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☆☆ 日本:着々と進む次期戦闘機F-3の設計コンセプト固め



次期戦闘機の開発は大型プロジェクトですが、一方で複数の機種開発は不可能なので現実的な想定も必要です。数をそろえることはできないので、どうしても一機で多様な性能を期待することでプロジェクトが破綻する可能性はないでしょうか。あるいはあれもこれも詰め込む八方美人型になると機体が大型化しかねませんね。ここは時間をかけてもちゃんとあるべき姿のコンセプトを技術研究本部主導のプロジェクトチームに期待したいところです。


Japan Prepares Designs For Its Next Fighter

Japan is looking at a big, long-range fighter to defeat superior numbers
Nov 21, 2014
Bradley Perrett | Aviation Week & Space Technology

25DMUはF-3を目指し防衛技術研究本部(TRDI)が各年更新している研究結果の最新版だ。 TRDI

速度より飛行距離が重要と日本の戦闘機開発陣は次期戦闘機の性能検討中に発見した。数で圧倒する相手と戦う方法を検討する日本は目標データを共有し、高性能大型ミサイルを機内に搭載し、戦闘空域を脱出しながらでもミサイル誘導を行なう事が次期戦闘機で必要と強調している。
  1. この研究成果は今後4年以内に作成する実寸大機体の開発に役立つ。日本は国際共同開発の選択肢も残しており、これは財務省には気に入られる構想だろうが、防衛省として結局日本の意思がわずかしか通らない形の協力になるのを警戒している。飛行速度より距離を優先する日本独自の要求のため、結局は独自開発になるのではないか。.
  2. 防衛省技術研究本部(TRDI)がIHIと共同で驚くほど強力なターボファンエンジンの基礎開発を行っており、双発の次期戦闘機に搭載され、2030年頃にF-3として第一線に投入される。TRDIは機体構造の研究ではおそらく三菱重工業の支援を受けている。三菱重工は機体製造を担当し、三菱電機が電子機器を担当する。
  3. 研究は三菱重工製F-2の後継機開発のオプションを狙うものと防衛省は説明する。平成30年度が開発の決定で最終段階だと防衛省はAviation Weekに回答している。
  4. 共同開発の可能性として米空軍と海軍が構想中のロッキード・マーティンF-35の後継機種があるが、防衛省によれば共同化開発の前提として「F-2退役の最終年までに開発が完了できるかを見極める」という。明らかにF-35で発生した大幅な遅延が念頭にある。
  5. 平成22年度からおよそ1,200億円がF-3の初期検討に投入されており、平成27年度に412億円が概算要求されている。i3の名称でTRDIと民間産業界は次期戦闘機で鍵となる技術要素を準備中で、ATD-Xステルス実証機の技術の延長線上に位置づける。ATD-Xは今年度中に初飛行する。
  6. さらに142億円が平成27年度にF-3向けエンジン開発に要求されており、機体より先にエンジン開発がまとまる見込みだ。推力は33,000 lb.とされ、少なくとも初期開発段階ではこのままの規模で想定されていくだろう。
  7. 同エンジンの燃焼器、高圧圧縮機、高圧タービンがテスト中だ。タービンの評価は来年度中にまとまる。低圧圧縮機と低圧タービンの試作機は平成29年度にテストされる。試作エンジンの運転は平成30年の想定だ。
  8. エンジン開発の課題は超高温1,800C (3,272F) の実現であり、エンジン全体の寸法をどこまで小さくできるかだ。後者は機体の前面の面積を縮小するため。スーパークルーズ可能な戦闘機をめざしているようだ。
  9. ただし本当に機体を製造するかは別の問題だ。日本は自国の安全がどんどん中国の台頭と好戦的態度で脅かされていると感じる一方、大型ステルス戦闘機を開発すると数百億ドル規模の事業となることを理解している。
  10. 「新型戦闘機開発費用はこの時点で決定できません」と防衛省は回答しており、航空自衛隊にはF-2が90機あるが、その後継機の機数はまだ決めていないとする。また次期戦闘機の想定性能諸元はまだ公開されていない。
  11. TRDIは今月に入りセミナーを開催しその席上で今後の戦闘機開発の方向性を示した。
  12. TRDIは2011年から2013年まで毎年l別にコンセプトを発表しており、それぞれ23DMU、24DMU、25DMUと呼称されている。数字は元号の年数でDMUはデジタルモックアップの略である。ただし各モデルの構造を見る限りではスーパークルーズは前提となっていない。
  13. 設計陣はステルス性とその他性能のバランスをとることに相当苦労しているようだが、一貫して尾翼を廃止する課題はとりあげていないようで、機体寸法の想定も異なっており、最新版は大型化しているが、それでもエンジン推力を考慮するとまだ控えめなようだ。推力33,000 lb. の双発だとロッキード・マーティンF-22ラプターの大きさに近づく。だがひょっとするとエンジンがこれより小さくなる可能性もある。
  14. 2014年版の機体コンセプトは未公表だが、昨年のTRDIによる作業は25DMUとして完成している。大型機内ミサイル格納庫があり、高アスペクト比としては異例な大型主翼で25DMUが航続距離を重視していることがうかがえる。そこで今年の26DMUは大きく変化する可能性がある。25DMUは26MDUとの比較評価対象となるため、まだ有効であり、あわせて日本は最終仕様の決定に向かっているようだ。
  15. 2011年度設計案と23DMUはどこかATD-Xの拡大版のようだ。ステルス機の特徴として空気取り入れ口をくねらせてエンジンを覆うのはレーダーエネルギーの反射を抑える効果がある。23DMUの尾翼は四枚構造で、外側に向けて伸びている。
  16. 機体内部の並列兵装庫は「中距離ミサイル」4発を格納可能だろう。TRDIによる図では非常に大きなサイズのミサイルで、中距離以上の飛行距離を狙うもののようだ。ロンドンの国際戦略研究所のダグラス・バリーによればTRDI公表の図面中のミサイルにはラムジェット推進の空気取り入れ口が全て描かれており、単なるロケット推進の兵器ではないようだ、という。またTRDI公開の各設計案では共通して胴体側部に短距離ミサイルが左右に合計2発搭載されている。また大型パッシブ無線受信機のアレイも左右にあり、機首レーダーの補助なのだろう。赤外線センサーがコックピット下と前方に付いている。
  17. 23DMUでは機体の奥行きが大きく、レーダー反射用の側面も大きいが、24DMUで機体を平坦にしようとしている。エンジンを外側に取り付け、直線ダクトでつなげたことで、エンジン前方の円形バフルでレーダー放射エネルギーの拡散をねらう。中距離ミサイル4発を前後二組のタンデム配置で搭載する設計だ。V字尾翼はノースロップYF-23試作機と同様の配置で安定板二枚がついていた。
  18. 24DMUが完成したことでTRDIは変更点が交戦時に有効なのかをシミュレーションで確認したところ、23DMUに対してミサイルの発射回数が13%増え、一方で敵にミサイル発射を許す機会が3分の1に減ることが判明した。TRDIは公開セミナーでは回数ではなく、棒グラフでの説明にとどめている。23MDUに手を入れ後退角を変えたが結果は中間にとどまっていた。「後退角を変更してもレーダー断面積への変化はわずかしかない」

