今のところ第六世代戦闘機(この用語が正しいのでしょうか)について中身が一番伝わってくるのがノースロップ・グラマンのようです。生き残りをかけて次期戦闘機事業の獲得を狙っているようです。今回の内容からは同社の目指す方向が見えてきます。
Northrop Lays Out Vision for ‘Cyber Resilient’ Next-Gen Fighter
Lara Seligman 12:51 p.m. EST January 15, 2016
http://www.defensenews.com/story/defense/air-space/strike/2016/01/15/northrop-cyber-resilient-next-gen-fighter/78833308/
PALMDALE, Calif — ノースロップ・グラマンはF-35共用打撃戦闘機事業に参画しながら、次世代の機体構想を練っている。
- ノースロップで航空宇宙部門を統率するトム・ヴァイス社長は長距離無人戦闘機構想を今週発表して、レーザー兵器と高性能「サイバー回復力」“cyber resiliency” を搭載し、今よりネット化が進む2030年代の脅威対象に対抗する構想だという。
- ペンタゴンは第六世代戦闘機の初期構想作成にとりかかっており、空軍F-22と海軍のF/A-18の後継機づくりを2030年代の想定で進める。昨年はじめに空軍は将来の航空優越性確保に必要な技術要素の検討作業を開始している。
- 産業界も次の競作の準備を開始した。ロッキード・マーティンは第五世代戦闘機F-35で主契約企業だが、次代の戦闘機構想の作成にとりかかったと伝えられ、ボーイングはこっそりとモックアップ案数例を発表している。
- ノースロップはF-35で協力企業であり同時に第六世代戦闘機では主契約企業の地位をめざすとヴァイス社長は報道陣に1月14日話している。同社は次世代戦闘機の性能指標の決定を目指した研究を始めていると同社で技術研究と高度設計事業を担当するクリス・ヘルナンデスが述べている。
- ヴァイス社長発言は同社が主催したカリフォーニア州の同社施設査察旅行ででたもの。Defense Newsは旅費、宿泊費を同社から受け取っている。
- ペンタゴンがこれから解決すべき問題に機体のデータと通信内容の保全がある。これからはサイバーハッキングがあたりまえになる。サイバー攻撃をすべて回避することは不可能だ。かわりに侵入を探知し、被害の発生を防ぐ、とヴァイスは言う。
- 「人体は感染を受けやすいが、皮膚表面で感染をすべて食い止めるのは不可能だ。感染した場合に身体が反応する」とヴァイスは言う。「人体には素晴らしい機能があり白血球がウィルスを攻撃し、制御して身体に害が広がるのを防いでいる。2030年には同様のシステムが実用化しているだろう」 次世代の制空戦闘機にはデジタル版の白血球が搭載され、システムがサイバー感染しても広がるのを防げるとヴァイスは見る。
- もう一つ業界が考えているのは速度と航続距離の完璧なバランスだ。速度と飛行特性はこれまで戦闘機で最重要視されてきたが、ヘルナンデスによれば将来の機体では速度を犠牲にしても航続距離を重視するという。飛行距離は利用可能な基地が世界各地で減る中でもっと重要になっていくというのだ。 「飛行距離と速度は直交関係にある。亜音速機は超音速機よりずっと飛行時間が長い。次世代戦闘機でも超音速飛行性能はあるだどうが、現在の戦闘機ほどの速さには及ばないだろう。その分航続距離が重視されるからだ」
- 第六世代機の課題には機体での熱制御もある。超音速飛行、指向性エネルギー兵器が排出する熱の処理だ。ここに高出力レーザー兵器が加わると熱制御はもっとむずかしくなるとヴァイスは指摘する。現在の熱制御のレベルは「不十分」と言う。
- 「高出力レーザー兵器システムを超音速機に搭載して発熱が発生しないとは誰も期待できない」とヴァイス社長は述べた。「そのため相当の時間をかけて熱の再利用を図る方法を模索していくことになりそうだ」
- ペンタゴンと業界はこれとは別に第六世代戦闘機がそもそも有人機になる必要があるのかで答えを模索することになる。答えはそんなに簡単ではないとヴァイスは言う。多分物理的に機内に乗員が入ることはないだろうが、遠隔操作でミッションをこなすのだろう。「ジェット機に人をこれからも乗せるのか、それとも人をミッションにあてておくのか。本当にコックピットに人が乗り込む必要があるのかで答えはそのうち出そうだ」
- 未来の飛行隊は有人機と自動飛行機の組合せで無人機を統率する「ミッション指揮官」が隊を指揮するのではないかとヘルナンデスは言う。
- だがロボットは頭脳のかわりにはならず、人間にはソフトウェア改訂がなくても最新の情報に適応できるとヴァイスは指摘する。そこでノースロップが取り組んでいるのは自ら学習して進化できるソフトウェアでリアルタイムで意思決定できる機能だという。
- この技術は第六世代機には間に合わないかもしれないが、その後の改修で搭載できるかもしれないとヘルナンデスは言う。
- 「生身のパイロットに何か新しいことを教えるときにわざわざ脳を取り替える必要はないでしょう。ならば、学習機能のついた機械もできるのでは。進化できる機械が可能ではないでしょうか」(ヴァイス)■
なるほど、人工知能、マンマシンインターフェース、自律飛行、排熱の再利用技術など新しい次元の課題がそこまできているということですね。ノースロップが費用負担した報道陣向けツアーであることをちゃんと記するのは良いことだと思います。
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