A-10退役を既定方針とした米空軍でしたが、状況の変化を理由に意外にあ簡単に方針を引っ込めたようです。F-35の配備が予定通り進んでいないこともあるのでしょうか。むしろ、シリアなど不穏な情勢が続く対ISIS攻撃であらためてA-10の威力が実証されたほうが大きいのでしょうね。しかし、CAS任務ではF-35でA-10の代替が本当につとまるのか、A-10といえども機体寿命にも限りがあり、今後厳しい現実に直面するのではないでしょうか。
USAF Vice Chief: ISIS, Russia Prompted Reconsideration of A-10 Retirement
By Lara Seligman, Defense News3:29 p.m. EST January 21, 2016
WASHINGTON — イスラム国の活動の広がりとロシアの復活がA-10ウォートホグ退役の原案を米空軍が再考した理由だと判明した。
- 1月24日放映予定のDefense News with Vago Muradianで単独インタビューに答えた空軍副参謀長ディヴィッド・ゴールドファイン大将はA-10退役の方針を決めた際に、世界の脅威環境は今と全く違っていたと語っている。A-10退役方針は2015年度予算要求で明らかになったが、ISやロシアの横暴な動きが出る前に作成された。
- 予算編成の理由から米空軍は二年前に兵力構成を計画する必要があるとゴールドファインは強調する。予算要求時から状況が変化することは多々あり、空軍は柔軟に新状況に対応を迫られる。
- 「A-10退役を決めた時点でISILは出現しておらず、その時点でイラクからは撤退済みでアフガニスタンからも大部分が撤収していたが、ロシアの復活はまだなかった」
- 来月にペンタゴンが提出する2017年度予算案でA-10退役案棚上げがあると伝えられている。
- 空軍上層部からもA-10退役の先送りを暗示する発言が先に出ていた。A-10は前線兵士にとって頼りになる存在で搭載するガトリング銃の響きは独特のものがあり、イラク、アフガニスタン、シリアで近接工区支援の必要性は高まっている。またリビアやイエメンといった問題地にも投入可能性があると航空戦闘軍団司令官ハーバート・「ホーク」・カーライル大将は言う。
- 「退役は少し先送りするのがいいと思う」とカーライル大将は国防記者の集まる朝食会で11月に発言していた。 「つまるところ現地に空軍力を送らねばならない。機体は退役を免れないが、A-10退役を少し先送りし機体を確保する案は検討価値があり、現時点で発揮している実力をこの先にも発揮させたい」
- 空軍原案ではA-10退役で浮く整備要員をF-35共用打撃戦闘機に回すはずだった。しかし中東でA-10への需要が高まっていることは空軍には深刻な事態だとカーライル大将は認める。
- 米空軍はこの先数年間にも厳しい決断に迫られるが、予算も厳しい状況にあるとゴールドファインは言う。
- 「将来の展望には現在の課題も無視できず、脅威事象が地域をまたがる傾向があり、将来の兵力構成のバランスをどう取るかが課題になる。ゼロサムゲームと言ってよい」
- 今回のA-10退役延期は議会と空軍の間に発生した激烈な意見対立が背景にある。ジョン・マケイン上院議員は上院軍事委員会委員長でA-10の強力な支持者でもあり、ペンタゴンが「早すぎる」退役を遅らせるとの報道を歓迎している。
- 「世界規模で混乱が発生する中で、近接航空支援用では最高の機体を後継機種がないまま時期尚早に退役させる余裕はないはずだ」とマケイン議員は1月13日に声明文を発表している。「オバマ政権が2017年度予算案を提出するが、A-10運用を継続できるよう原案を尊重してもらい、引き続き米軍兵士多数が危険な状況で勤務する中、その守りを維持してもらいたい」■
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