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F-3は第6世代戦闘機としてこんな機体になる。

本は国産設計で三菱F-3制空ステルス戦闘機の開発に乗り出した。

F-3の性能要求内容は2020年度予算に盛り込まれておらず、正式な開発は2021年に始まり、2030年に初飛行させる予定だ。

このためF-3がF-2戦闘機に交代するのは2030年代中ごろから末にかけてとなろう。

日本のテレビ番組で高推力XF 9-1ターボファンエンジン、アクティブ電子スキャンアレイレーダーがともにF-3用に開発中として2018年3月に紹介されていた。番組では開発費を5兆円と紹介していた。機体単価は200億円にのぼる。

ステルス戦闘機をめぐる日本政府の漂流

2016年に日本は技術面で大きな一歩となる高性能技術実証機(ATD)X-2心神を飛行させた。2007年に開発を始めたATDは3費用.5億ドルで、革新的なセラミックーシリコン複合材を機体に採用し、推力偏向式ターボファンでずば抜けた機体操縦性とスーパークルーズの実現をめざした。レーダー断面積は「コガネムシ」程度だったといわれる。

だがATDは技術実証機であり、量産用戦闘機の試作型ではなかった。日本政府は同機の開発を終了し、海外メーカーに情報開示を求めた。

F-22の機体にF-35の高性能エイビオニクスを搭載するロッキード・マーティンのハイブリッド案は政府に魅力的に写った。だが機体単価が215百万ドルになる予測が出た。ノースロップ・グラマン(YF-23「ブラック・ウィドウ」ステルス戦闘機を開発した)、BAe (テンペストステルス戦闘機を開発中)にも日本政府は接触した。

だがいずれも第5世代戦闘機に近く、日本がめざす第6世代機になりえなかった。

高度技術を応用する軍用航空産業では一回中断したり、技術者の退社、工場の閉鎖、技術の陳腐化が重なれば再開は困難となる。今、開発開始しないと日本は開発能力を失い、米国企業に大きく依存する体制を打破する望みが消える。

F-35対F-3

日本がF-35A、F-35Bライトニングの105機追加調達を発表し、F-3実現の道が絶たれたと感じたアナリストが多かった。また国内組立より米国から直接買い付けたほうが安価になるため一部機材は輸入に切り替えられた。

ただし、F-35はF-22のような制空戦闘機というより空対空性能もある攻撃機の性格が強い。

JASDFの主ミッションは防空だ。2018年にJASDFはロシア、中国の軍用機の接近に対応し戦闘機を一日三回発進させた。PLA空軍はJASDFに6対1の機材数優勢を誇る。最新鋭戦闘機のJ-11DやJ-20は日本の質的優位性を危うくする高性能機だ。

防空戦闘機で望ましい性能は長距離・長時間飛行、接近してくる機体が兵装を発射する前に交戦する高速飛行、視界内ドッグファイトで敵を上回る操縦性が必要だ。供用して40年のF-15JイーグルがこれらすべてでF-35を上回る。

とはいえF-35のステルス性能と強力なネットワークセンサーはF-15を上回る残存性が生む。日本はステルスと空対空戦の双方を実現する機体を求めている。

Jane’sが日本側にF-3に必要な性能で優先事項を尋ねると、「将来の航空優勢確立に必要な性能」をまず上げた。その他として、アップグレードの実施可能性、国産技術の応用、価格をとりあげた。

日本は海外輸出によるコスト削減を狙う可能性もある。軍事装備輸出は2014年に解禁ずみだ。ただし、日本製軍用ハードウェアは高価格のため成約が難しい。ステルス戦闘機は需要が高く、調達が困難になっており、輸出できたのはF-35のみだ。

F-3 はどんな機体になるのか

F-3は双発で機内兵装庫に6発を搭載する。外形スケッチが複数あるが実現の保証はない。

日本がF-3搭載を目指す技術に関する情報がある。

XF-9-1低バイパスターボファンエンジンのテストが2019年に始まった。IHIが開発した。報道では乾燥推力が11-12トン、アフターバーナー使用時は15-16.5トンだ。また1,800度の高熱に耐える。F-22のF119ターボファンではドライ推力13トン、アフターバーナー使用時は17.5トンだ。XF-9はF-119より0.5メートル短く30センチ細く空間を機内兵装搭載に使える。

