スキップしてメイン コンテンツに移動

★J-31はFC-31(輸出専用モデル)になるのか 珠海ショー余聞②



なるほど、J-31が国内呼称で、FC-31が輸出仕様の型式名称であることが判明しました。中国は米国の考えたハイローミックスは真剣に考慮していないのでは。それともJ-20が長い槍で、J-31とは別の短剣があるのか。これはいまはわかりません。広大な沿岸線を有する中国には防空体制の完璧な整備はなかなかむずかしいでしょうから、シンボリックな高性能機を配備することが費用対効果で意味があるのではないかと思います。

With J-31 Flight, China Makes a Statement

Nov. 15, 2014 - 03:45AM   |  
By WENDELL MINNICK   |   Comments

CHINA-ECONOMY-AVIATION
輸出を視野に入れる: 中国のJ-31ステルス戦闘機が珠海航空ショーで11月11日に展示飛行を行った。(JOHANNES EISELE/ / AFP/Getty Images)

ZHUHAI, CHINA —中国の双発ステルス機J-31が珠海航空ショーで飛行展示されたが、当日の曇天と対照的に、メッセージは明瞭だった。中国は新型戦闘機を売り出そうとする以上に中国の航空産業を世界に売り込もうとしているのだ。

  1. 中国はJ-31を輸出する意向だ。その顧客にはイランとパキスタンが並ぶ。J-31は世界市場をにらんだ初のステルス戦闘機で合衆国の輸出制限対象国やロッキード・マーティンF-35の予算が手当てできない国向けのものだ。
  2. J-31輸出の話はAVIC展示ホールで縮尺1:2のモデルが開幕前のプレス向けツアーでお披露目された際に出てきた。モデルにつけられた説明では「FC-31」となっており、中国の戦闘機には「J」がつき、輸出用機材には「FC」がつくのが通例だ。J-31がFC-31として紹介されたのはこれが初めて。
  3. 米議会が任命した米中経済安全保障検討委員会US-China Economic and Security Review Commissionの委員長ラリー・ウォーツェルLarry WortzelからはJ-31の初の公開展示飛行とFC-31の公開はAPEC会合(北京)およびオバマ大統領の訪中とタイミングを合わせたものと発言。
  4. これはロバート・ゲイツ国防長官(当時)の訪中時にCAC製J-20ステルス機が初飛行した2011年1月の出来事を想起させる。この時ワシントンでは米国訪中団に政治的なメッセージを送るものと解釈されたが、中国関係者は関連を否定した。オバマ訪中と珠海でのJ-31公開ではウォーツェルによれば「今回は少なくとも事前予告があった」点が違うという。
  5. 珠海で実機を公開したことから中国は輸出に本腰を入れるつもり、とダグラス・バリーDouglas Barrie ロンドン国際戦略研究所International Institute for Strategic Studiesで軍事航空の主任研究員、は言う。
  6. 「ただし中国の輸出相手先に第五世代戦闘機を導入する実力があるだろうか」と言い、成都J-7戦闘機ファミリーの後継機種ならCACのJ-10やJF-17/FC-1の方が現実的な選択となるはずというのだ。
  7. これに対して中国はすき間市場を狙っている観がある、というのがロジャー・クリフRoger Cliff (大西洋協議会Atlantic Council.でアジア安全保障構想Asia Security Initiativeを担当する非常勤研究員)だ。「F-35の価格は支払えない国でもMiG-29やF-16より進歩した機体をほしがるところは多い」とし、イランやパキスタンがFC-31に関心を示す可能性が十分あるという。しかしながら、開発費用を回収できる輸出需要があるだろうか、とクリフは不思議がる。「Avicは経済の理屈だけで動く会社ではないけど」
  8. クリフは中国空軍にJ-31購入の予定があるのか疑わしいという。ハイローミックスでいえば、ローの部分を構成する機体です。高性能機はJ-20ですが、珠海に姿を現さず、一方で着々と開発が進んでいると言われています」
  9. クリフは実力を誇示するのであればJ-20が珠海に展示されたはずだという。「中国が輸出用に性能が劣る機材を当ててきた前例があります」とし、JF-17/FC-1とJ-10戦闘機の組み合わせ、KS-1とHQ-9地対空ミサイルの例があるとする。
  10. 中国も模倣できていないのが高性能戦闘機用エンジンだ。ロシア製サトルンAL-31エンジンがJ-31試作機に搭載されているといわれる。これで同機がライセンス問題で輸出できなくなるというわけではない。クリフによればロシアがRD-93エンジンを搭載したFC-1/JF-17の再輸出を許した前例がある。
  11. 中国は国産WS-13エンジン開発を進めており、J-31搭載を狙っているという。成功すれば、ロシア製エンジンは不要となるという。
  12. 中国からJ-31外観が驚くほどF-35に似ているのはスパイ活動が最大の理由だといわれている。
  13. 「中国のスパイ活動で二重に被害が発生します。システムを盗まれて、それが販売されるからです」と説明するのはペンタゴンで技術評価部長を務めたエドワード・ティンパーレイク Edward Timperlake だ。「スパイはF-35の開発途中のソフトウェア設計を盗み、ソフトウェアの核心部分は米国が休まず改良しているので入手できず、いわば出席なしで試験結果だけ手に入れたようなものだ。成績は優でも最終試験は盗み切れていない」.
  14. 最終試験問題を入手しようと中国が動いている証拠がある。6月に連邦捜査局はカナダ在住中国人実業家Su BinがF-22ラプターとF-35の秘密情報を合衆国内の国防産業のコンピュータから盗もうとし逮捕されたと発表。SuはF-35のテスト日程と「青写真」で「中国が米国の水準に急速に追いつく」ことを目指したという。Suの電子メールが米法務省により公開されている。
  15. ではF-35と比較してJ-31はどれだけのステルス性を第五世代機として有しているのか。第五世代機とは単にステルス性能だけの存在ではないとクリフも言う。「スーパークルーズ、推力方向転換、AESAレーダー、高帯域低探知可能性データリンクがあります」という。
  16. この基準だとF-22やF-35も第五世代機として完璧ではないとクリフは指摘。「だが、J-31にはスーパークルーズや推力方向転換機能もないようですし、ステルスつきの第四世代戦闘機以上の存在だが、AESAレーダーや高帯域低探知可能性データリンクがついているか次第で評価がかわりますね。ちなみにF-35ではこれは全部ついています」
  17. J-31とF-35の外観上の類似性は中国がF-35のステルス外観設計を複製しようとした努力のあらわれとティンパーレイクも言う。
  18. 「もし同機が物理的にステルス性能を獲得して、大量生産に入れば、大きな問題になる」と地域内の同盟各国を指して発言。しかし、ステルス性とは生存可能性の問題にすぎず、専門家はもっと内部構造を検討する必要がある。ひとつはF-35の融合コックピットであり、中国がそこまでの水準に達しているかだという。
  19. 「融合の有無でJ-31が本当の競争相手なのかそれとも既存機を直線的に発展させた機体なのかが分かれます。性能が上がっているとしてもハブスポーク方式の戦闘管理、空中早期警戒統制システムと地上から操作する迎撃方式が不可欠でしょう」と指摘する。 ■


