中国の危険性、中国共産党の危険性への認識が世界が広まっているとはいえ、いまだにこの見方を否定する勢力が残っているのも事実です。また、すぐヘイトだ、人種差別だと騒ぎ立てて本質から目をそらさせる勢力があるのはいかがなものでしょうか。今回のウィルス騒動で中共が悪の根源であるというのは明らかです。
中国の目標は米国の国力を減退させるにとどまらず、米国主導の国際秩序に代わり共産主義に基づくグローバル統治モデルの樹立にある。
外交政策は自国社会や国際政治のありかたといった観点に基礎を置くものだが、過去に縛られがちだ。▶歴史からの学びに意義はあるものの、条件が変化すれば過去は参考にならなくなる。▶冷戦期の米外交政策は共産主義を世界に拡散するソ連政府像に支配されていた。▶ソ連は米国と協調せず、競合相手であり、そのためソ連の封じ込めが必要だった。▶米国の政策決定層はこの方向を米国社会が完全支持すると見ていた。
だが冷戦の対立構造が終わると安全保障担当補佐官、国務長官を歴任したヘンリー・キッシンジャーのような戦略思考家でさえ共産中国を無害な相手と誤解し、米国にとって「責任感ある相手」とか戦略提携国とさえ見て、中国の発展を好意的に捉えていた。
中国は単なるライバルではない。強敵である。▶目指す目標は米国の弱体化だけではなく米国に代わり、また米国が作ってきた自由な国際秩序に代わり、共産党の価値観に根付くグローバル統治態勢を樹立することにある。
PRCのほうがソ連より危険だ。▶それは中国が予測困難でありながら強力だからだ。▶急速に伸長する国力とイデオロギーが合体した上に強硬な指導者習近平がある。▶習は極端な野望と自らの権力基盤の保全に偏執する人物だ。▶ソ連より予測が難しい敵が中国だ。
米国との競争に疲弊したUSSRの過ちを中国が学習しているため、中国はソ連より強敵だ。▶中国は極度の適応力がある敵だ。適応力が優れているため、中国は敵というより協力国とみなされてきた。▶中国は協力国として重要視され、西側の経済エコシステムに組み入れられ、繁栄の享受を許されてきた。▶中国の急成長が可能となったのは自国の努力もあるが、米国の政府、産業界、金融市場、高等教育機関があったからだ。
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米政府、産業界、知識層には今でも中国をパートナーととらえ、米中関係を「正常」状態に戻す期待が残っている。▶コロナウィルス後も米エリート層と中国実業界の密接な関係は変わりがなく、トランプが大統領の座から降りればすべて正常に戻ると考えているようだ。
だがそんな望みも中国が繰り広げる地球大プロパガンダ活動により砕かれている。中国は工作活動でソ連でも実現できなかった形で米国社会へ侵入し弱体化をはかり、機会をうかがっている。▶そのひとつがUsenetで、GPS情報を盗み、キャッシュを埋め込んでいる。
中国共産党の特徴をもとに中国の行動様式、戦略目標を見ると、今後中国の国力が弱体化する兆候は見えないが、経済面で力の源泉を遮断すれば変化が生じそうである。また習近平の権力基盤を崩し退陣させればよい。
中国を変化が容易な国と見るのは誤りだ。▶中国は国際機関に自国の価値観を持ち込んでおり、一帯一路も経済の外観をかぶせているだけだ。
米国は攻撃を受けたり大きな危機の発生後に、脅威が判明した場合に競合国家からの脅威に最も激しく反応する。▶ただし今回はこれが見当たらない。▶歴史を見れば真珠湾、チェコの蜂起、ベルリン危機後の米国の対応は十分なものであった。▶冷戦により高レベルの脅威が判明してもトルーマン政権の脅威対応は不十分で、ソ連の強権外交に対抗できなかった。それでも同政権が米国や同盟国のために戦略的な基盤を形作ったことは評価せねばならない。
中国との対決には脅威認識など過去を想起させる要素がある一方、米国社会の多数が中国を脅威と認めていないため、状況は冷戦時より悪いといえる。▶これは経済界のみならず安全保障分野でも見られる傾向で、米国の反応を鈍くさせる原因にもなっている。▶米政府関係者や経済界のトップに中国の脅威を過小視する傾向がある背景にはPRCによる精力的な工作活動がある。脅威と捉える傾向を最小限にさせながら必要な対応策へ集中できなくしている。▶こうした特殊な動きのため必要な対応が米国で遅れがちで危険を生んでいる。▶中国に効果を生む対応を開始する前にこちらは戦略面、道徳面で明瞭さを確立すべきだろう。■
この記事は以下を再構成したものです。
May 2, 2020 Topic: Politics Region: Asia Blog Brand: The Buzz Tags: ChinaCoronavirusGreat Power CompetitionRise Of ChinaTrade War
Bradley A. Thayer is Professor of Political Science at the University of Texas San Antonio and is the co-author of How China Sees the World: Han-Centrism and the Balance of Power in International Politics. Lianchao Han is vice president of Citizen Power Initiatives for China. After the Tiananmen Square Massacre in 1989, Dr. Han was one of the founders of the Independent Federation of Chinese Students and Scholars. He worked in the U.S. Senate for 12 years, as legislative counsel and policy director for three Senators. @thayerhan1.
This article by Bradley A. Thayer and Lianchao Han first appeared in Real Clear Defense on April 30, 2020.
この記事を読んでいて、数年前のものかと思ってしまう。その理由は、米中経済戦争や米国の安全保障戦略の転換が盛り込まれていないからであり、また、武漢肺炎流行の影響の記述もほとんどない。
返信削除武漢肺炎の流行は、米中関係を大きく変えることになる、と言うよりも今までトランプ政権が行ってきた対中政策を加速させ、より過激にする可能性がある。米中間の対立は、より広がり、深化する。
習は、武漢肺炎流行に際し、様々なミスをしている。第一に、初期対応に失敗し、流行を中国全土に広げ、また、その事実を隠蔽したこと。第二に、流行を世界に広めたこと。感染防具等を世界的に買い占め、旅行制限に反対したことは、習が世界的流行を意図したと見られても仕方がない。習は、武漢肺炎の流行が中国国内のみで終息すれば、打撃を受けるのが中国のみとなる事態が、中国の政治・経済的影響力の世界的低下となることを嫌ったのかもしれない。そして第三は、流行国に対する独善的で尊大な姿勢である。これらは、世界の中国への見方を大きく変えるだろう。
米国は、新たな経済制裁を中国に課すだろう。この制裁は、関税のみならず貿易全般に及び、さらに金融関係にまで及ぶ可能性が高く、対中宥和姿勢の強いウォール街に打撃を与えることになる。これらのことは、中国経済を縮小させ、さらに中国の成長の源の一つであるドル調達を困難にさせるだろう。
米国の国民の多くは、中国を疑いの目で見ているが、さらにその比率は高まるだろう。実は対中宥和であるバイデンは支持率を下げ、トランプが再選される可能性が高まるだろう。
習は、さらに追い詰められ、記事のように支持基盤が崩されれば辞任する可能性があるが、排外的な姿勢を強め、国内統制を強化し、習派独裁を維持しようとする可能性の方が高いのではなかろうか。国家体制が維持できるかは別にして。