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主張:F-35、LRS-Bにコスト削減圧力を求める、 F-15E後継機としての登用は可能か



Opinion: Keeping F-35, Bomber Contractors’ Feet To The Fire

Jan 8, 2016 Daniel Z. Katz | Aviation Week & Space Technology

F-15E後継機需要をてこにF-35とLRS-B両事業で競争圧力をかけておくことが可能なはずだ。Credit: USAF Airman 1st Class Joshua Kleinholz

経済学では競争があれば最低価格で最高の製品が手に入ると教える。残念ながら軍用機調達の世界ではこれはあてはまらないようだ。米軍最大の調達事業はF-35共用打撃戦闘機(ロッキード・マーティン)と長距離打撃爆撃機(LRS-B)(ノースロップ・グラマン)だが今後20年以上にわたり、競争状態は発生しない見込みだ。

  1. しかし両事業で競争の圧力をかけることは可能。F-15Eストライク・イーグルの後継機問題により、上記大型事業二件でも費用を最小限に抑え、最大の性能を実現させる効果が生まれる。
  2. だがペンタゴンがこれだけの効果を最初から実現できるだろうか。国防総省がまず期待するのは技術開発・生産準備檀家で、単一契約企業体を選定し、提案書通りの技術を実現する段階だ。生産関連契約多数が成立すると別の契約企業が入り込んできて作業進展が遅れるとこけおどしをかける。
  3. 契約の仕組みで知恵を使えば契約企業の実績が悪くても影響を緩和できるはずだ。ただし一定の限度までだが。業界内で競争状態が製造期間中ずっと存在すればその結果で高い製品品質と低価格が実現する前例は僅かだが存在する。米会計検査院はF-16で二番目のエンジン選択肢を準備したことで納税者の負担は2割も減ったと確認している。
  4. 残念ながらF-35、LRS-Bのいずれにも競争状態はないままだ。F-35では日程からの遅れは6年分になっており、機体単価はほぼ5割上昇したが空軍のF-16、海兵隊のAV-8Bそれぞれで他に選択肢はなく、海軍も有人戦闘機でステルス機の選択肢がない。LRS-Bの方ではもう少しまともな成果が出ることを期待するばかりだが、現在出ているボーイングによる不服申請の手続きが終われば、やはり無競争状態になってしまう。競合相手がいればコストを中核的な比較条件にし、空軍内部の迅速戦略整備室が納期と予算の目標に合致した事業展開を進めたはずだ。だが現実にはB-52やB-1の後継機としてはLRS-Bを100機生産する以外にない。
  5. 少しでも競争環境を生む圧力をF-35やLRS-Bで実現できないだろうか。そこでF-15Eの後継機問題が出てくる。米空軍はF-15E217機対象に改修作業中だが、完成すれば2040年頃までは実用に耐える攻撃戦闘機として稼働できる。
  6. さいわいにF-35もLRS-Bもその頃には生産がほぼ最終段階に達しているはずだ。ペイロードや機体コストを考えると両機種とも攻撃機として投入が可能なはずだ。最新資料ではF-35Aの機体調達単価は2037年で83.5百万ドル、また1,763機の平均では103百万ドルになるという。LRS-Bではほとんど資料が公開されていないが、例外的に上限価格帯は判明している。まず100機分の平均調達単価は607百万ドル(ただし2016年度貨幣価値で)である。つまりLRS-Bは単純に言ってF-35Aの六倍高いことになる。ペイロードの比較はもっとむずかしい。LRS-Bの性能諸元が非公開のためだが、LRS-BのウェポンベイでB-1Bが搭載する2,000ポンド爆弾が運用可能であるはずなので、爆弾搭載量でF-35Aの4.8倍だ。
  7. 無論、性能が優先する。LRS-Bが航続距離でF-35Aを大きく引き離し、ステルス性能も高く、より多くを搭載できる。一方で、LRS-Bが空対空ミサイルを搭載する可能性は少ないし、超音速まで一気に加速することもないだろう。そうなるとどちらを取るかは簡単ではないが、いずれか一方、あるいは両機種がF-15Eの任務を引き継ぐことは可能だ。
  8. 効果は大きい。F-35Aを200機追加生産するのか、LRS-Bをあと40機生産すれば200億ドル規模の事業になる。政府にとっての利点はすぐに発生する。ロッキードとノースロップはともに既存事業で遅延や費用超過を発生させればF-15E後継機の受注が遠のくことを理解できるはずだ。
  9. これ以外の機体が登場する可能性として第六世代戦闘機またはステルス無人戦闘航空機がF-15E後継機の候補になるかもしれない。仮に新型機が時宜にかなった形で生産に入れば、選択肢が広がり、競争が活性化される。ペンタゴンはまずF-15E後継機としてF-35とLRS-Bを候補として考えると発表すれば、両機種の事業で競争圧力が生まれることになる。これを実施すれば納税者にも数十億ドルの節減効果が生まれるとともに高性能の機体が手に入る事になるはずだ。■
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ドワイト・Z・カッツはAviation Week Intelligence and Data Servicesで国防アナリスト次席を務めるが、米陸軍で特殊部隊隊員として従軍のあと、国防長官官房で勤務した経験がある。


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