コメント

このブログの人気の投稿

漁船で大挙押し寄せる中国海上民兵は第三の海上武力組織で要注意

目的のため手段を択ばない中国の思考がここにもあらわれていますが、非常に厄介な存在になります。下手に武力行使をすれば民間人への攻撃と騒ぐでしょう。放置すれば乱暴狼藉の限りを尽くすので、手に負えません。国際法の遵守と程遠い中国の姿勢がよく表れています。尖閣諸島への上陸など不測の事態に海上保安庁も準備は万端であるとよいですね。 Pentagon reveals covert Chinese fleet disguised as fishing boats  漁船に偽装する中国軍事組織の存在をペンタゴンが暴露   By Ryan Pickrell Daily Caller News Foundation Jun. 7, 3:30 PM http://www.wearethemighty.com/articles/pentagon-reveals-covert-chinese-fleet-disguised-as-fishing-boats ペンタゴンはこのたび発表した報告書で中国が海洋支配を目指し戦力を増強中であることに警鐘を鳴らしている。 中国海上民兵(CMM)は準軍事組織だが漁民に偽装して侵攻を行う組織として長年にわたり活動中だ。人民解放軍海軍が「灰色」、中国海警が「白」の船体で知られるがCMMは「青」船体として中国の三番目の海上兵力の位置づけだ。 CMMが「低密度海上紛争での実力行使」に関与していると国防総省報告書は指摘する。 ペンタゴン報告書では中国が漁船に偽装した部隊で南シナ海の「灰色領域」で騒乱を起こすと指摘。(US Navy photo) 「中国は法執行機関艦船や海上民兵を使った高圧的な戦術をたびたび行使しており、自国の権益のため武力衝突に発展する前にとどめるという計算づくの方法を海上展開している」と同報告書は説明。例としてヘイグの国際仲裁法廷が中国の南シナ海領有主張を昨年7月に退けたが、北京はCMMを中国が支配を望む地帯に派遣している。 「中国は国家管理で漁船団を整備し海上民兵に南シナ海で使わせるつもりだ」(報告書) 中国はCMMはあくまでも民間漁船団と主張する。「誤解のないように、国家により組織し、整備し、管理する部隊であり軍事指揮命令系統の下で活動している」とアンドリュー・エリク...

