台湾に新政権が誕生し、中国の軍事力に台湾がどのように対抗していくのかが注目されます。まず中古ハリヤーの調達の可能性ですが、台湾は乗り気ではないようですね。どうせ導入するならF-35Bがほしいということですが、実現すれば米海兵隊につづき二番目のユーザーになるのですが、実現の可能性はどうなのでしょう。それにしても北京の圧力は米企業にも相当利いているようです。
Despite Pressures From China, Taiwan Might Procure Harriers
By Wendell Minnick 5:15 p.m. EST January 16, 2016
TAIPEI — 台湾にAV-8ハリヤー取得の可能性が出てきた。米海兵隊がF-35Bへの機種転換を始めたためで米政府筋が認めた。
- ハリヤー各機は国防総省の余剰国攻防装備 Excess Defense Articles (EDA) として国防安全保障協力庁を通じ提供される。
- 台湾は垂直短距離離着陸(V/STOL)機を求めており、AV-8はこれに答える選択になる。有事には中国は台湾の各空軍基地を開戦数時間以内に破壊すると見られ、短距離弾道ミサイル1,400発を準備しているとの推定がある。そこでハリヤーのV/STOL能力があれば台湾空軍は内陸から航空作戦を継続できる。
- だが台湾空軍はAV-8に前向きではなく、むしろF-35B導入を希望している。
- 台湾の国防部報道官は超音速飛行、STOVL能力、ステルス性、見通し線外対応能力を持った機体が必要とし、AV-8も選択肢だが、「機体が老朽化しており、性能は今後の作戦要求に合致しない」と評した。
- V/STOL能力除くとハリヤーは亜音速機で、空対空戦能力が欠如していると台湾空軍の将官が述べている。「能力が限られているため台湾は同機を導入しないのではないか。改修コストも高く、支援補給も大変だ」
- 台湾在住の国防専門家Erich ShihはAV-8調達は「ばかげている」と見る。「作戦半径が極めて短く、中古機では維持費や部品調達が高くなり、さらにエンジンはとても複雑な構造だ」からだという。台湾国防部筋は米政府がF-16C/D戦闘機の台湾向け販売を拒否していることから高性能のF-35の譲渡は実現困難だと見ている。
- それでも台湾空軍はF-35取得をめざしており、米政府が認めない可能性は理解していないとErich Shihは言う。
- 台湾がF-35Bに執着している様子は台湾空軍が同機をあしらったパッチをすでに作成していることでもわかる。このパッチは2013年から出回っている。
- Defense Newsは2002年に台湾がペンタゴンに送った趣意書の写しを入手し、F-35Bの機体価格および導入可能性を当時台湾経済文化部(事実上の在ワシントン大使館)の国防調達部長Wang Chi-linが求めていたことがわかった。台湾が早い段階からF-35BのSTOVL能力に関心を示していたことがわかる。
- 「台湾の非先制攻撃方針を逆手に、敵(中国本土)は中華民国空軍の各基地への初回攻撃を最優先事項としているはずで、台湾は侵攻軍の撃退が困難になる。短距離離着陸能力がない機材では空軍力が使えなくなる」
- 「敵の初回ミサイル攻撃や特殊部隊攻撃で空軍基地が使用不可能になっても効果的な対応能力を確保しておくことが同機取得の主な理由だ」
- 元米空軍関係者によるとペンタゴンは台湾向けにF-35のブリーフィングしており、出席した台湾軍将校はその内容に「感銘」したという。ただし、ブリーフィング以上の要望にはこたえていないという。
- 台湾が求めたF-16C/D戦闘機売却を米政府は無視しており、その意図は明白だと米政府関係者は言う。「F-16取得がむりなら、F-35も同様だ」 中国政府はF-16新造機を台湾に販売するのは「最後の一線」だとしていた。
- AV-8Bのメーカー、ボーイングにも面倒なことになる。同機の再整備についてコメントを求めたが同社はこれをはねのけた。「ご想像のとおり、台湾向け販売の可能性については何も申し上げることはありません」(ボーイングディフェンスでアジア太平洋地区を担当するケン・モートン)
- モートンの発言は驚くに値しない。こ中国政府はボーイングへ台湾向け販売の停止を求めており、同社は台湾事務所を2006年に閉鎖した。ボーイングからはDefense Newsに対して繰り返し同社のAH-64アパッチ攻撃ヘリの台湾向け販売を記事にしないよう求めてきている。ボーイングは中国の民間航空需要に相当の投資と営業実績があり、中国政府はこれを利用してボーイングはじめ米企業へ台湾向け防衛装備の販売をやめるよう働きかけている。■
コメント
コメントを投稿
コメントをどうぞ。