米海軍は巨大な太陽光パネルから地球上への送電を試行する。
国防総省発表に米宇宙軍がX-37B再利用可能スペースプレーンで宇宙空間実験を行うとあり、種子への放射線の影響を見る実験と、注目すべき内容ではない。
一方で、さりげなく目立たない形で海軍研究本部が太陽光エナジーを地球に送る活用方法を模索すると記述がある。マイクロウェーブエナジーに変換し地上へ送信すると広報資料にある。▶太陽光パネルをX-37Bに搭載し軌道上で太陽光エナジーを集めて地球へ送る構想だ。
宇宙からの送電実験
十分に作動する設計なら太陽光を収集し、莫大な量のエナジーを地球に送れる。宇宙空間なら雲に遮られることもなく発電効率が上がり、パネル上に埃もつかないはずだ。▶集めたエナジーは地球にマイクロウェーブとして転送する。エナジー収集のしくみは緊急時電源としてさらに軍事用途にも使える。▶移動困難地に展開する地上部隊も理論上は制限なしで莫大なエナジーが使えるようになる。燃料補給装備のトラック、タンク等が不要になる。▶さらに太陽光エナジーは軌道上の宇宙ステーション、スペースプレーンや衛星等に電源供給できる。
課題は
ただし、実現までに克服すべき課題がある。海軍研究本部のポール・ジャッフェ博士の説明では宇宙空間への打上げる費用が高額なことが一番だ。重量がかさめば多くの推進剤が必要となり費用も上がる。重量を最小限にするには内部部品を小型軽量化する必要があり、技術面で難易度が上がる。▶その他として太陽光収集だけの問題ではなく、衛星全般に共通する要素がある。いったん打ち上げれば、軌道周回中の衛星の速度は相当早くなる。別の軌道から地球上の任意地点にエナジー送信するのは難題となる。この目論見が実現可能となるかはわからないし、コストと技術上の課題も残る。■
この記事は以下を再構成したものです。
May 22, 2020 Topic: Technology Region: Space Blog Brand: The Buzz Tags: AmericaU.S. NavySpace ForceSunSunlightSolar PowerSpace
Yes, the U.S. Navy Wants to Harvest the Sun’s Energy
by Caleb Larson
Caleb Larson holds a Master of Public Policy degree from the Willy Brandt School of Public Policy. He lives in Berlin and writes on U.S. and Russian foreign and defense policy, German politics, and culture.
いつも興味深い記事をありがとうございます。
返信削除アメリカ海軍が配備に向けて進めている、簡裁用レーザー兵器とレールガンはどちらも大電力を必要とされています。電力の供給に原子炉を持たない通常の艦船に搭載する場合どうやって電源を確保するのか、という謎が解けた気がします。
将来の目標は、可能な限り発電衛星からマイクロ波で受けて艦内のバッテリーに充電し、艦の航行に必要な燃料を兵器の発電用に使わずに済むといったところでしょうか。これは面白い試みだと思います。
追伸、正しくは「艦載用」でした。失礼しました。
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