防衛省は3次元推力偏向ノズルを研究中でエンジン推力を最大20度まで全方向に向ける。日本はレーダー断面積でF-3をF-22やSu-35を凌ぐ高機動戦闘機とし、ミサイルからの退避行動や視野内戦闘で高い操縦性を実現したいのだろう。

各XF-9エンジンに180キロワットとの並外れた発電容量があるので、指向性エナジー兵器のレーザーやマイクロウェーブ兵器を稼働し、敵の弾道ミサイルの回路部を焼き切るのだろう。

またF-3機体表面を「コンフォーマル」レーダーアンテナにするスマートスキンセンサーの複合材で、電磁ESMセンサーのテストもおこなっており、敵探知以外に無線周波数の発信を最小限にする自機防御技術の研究をしている。

コックピットではヘッドアップディスプレイを廃止しF-35と同様のヘルメット搭載ディスプレイとし、液晶画面を組み合わせる。マン-マシンインターフェースで人工知能も開発中で、データを最適化しパイロットの負担を軽減する。

日本は高速データリンクも研究も中で、標的情報を友軍機と共有する。数で優勢な敵への対応を念頭とし、中国のJ-20ステルス戦闘機や今後登場するH-20ステルス爆撃機へ対抗する。

X-2で実証済みでF-3に搭載される技術にEMPに強い光ファイバーによるフライ・バイ・ワイヤ、「自己修復機能型」フライトシステムで機体の損傷を自動修復する機能がある。

防衛省はロッキード、ボーイング、BAeといった海外企業に技術移転や支援をもとめ、事業の実現での負担を軽減したいとする。ただし、国内企業が主導権を握るのが条件だ。

だが、新技術の搭載、機体統合は容易ではない。またコスト目標を実現しながら連続生産するのも容易ではない。例えば米F-35では各技術の搭載統合が困難で、コスト上昇と遅延が何回にわたり発生した。新技術が同時開発中だったのも大きい。日本の技術陣はこうした課題を念頭に15年で開発を完了させる課題を展開することになる。■

この記事は以下を再構成したものです。
May 6, 2020  Topic: Security  Region: Asia  Blog Brand: The Buzz  Tags: JapanF-22F-3F-35MilitaryTechnologyStealth


コメント

  1. F-2後継機の背景、見通しを良く伝えていると思います。本短信が偏りなく伝えてくださっている事に感謝致します。
    他の国内ニュースやブログを見てきましたが、何故か殆ど皆さん思い込みがあるようで「こうあるべき」論というバイアスが掛かり良く分からなかったというのが本音でした。
    本短信と記事元サイトを拝見し、EMP攻撃に耐え得る光ケーブルによる操縦系、「self-repairing」がフライトシステム上で実現されそうな事、新たな発見があり興味深く読ませて頂きました。

    返信削除
  2. 概ね正しい見通しだと思います。米空軍がF22を延命しようとしているのも、制空戦闘機としてはF35では物足りないと判断している傍証だろうと思います。なお、第6世代戦闘機のコンセプトは未だ定まっておらず、F3は(少なくとも初期型は)、中国のJ20やロシアのSU57に対しては航空優勢を確保できるが、第6世代機の特徴をすべて備えている訳ではないな5.5世代機としてデビューするだろうと考えています。もちろん日本の設計者と防衛装備庁は、将来的に第6世代機に発展可能な程度の拡張性を考えて機体設計を行うと思いますが。

    返信削除
  3. >防衛省はロッキード、ボーイング、BAeといった海外企業に技術移転や支援をもとめ、
    >事業の実現での負担を軽減したいとする。ただし、国内企業が主導権を握るのが条件だ。

    1,000機作るならともかく、たかが数十機でしょ?それら海外企業が国内企業に技術を
    移転・完全開示するなんて、ちょっと想像つきませんね。いったい、いくら払うのよ。

    この期に及んで、まだ「国内企業が主導権を握る」なんて言ってる時点で、覚悟が足りん。
    「国内企業が開発する、必要に応じ海外技術も取り入れる」ぐらい言ってくれないと不安。

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