

  1. 排水量13,900トン、全長390フィートの同艦は高度自動化で乗組員は士官32名、乗員58名。
  2. 従来のロシア潜水艦より静粛性が高く、最大限に「沈黙」を守っても20ノット航行できる。
  3. 米海軍協会編「世界の戦闘艦船」では最高速度を35ないし40ノットとしているが、ロシア側報道では35ノットだ。最新の原子力潜水艦としてセヴェロドヴィンスクも原子炉は艦の寿命と同じ期間稼働する。
  4. 海軍情報部(ONI)によれば同艦は改良型ロサンジェルス級より静粛性が優れるが、シーウルフ級、ヴァージニア級には及ばない。ソ連時代でも静粛化技術の差はわずかであったという。ロシアになってヤーセン級 Yasen の艦体設計を改良して建造した。
  5. ソ連時代とちがうのは、ヤーセン級各艦は二重船殻構造でない点だ。耐圧殻の上に軽量構造をかぶせたハイブリッド構造とロシア報道は伝えている。.
  6. もう一つの特長が球状船首ソナーで、イルティシュ・アンフォラ Irtysh-Amfora を初めて採用した。魚雷発射管は艦中央部に配置され米国潜水艦と同様になった。発射管は8本で4本が650mmで残りは533mm口径だ。「世界の戦闘艦船」ではヤーセン級は魚雷30本搭載としている。
Infographic of Project 885 submarine via RIA Novosti
Infographic of Project 885 submarine via RIA Novosti

  1. ロシア攻撃型潜水艦の例に倣い同艦も対艦ミサイルを大量に搭載し主要攻撃手段としている。ミサイル発射管は24本で、超音速NPOマシノストレニヤP-800オニクス NPO Mashinostroyeniya P-800 Oniks 対艦ミサイルは200カイリの射程距離がある。またノヴァトルRK-55グラナットNovator RK-55 Granat 核搭載可能亜音速地上攻撃用巡航ミサイル(射程1,600カイリ)を搭載する。さらに3M14 カリバー Kalibr、3M54ビリュザ Biryuza 対地・対艦ミサイルも魚雷発射管から発射する。射程は300マイルとみられる。
  2. 対潜水艦用に91Rミサイルを搭載し、機雷の敷設も可能だ。
  3. 一部ロシア筋によるとセヴェロドヴィンスクにはアクティブ方式対魚雷防御機能があり、対空能力もあるという。後者ではプロジェクト941アクラ級(タイフーン級弾道ミサイル原潜)に9K38イグラ Igla 対空ミサイルを装備した前例がある。
  4. ロシアはヤーセン級8隻を建造すると見られ、後続艦では技術改良がくわえられ、2隻がセヴェロドヴィンスクのセヴマシュSevmash 造船所で建造中だ。二号艦カザン Kazan  は2009年7月、三号艦ノボシビリスク Novosibirsk は2013年7月にそれぞれ起工ずみだ。■

そうこうしているうちに二番艦カザンも建造が進み、艦体編入が視野に入ってきました。こちらは一番艦より強力な性能の改良型のようです。

Improved Russian Nuclear Attack Submarine Kazan to Deliver in 2016
By: Dave Majumdar
Published: October 29, 2014 12:27 PM
Updated: October 29, 2014 12:48 PM
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ロシア海軍はプロジェクト885Mヤーセン級攻撃型潜水艦の改良型1号艦を2016年に受領するとロシア国営報道機関が伝えている。同艦はカザンの名称で先に就役しているプロジェクト855の1号艦セヴェロドヴィンスク(K-329)以降の改良が施されている。

  1. 「改良型プロジェクト885Mの1号艦カザンはロシア海軍に2016年に納入される」とマラキット艦船設計局Malakhit design bureauの副所長ニコライ・ノヴォセロフNikolai NovoselovがRIAノーヴォスティ通信に語っている。
  2. カザンはセンサーと兵器システムでセヴェロドヴィンスクより進歩している。静粛性も改良されているという。
  3. セヴェロドヴィンスクの就役が大幅に遅れたことでプロジェクト855の改良ができた。セヴェドロビンスクの建造開始は1993年でその後数回にわたりソ連解体後の混乱で遅延を繰り返し完成し、相当の性能を有するが、一部装備は時代遅れの観がある。
  4. ロシア海軍は最低でも8隻のヤーセン級を整備する予定とRIAノーヴォスティは伝える。発注済は4隻で、3号艦ノヴォシビルスクが2013年7月に起工された。
  5. またプロジェクト955ボーレイ級Borei-class 弾道ミサイル潜水艦10隻の建造も同時に進めており、ソ連時代のタイフーン級、デルタIV級の後継艦とする。うちユーリ・ドルゴルキYury Dolgoruky 、アレクサンドル・ネフスキーAlexander Nevsky がすでに就役していると伝えられ、ブラヴァ Bulava 潜水艦発射弾道ミサイル16発を搭載している。またウラジミール・モノマーフVladimir Monomakh が公試中。
  6. 4番艦クニャージ・ウラジミール Knyaz Vladimir は改良型プロジェクト955-A級で、2012年起工。20発の弾道ミサイルを搭載するとの観測もある。■


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