ミサイル防衛(イスラエルの場合は迫撃砲やロケット弾が中心でしょうが)で世界の一歩先をゆくイスラエルの成果の陰に米国の支援が不可欠だというお話です。
Israel Fortifies Iron Dome for Future War
Credits US Support in Race To Outrun Surging Threats
Nov. 8, 2014 - 04:35PM |
By BARBARA OPALL-ROME | Comments
http://www.defensenews.com/article/20141108/DEFREG04/311080013/Israel-Fortifies-Iron-Dome-Future-War
イスラエルのアイアンドームから発射されたミサイルがガザから飛来した短距離ロケット弾を迎撃している。8月22日撮影。一スラエルは一層強力な脅威に対応すべくシステムの強化を図っている。 (JACK GUEZ/ / AFP/Getty Images)
TEL AVIV —イスラエルは米国政府の潤沢な予算に加えガザ紛争50日間の対ロケット迎撃作戦の教訓を生かしアイアンドームを強化し、今後の脅威にも対応可能にする。
- レバノンに本拠を構えるヒズボラから推定1万発のロケット弾が撃ち込まれたが、イスラエル関係者によれば今回は小手調べにすぎないという。
- 公式発表でアイアンドームは迎撃735回で90%に成功している。ガザから発射されたロケット弾は大部分がイスラエル領土に届かず、アイアンドーム防衛では「非脅威対象」扱いだった。
- その二年前にPillar of Defense作戦で初めて実戦投入された際は8日間で迎撃成功率は84%だった。この時はガザから発射のうち421発が対応必要な脅威と分類されている。
- 実績が向上しているがアイアンドームはまだ一回も純粋なテスト試射はされていないと製作元の国営会社ラファエル Rafael の航空優位性システムズ Air Superiority Systems Division 事業部長ヨシ・ドラカーYosi Druker は語る。
- 次の課題は北側つまりレバノンの脅威に対応できるかだという。
- イスラエルミサイル防衛機構の長官を務めたウジ・ルービンUzi Rubinは現在は国際コンサルタントでProtective Edge作戦では打ち上げられたロケット弾の多くからガザ地区で工作能力が着実に向上していることを示していたという。
- ルービンの試算では開戦時にガザ内のロケット弾は9,000発以上で現地製造だった。弱小な集団にも製造能力が備われば、「ヒズボラから飛んでくるものは神のみぞ知る、だ」という。
- 退役イスラエル空軍少将ジオラ・ロム Giora Romm がイスラエル民間航空局長を6年勤めて先週退任している。ロムはイスラエル唯一の国際空港から1.6キロメートル地点にガザ発射のロケット弾一発が着弾し、空港業務が閉鎖となったが33時間後に業務再開した際の陣頭指揮をとった。.
- 11月6日にロムを取材したが、今後のレバノン紛争ではアイアンドーム防衛体制強化が必要で、民間航空の観点からは迎撃に空白地帯を作ってはならないと語っていた。空港へアプローチが困難となれば民間航空はイスラエル南端のエイラート空軍基地へ誘導されるという。
- その二日前にヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ Hassan Nasrallah から次回のイスラエル攻撃の際は空港と港湾すべてを使用不能にするとのメッセージが出ていた。
- 現在のイスラエルミサイル防衛機構長官ヤイル・ラマティYair Ramatiも脅威の進化に応じイスラエルの防衛体制も強化を迫られていると認める。同機構は国防省の研究開発局MAFATの傘下にある。
- 「これは技術競争であり経済競争でもあるのは明白だ。合衆国の支援がなければ、この競争についていけなくなる」
- ラマティは「25年以上にわたる米国からの暖かい支援」によりイスラエルは迎撃技術を進めることができたという。
- ラマティが特に言及しているのがMAFAT長官のオフィル・ショーハム海軍少将 Rear Adm. Ophir Shohamと歴代の米ミサイル防衛庁長官との密接な関係だ。
- 関係者によると開戦時に稼働可能なアイアンドームは6隊しかなかった。だが「命をつないだ」米国の予算手当で開戦数か月前に交戦中に3隊を追加配備できたという。
- ルービンの試算ではこの10年間にイスラエルに向け発射された1万1千発のロケット攻撃に対して「少なくとも6割が先のProtective Edge作戦でアイアンドームにより尊い人命の損失を防ぐことができた」という。ルービンの計算の根拠はイスラエル国民の人命被害を「アイアンドーム」稼働前のものと比較し、過去2回のガザ紛争での統計と比較したものだという。
- 10億ドル近い複数年度にわたる合衆国の調達予算がなかったらアイアンドーム隊9個編成は実現しなかったと当地の関係者は認める。
- また2015年度に要求した175百万ドルがないと、イスラエルはアイアンドーム迎撃体の在庫補充が困難だ。今回の50日間紛争で在庫はかなり使い果たしている。
- イスラエルは2012年の総額680百万ドル予算の中から70百万ドルを先行使用し、レーダーと迎撃体を第7部隊に整備した。第8、第9部隊にもレーダー二基を整備した。
- 「中東ではタイミングがすべてです。もし一二か月待っていたら、Protective Edge作戦で各レーダーを使用できなかったでしょう」(ラマティ)
- 一方でProtective Edge作戦前に策定したアイアンドーム隊の増強策、性能改修策の実施が進んでいる。
- 並行しアイアンドームに搭載するタミールTamir 迎撃弾には米国予算で米国製部品の重要な機能が搭載されている。
- 米イスラエル政府間で3月に合意された内容では合衆国拠出金の代償に米国企業に作業分担させることが定められている。
- レイセオンがラファエルの下請企業として構成部分を生産し、イスラエルの最終組み立てラインへ供給する。レイセオンはラファエルとの契約を9月30日に発表しており、迎撃弾関連の部分で149百万ドルの事業規模だという。
- 「アイアンドームはロケット弾、砲撃弾、迫撃砲からイスラエル国民の生命を守るのに有効性を証明しました。タミル迎撃体の構成部分が米国製ですので当面のイスラエル国防に十分な数量を確保できます」とレイセオンミサイルシステムズRaytheon Missile Systems社長テイラー・ローレンスTaylor Lawrenceは言う。
- ラマティは最終的に迎撃体部品の50%が米国製になると予測している。 ■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。