海自の次期イージス艦ASEVはここがちがう。中国の055型大型駆逐艦とともに巡洋艦の域に近づく。イージス・アショア導入を阻止した住民の意思がこの新型艦になった。

  Japanese Ministry of Defense 日本が巡洋艦に近いミサイル防衛任務に特化したマルチロール艦を建造する  弾 道ミサイル防衛(BMD)艦2隻を新たに建造する日本の防衛装備整備計画が新たな展開を見せ、関係者はマルチロール指向の巡洋艦に近い設計に焦点を当てている。実現すれば、は第二次世界大戦後で最大の日本の水上戦闘艦となる。 この種の艦船が大型になる傾向は分かっていたが、日本は柔軟性のない、専用BMD艦をこれまで建造しており、今回は船体形状から、揚陸強襲艦とも共通点が多いように見える。 この開示は、本日発表された2024年度最新防衛予算概算要求に含まれている。これはまた、日本の過去最大の529億ドルであり、ライバル、特に中国と歩調を合わせる緊急性を反映している。 防衛予算要求で優先される支出は、イージスシステム搭載艦 ( Aegis system equipped vessel, ASEV) 2隻で、それぞれ26億ドルかかると予想されている。 コンピューター画像では、「まや」級(日本の最新型イージス護衛艦)と全体構成が似ているものの、新型艦はかなり大きくなる。また、レーダーは艦橋上部に格納され、喫水線よりはるか上空に設置されるため、水平線を長く見渡せるようになる。日本は、「まや」、「あたご」、「こんごう」各級のレーダーアレイをできるだけ高い位置に取り付けることを優先してきた。しかし、今回はさらに前進させる大きな特徴となる。 防衛省によると、新型ASEVは全長約620フィート、ビーム82フィート、標準排水量12,000トンになる。これに対し、「まや」クラスの設計は、全長557フィート強、ビーム約73フィート、標準排水量約8,200トンだ。一方、米海軍のタイコンデロガ級巡洋艦は、全長567フィート、ビーム55フィート、標準排水量約9,600トン。 サイズは、タイコンデロガ級が新しいASEV設計に近いが、それでもかなり小さい。Naval News報道によると、新型艦は米海軍アーレイ・バーク級フライトIII駆逐艦の1.7倍の大きさになると指摘している。 武装に関して言えば、新型ASEVは以前の検討よりはるかに幅広い能力を持つように計画されている。 同艦の兵器システムの中心は、さまざまな脅威に対する防空・弾道ミサイル防衛用のSM-3ブロックII...

次期高性能駆逐艦13DDXの概要が明らかになった 今年度に設計開始し、2030年代初頭の就役をめざす

最新の海上安全保障情報が海外メディアを通じて日本国内に入ってくることにイライラしています。今回は新型艦13DDXについての海外会議でのプレゼン内容をNaval Newsが伝えてくれましたが、防衛省防衛装備庁は定期的にブリーフィングを報道機関に開催すべきではないでしょうか。もっとも記事となるかは各社の判断なのですが、普段から防衛問題へのインテリジェンスを上げていく行為が必要でしょう。あわせてこれまでの習慣を捨てて、Destroyerは駆逐艦と呼ぶようにしていったらどうでしょうか。(本ブログでは護衛艦などという間際らしい用語は使っていません) Early rendering of the 13DDX destroyer for the JMSDF. ATLA image. 新型防空駆逐艦13DDXの構想 日本は、2024年度に新型のハイエンド防空駆逐艦13DDXの設計作業を開始する 日 本の防衛省(MoD)高官が最近の会議で語った内容によれば、2030年代初頭に就役開始予定のこの新型艦は、就役中の駆逐艦やフリゲート艦の設計を活用し、変化する脅威に対し重層的な防空を提供するため、異なるコンセプトと能力を統合する予定である。  防衛装備庁(ATLA)の今吉真一海将(海軍システム部長)は、13DDX先進駆逐艦のコンセプトは、「あさひ」/25DD級駆逐艦と「もがみ」/30FFM級フリゲート艦の設計を参考にすると、5月下旬に英国で開催された海軍指導者会議(CNE24)で語った。  この2つの艦級は、それぞれ2018年と2022年に就役を始めている。  13DDX型は、海上自衛隊(JMSDF)が、今吉の言う「新しい戦争方法」を含む、戦略的環境の重大かつ地球規模の変化に対抗できるようにするために必要とされる。防衛省と海上自衛隊は、この戦略的環境を2つの作戦文脈で捉えている。  第一に、中国、北朝鮮、ロシアが、極超音速システムを含むミサイル技術、電子戦(EW)を含むA2/AD能力の強化など、広範な軍事能力を急速に開発している。第二に、ウクライナにおけるロシアの戦争は、弾道ミサイルや巡航ミサイルの大規模な使用、EWやサイバー戦に基づく非対称攻撃、情報空間を含むハイブリッド戦争作戦、無人システムの使用など、新たな作戦実態を露呈したと説明した。  新型駆逐艦は、敵の対接近・領域拒否(A2/A...