  1. 次はダクトの形状を25DMUを参考に戻し、側面は23DMUより位置を下げる。エンジンは再び内側に戻し、中距離ミサイル6発をダクトの下に配置できる空間を確保する。ダクトは上方、内側に曲げられる。追加装備のミサイルは機体サイズと費用を犠牲にしても圧倒的な数の威力に頼る仮想敵国に対峙する想定の日本には必要だとバリーは認める。
  2. それとは別に四枚構造の尾翼表面構成が25DMUで復活しているが、尾翼自体には相当の角度がつき、23DMUより短くなっている。また水平尾翼は下向きの角度がついているが、おそらくこれは尾部の垂直部分を形成するためのものだろう。
  3. 翼幅とアスペクト比は大きく増やされている。特に後者は24DMUの3.2-3.3が3.8-3.9になっているとラフな図面から推察される。F-35Aのアスペクト比は2.4で、ボーイングF-15が3.0だ。TRDIが公開した図面が縮尺通りなら、翼幅が25DMUで2割増えていることになる。主翼の変更は明らかに航続距離の延長が目的で、揚力抗力比を変更するとともに燃料搭載量を増やすのだろう。胴体は大きくしているようで、ここでも燃料搭載量が増えている。TRDIも航続距離が長くなっているのを認めるが、具体的な数字は示していない。速度、加速性が犠牲になっているはずだが、25MDUはすくなくとも1割機体が大型化しているように見える。この背景には極限まで高性能にしても空中戦に決定的な優位性は得られず、むしろ航続距離の方が大きい要素となるとの研究結果があり、あきらかに現場待機時間の長さが日本の戦略条件で優先されているのが分かる。■


コメント

  1. 宮崎から尖閣まで1000kmあるからね。1000km飛んで、8時間滞空哨戒して、宮崎まで帰る。
    戦闘機は戦場の上空に存在してナンボだからね。

    返信削除
  2. F3関係の情報が多すぎるように思えるが、気のせいでしょうか。重要性であるか無いかの線引きは確かなのでしょうか。
    ダダ漏れはゴメンですよ。

    返信削除
  3. そもそも公開情報であり、秘密でも何でもないでしょう

    返信削除

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