米国防総省がUFO映像三点を機密解除し、各界が反応したが、日本の反応に最も驚かされた。河野太郎防衛相は4月28日記者会見で自衛隊(JSDF)にUFO遭遇時の対処方針がないため、今回の情報開示を受け準備すると述べた。
河野は自衛隊パイロットにUFO遭遇事件は発生していないと前置きしたが、実に妙な発言だ。各国の軍パイロットでUFO目撃はごく普通のことで、自衛隊の活動ぶりからすれば任務中あるいは訓練中に遭遇事案が発生していておかしくない。大臣発言をめぐり、日本国内のUFO研究団体は自衛隊パイロットが目撃を報告しても上官が取り合わないとコメントしている。
大臣から米国がUFO映像を公開した意図と背景を聴取したいとの発言もあった。DoD公式発表では映像公開は情報隠蔽の疑いを晴らし、同時に米極秘装備の映像と無関係と判明したためとある。ただし、映像公開にあたり追加説明がごくわずかなのは飛行物体の正体が依然不明であるためだ。河野大臣発言は自衛隊による対応方針を定めるにあたり追加情報を米国に要請しているのだろう。
自衛隊が対応方針整備を急ぐ背景に差し迫った理由がある。中国が新型装備の開発をすすめており、自衛隊機が遭遇する可能性が増えてきた。UFO映像撮影の標準手順が決まれば、これを使い中国機の情報収集もはかどる。また情報整理を迅速に行えれば、未確認飛行物体の正体も判明しやすくなる。
最新技術によるUFO映像の撮影と解析ははるかに向上している。このため映像が処理分析できる可能性が高くなった。これまでのUFO記録は手持ちカメラによる撮影やパイロット目撃談が多かった。最近の機体には手振れ補正の高性能カメラが標的捕捉ポッドにつき、視認映像、熱感知赤外線、通常の赤外線映像で記録可能だ。このポッドで追尾しつつレーザー距離計でUFOの正確な飛行形態が把握できる。今回公開のDoD映像もこうした装備で撮影されている。自衛隊では標的捕捉ポッドは米軍並みに使われていないが、十分な数のポッドが調達されている。
そうなると自衛隊がUFO対処方針を整備すれば有益な効果が生まれそうだ。センサー技術の進歩でUFO映像も正しく分析処理できるようになっており、情報の価値が生まれる。今回の決定は遅きに失したかもしれないが、河野大臣は今回の映像開示を利用し一気に情報収集活動を強化し、自衛隊の動きを明かにする効果を生んだ。■
この記事は以下を再構成したものです。
by Charlie Gao
Charlie Gao studied political and computer science at Grinnell College and is a frequent commentator on defense and national-security issues.
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